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今回は、ちょっと短いです^^;
キリがよかったもので……
“描くときは、無心だよ”
そう口にしたのは、たった数週間しか経っていない過去の私。
何も疑わずに、ほわほわと笑っていた。
疑問を持つことさえできないくらい、何も見えていなかった。
何も、見ようとしていなかった。
雑念ばかりの心は、何も映してくれなくて。
目に映っているのはただの色。
ただの風景。
視界に映るその光景は、心に何も響かない。
もう色を感じる事は出来ないのだろうか。
心ごと侵食されるような、あの気持ちには戻れないのだろうか。
――あぁ、私は。
知らず、塗り重ねた色にまあるい染みを作っていく。
それは頬を伝う、いくつもの雫。
辛いのは。
苦しいのは。
自分が馬鹿だって、理解してるから。
絵筆を持ち上げて、それを紙に落とす。
真っ白い紙が色を持ち、見る間に染め上げられていく。
「あお」
ぽつり、呟く。
とたん、お婆ちゃんの声が……要さんの声が脳裏を掠めた。
――青は藍より出でて……
「あおはあいよりいでて……」
――藍より青し。……お前はどっちだい?
あいよりあおし。
ななしくんのいる世界のあおは、青。
綺麗な、綺麗な青の色。
“なんであんたは、そんなに自由なんだよ!”
ふと、ななしくんの叫びを思い出して吹き出す。
「世話焼きおかんな、ななしくん~」
めちゃくちゃなメロディーをつけて、言葉を紡ぐ。
真っ赤になっていた、ななしくん。
その手にあったのは、青いタオル……。
「あぁ、綺麗だね」
目に染みるくらい、ななしくんの色――