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31日目に君の手を。  作者: 篠宮 楓
14日目~20日目 原田視点

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46/118

すみません、少し訂正+加筆しましたm--m

すっかり岸田の存在を忘れてました←書き手なのに

「おい、餌にもならないななし。さっさと下の奴ら連れて外周いって来い」

声と共に飛んできたタオルを後頭部で受けて、それを握りしめながら後ろを向いた。

そこには他校の部長と一緒に立っている、佐々木の姿。

その表情は、物凄く見下している目。

「佐々木、てめぇ」

「アオさんの手料理食えると思ったのに、何が悲しくて高一男子が作った飯を毎食食わねばならん!」

「なら、てめぇが作れ! 高三男子!」

「女の子がいい女の子が。食うなら女子の作ったごはんーっ」

「……女子が作ってんじゃねーか。岸田が中心になって作ってるんだろ? 顧問も手伝ってるみたいだし」


俺の言葉に佐々木は両手を上げて、肩を竦めた。


「お前馬鹿だろ。八人中女子が一人のメシなんざ、女子のメシとはいえん!」

「一度脳味噌入れ替えて来い」

佐々木の言葉に呆れ何も言えなくなった俺は、タオルを肩にひっかけて合宿所を出た。




合宿に来てすでに三日目。

初日の勢いがだんだんと疲れに変わっていく時期。

合宿所のそばにはグラウンドが整備されていて、そこに部員が集まっていた。

三年生は井上だけ。

辻は顧問と買い出しに行っているし、佐々木は言わずもがな。

残りの三年は、俺と井上だけだ。

井上は俺を見つけると、軽く片手を上げた。

「筋トレ終わった」

「じゃー、外周行くか」

三年は少ないなりにやる事が多く、役を持っていない井上と俺で下級生の面倒を見る事になっていた。

別個に筋トレと準備運動を終えていた俺は、下級生を連れてグラウンドの外周を走りはじめる。


別に陸上部ではないから、速さを競う為に走るわけじゃない。

どれだけ持久力をつけられるか、だ。


バレーボールと言えばそんなに走り回ったりしないイメージがあるかもしれないけれど、かなり体力を使うのだ。

基礎体力は、一番重要。



リズムを崩さず、淡々と外周をこなしていく。

すると頭の中は暇になって、余計な事を考え始める。


今日も、快晴。

普段より標高の高い場所にいるせいか、空も青々と綺麗に感じる。



アオも、この空を見ているんだろうか。


見せた空の画像を、くい入る様に見つめていたアオ。

その姿を見て、嬉しくてたまらなかった。

自分が一番好きなものを、綺麗と言ってもらえたただそれだけのことに。



自宅に戻るのは、来週。

会えない期間は、あと七日。



寂しいとそう思えてしまうのは、本心だ。

アオが合宿への誘いを断ると、あの時実は思えなかった。

うぬぼれじゃなく、アオは俺に少しは関心があると思ってたから。

会えない事を、寂しいと思ってもらえるものだと考えてしまった。


実際は、そうじゃなかったけど。

結構、がっくりきたけど。


俺が思うほど、アオにとって俺の存在は大きくないってところか。



“ななしくん!”



アオの笑顔が、脳裏を掠める。

ふわりとわらう、優しい笑顔。

くるくると変わる、素直な表情。

けれど何かを隠して、何かを探しているその目。



「……」

自分の考えに、自分で照れてどうする。

顔が赤くなっている事を自覚しながら、それでもアオを想う事をやめられない。



乙女で悪かったな。


思わず、自分自身に悪態をついた。


なんで、あんな面倒な女を好きだと思ってしまったのかと思うけど、今更だ。



早く帰りたいと、そう思う。

七日後、ここから帰れる。

そうしたら、その足でアオに会いに行こう。

たくさんの、(あお)を持って。


原田視点終了です。

次話からアオ視点。

アオターンは文字数が少なくなりますが、よろしくお願いします。


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