2
翔太自殺の翌朝。
「はい、わかりました。それじゃあすいません」
翔太の学校の教師が電話を切る。
「また欠席の連絡ですよ」
「翔太の自殺がショックなんですかね」
教頭がしんみりと呟いた。
「いい子でしたもんね。誰にも好かれて」
「ほんと、僕もショックでしたよ」
若手から年配の教師まで、翔太の自殺に無念の思いが胸の中に残っていた。
キーン、コーン、カーン、コーン。
ホームルームを告げるチャイムが校内で鳴り響く。
「あ、ええ皆さん。福田君の自殺はショックが大きいですが、生徒の心理的ショックも大きいです。そのケアも大切にしましょう」
「はい」
クラスを担任に持つ教師が解散して職員室を出る。
やがて静けさが残った職員室で、教師をしながらバンドをしている佐々木先生の手の上に、翔太特製の所属しているバンドのステッカーがあった。
『先生、どうすか?このステッカー、カッコイいでしょ?』
『ああ、まあな』
『先生のバンド、デビューしたらCDタダで下さいよ』
『なんだそりゃ』
翔太…。
佐々木先生は涙をこらえながらステッカーを引き出しに閉まった。
翔太の担任の松岡が、クラスの引き戸を開けたら、クラスの生徒達が一斉に自分の席に座った。
松岡がクラスを見渡すと、空いている机が五個あった。そして、ほとんどの人がショックで涙を流してたり、下を向いている。
松岡はこのどんよりした空気をどうにかしたかった。
「お、今日は五人休みかぁ。給食のおかわりし放題だぞ」
松岡はヘラヘラ笑いながら言ったが、だんだんと俺何言ってるんだ?と思い始めた。
一向にクラスの空気はどんよりしたままだった。黒板を見ると、もういない翔太に宛てた寄せ書きが書いてある。それぞれが翔太に宛てたメッセージが感謝でいっぱいだった。
「俺も何か書くかな」
松岡は、チョークを握り、寄せ書きのちょっと開いたスペースにこう書いた。
『お前は、俺の、そしてみんなのヒーローだ』
そう書いたら、松岡の目にも涙が溜まった。
「畜生…畜生…」
翔太に思いを寄せていた関根と松浦は、翔太の死体発見現場に献花しに行った。
翔太の死体が発見された場所は、この街の森で、今は大量の落ち葉が道を埋めていた。
「ここだ」
現場にはもう献花台が設置してあって、たくさんの花や、飲み物や食べ物が置いてある。
二人は死体発見現場を見て、涙を流せずにはいられなかった。
大好きだよ…。大好きだよ…。
一生消えないこの想いを胸の中で打ち明けた。
「君たち、福田翔太君の同級生?」
二人が振り返ると、テレビでよく見かけるキャスターと、テレビカメラやマイクなどの撮影機器たちが二人を迎えた。突撃取材だ。
「いやー、自宅に伺ったり、献花台に訪れた人達の話を聞いても情報掴めなくて…。君達が来てくれてよかったよ」
「私たちは取材を受けるために来たんじゃないですから」
二人はこの場から去ろうとしたが、キャスターに止められた。
「あはは、そうだね、ごめんごめん。まあ話だけでも聞かせて。今はなんかいじめが理由の自殺が多いけど、福田翔太君もいじめられてたりした」
なんて直球な質問。
二人は次第に苛ついて来た。
「やめて下さい。行こ」
二人はこの場から立ち去ろうとした時、『つまんねえの』とゆう声が聞こえた。
翔太の自殺は、周りの人達に多大なるショックを与えた。
評価お願いします