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願い  作者: 高嶺清麿
1/3

飽きっぽいけどミステリー超大作を書きました。すごい難しい設定だけど、頑張ります(^O^)/

 福田翔太が自殺したのは、翔太が失踪してから二時間後の午後九時の出来事だった。


 翔太の両親である福田和也と福田雅美は、その時はまだ自殺したとは知らず、警察が電話で自殺を伝えた時はショックを隠し切れなかった。


「なんで…翔太に限ってなんで自殺なの…?」

 雅美は食卓テーブルに顔を伏せながら和也に聞く。

「知らねえよ、そんな事」

 和也は煙草に火を付け、一回吸って吐きソファーに座り込んだ。

「あなたがいけないのよ…。あなたがイライラする度に翔太や私に八つ当たりしていたから翔太が嫌になって…」

 雅美は涙を流しながら和也に訴えた。

 和也は銀行の商社マンで、休日も仕事に出向いた為、家族で出掛ける事など皆無に等しく、その上、仕事で失敗しストレスが溜まると、翔太や雅美に暴言や暴力を加えていた。

「それなら、お前だって最近翔太の成績が悪いとかで、長い間怒鳴り散らしただろ!」

 和也も反論した。

 雅美は翔太を生む前は、高校の数学教師をしており、翔太も自分のようになってもらいたくて中学に入ってから勉強について文句を付け始めた。そのせいか次第に成績は悪くなり、雅美はそんな翔太を二時間以上怒鳴った事もあった。



「いじめじゃねえんか?」

 和也は二本目の煙草に火を付け、ゆっくり吸い、煙を吐いた。

「そんな訳ないわ。翔太は毎日学校に行ってたし、休みたいなんて一言も言ってないわ」

「だからっていじめが無いとは限らないんだ」

「そんなの、学校の対処が不十分だからでしょ!!私に言ったって何の解決にもならないわよ!!」

「じゃあなんだ!!学校を訴えればいいんかよ!!」

「あなたが学校で担任と話せばいいじゃない!!」

「それはお前の問題だろ!!」

 和也は煙草を灰皿の底でもみ消し、ソファーから立ち上がって玄関のドアノブに手を掛けた。

「どこに行くのよ!!」

「会社だ!!まだ残ってる仕事があるんだよ!!」

 よく見れば和也はまだスーツだった。

「なんでこんな時に仕事なの!?」

「うるせぇな!!」

 バタン。

 リビングには喧嘩後の静寂とまだ消しきってない煙草の煙で充満していた。

「もっと早くやればよかったね」

 雅美は翔太の写真を見ながら呟いた。

 雅美の鞄には、自分の名前と判子が記されている離婚届が入っていた。


読んでくれてありがとうございます

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