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31日目に君の手を。  作者: 篠宮 楓
5日目~7日目 アオ視点
16/118

今回は、ちょっと短いです^^;

キリがよかったもので……

“描くときは、無心だよ”


そう口にしたのは、たった数週間しか経っていない過去の私。

何も疑わずに、ほわほわと笑っていた。

疑問を持つことさえできないくらい、何も見えていなかった。

何も、見ようとしていなかった。



雑念ばかりの心は、何も映してくれなくて。

目に映っているのはただの色。

ただの風景。

視界に映るその光景は、心に何も響かない。

もう色を感じる事は出来ないのだろうか。

心ごと侵食されるような、あの気持ちには戻れないのだろうか。



――あぁ、私は。



知らず、塗り重ねた色にまあるい染みを作っていく。

それは頬を伝う、いくつもの雫。


辛いのは。

苦しいのは。

自分が馬鹿だって、理解してるから。





絵筆を持ち上げて、それを紙に落とす。

真っ白い紙が色を持ち、見る間に染め上げられていく。


「あお」


ぽつり、呟く。

とたん、お婆ちゃんの声が……要さんの声が脳裏を掠めた。




――青は藍より出でて……




「あおはあいよりいでて……」




――藍より青し。……お前はどっちだい?




あいよりあおし。




ななしくんのいる世界のあおは、青。

綺麗な、綺麗な青の色。

“なんであんたは、そんなに自由なんだよ!”

ふと、ななしくんの叫びを思い出して吹き出す。

「世話焼きおかんな、ななしくん~」

めちゃくちゃなメロディーをつけて、言葉を紡ぐ。

真っ赤になっていた、ななしくん。

その手にあったのは、青いタオル……。




「あぁ、綺麗だね」




目に染みるくらい、ななしくんの色――




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