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願い  作者: 高嶺清麿
2/3

 翔太自殺の翌朝。

「はい、わかりました。それじゃあすいません」

 翔太の学校の教師が電話を切る。

「また欠席の連絡ですよ」

「翔太の自殺がショックなんですかね」

 教頭がしんみりと呟いた。

「いい子でしたもんね。誰にも好かれて」

「ほんと、僕もショックでしたよ」

 若手から年配の教師まで、翔太の自殺に無念の思いが胸の中に残っていた。

 キーン、コーン、カーン、コーン。

 ホームルームを告げるチャイムが校内で鳴り響く。

「あ、ええ皆さん。福田君の自殺はショックが大きいですが、生徒の心理的ショックも大きいです。そのケアも大切にしましょう」

「はい」

 クラスを担任に持つ教師が解散して職員室を出る。

 やがて静けさが残った職員室で、教師をしながらバンドをしている佐々木先生の手の上に、翔太特製の所属しているバンドのステッカーがあった。




『先生、どうすか?このステッカー、カッコイいでしょ?』

『ああ、まあな』

『先生のバンド、デビューしたらCDタダで下さいよ』

『なんだそりゃ』

 翔太…。

 佐々木先生は涙をこらえながらステッカーを引き出しに閉まった。




 翔太の担任の松岡が、クラスの引き戸を開けたら、クラスの生徒達が一斉に自分の席に座った。

 松岡がクラスを見渡すと、空いている机が五個あった。そして、ほとんどの人がショックで涙を流してたり、下を向いている。

 松岡はこのどんよりした空気をどうにかしたかった。

「お、今日は五人休みかぁ。給食のおかわりし放題だぞ」

 松岡はヘラヘラ笑いながら言ったが、だんだんと俺何言ってるんだ?と思い始めた。

 一向にクラスの空気はどんよりしたままだった。黒板を見ると、もういない翔太に宛てた寄せ書きが書いてある。それぞれが翔太に宛てたメッセージが感謝でいっぱいだった。

「俺も何か書くかな」

 松岡は、チョークを握り、寄せ書きのちょっと開いたスペースにこう書いた。

『お前は、俺の、そしてみんなのヒーローだ』

 そう書いたら、松岡の目にも涙が溜まった。

「畜生…畜生…」



 翔太に思いを寄せていた関根と松浦は、翔太の死体発見現場に献花しに行った。

 翔太の死体が発見された場所は、この街の森で、今は大量の落ち葉が道を埋めていた。

「ここだ」

 現場にはもう献花台が設置してあって、たくさんの花や、飲み物や食べ物が置いてある。

 二人は死体発見現場を見て、涙を流せずにはいられなかった。

 大好きだよ…。大好きだよ…。

 一生消えないこの想いを胸の中で打ち明けた。

「君たち、福田翔太君の同級生?」

 二人が振り返ると、テレビでよく見かけるキャスターと、テレビカメラやマイクなどの撮影機器たちが二人を迎えた。突撃取材だ。

「いやー、自宅に伺ったり、献花台に訪れた人達の話を聞いても情報掴めなくて…。君達が来てくれてよかったよ」

「私たちは取材を受けるために来たんじゃないですから」

 二人はこの場から去ろうとしたが、キャスターに止められた。

「あはは、そうだね、ごめんごめん。まあ話だけでも聞かせて。今はなんかいじめが理由の自殺が多いけど、福田翔太君もいじめられてたりした」

 なんて直球な質問。

 二人は次第に苛ついて来た。

「やめて下さい。行こ」

 二人はこの場から立ち去ろうとした時、『つまんねえの』とゆう声が聞こえた。




 翔太の自殺は、周りの人達に多大なるショックを与えた。


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