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【帰ってきた影山部長の巻】

「久しぶりじゃないか?髙﨑」


「ぶ!ぶ!ぶ!部長!」


「ビックリしたか?」


「あっいえ」


「代が替われば時代も変わるってかー!お前には色々と世話になったな」


「いえ、私は何も・・・」


先代の社長は、影山が会社を解雇された翌月、脳卒中で倒れたまま意識が無い状態が続いていた。


その後は、バカ息子があとを引き継ぎ、そのバカ息子の幼い頃の遊び相手が影山だった関係で奇蹟的に統括部長として返り咲いたのであった。


「それで髙﨑、俺の得意先を引き継いだのは、お前だと経理の丸山君に聞いたが、お前も偉く出世したもんだねぇ」


「先代の社長から引き継ぐように言われまして・・」


「ほーう、それで?」


「それでって・・・」


「新山設備の社長と、えらい頻繁に飲みに行っとるらしいな?」


「付き合ってくれってひつこく誘われたので・・・


「ほーう」


「それで、例の店行ったんかいな?」


「例の店って?・・」


「麻友子ちゃんの店や!」


「行ったような気がしますが・・・何度か・・・」


「まぁええわ、それより昨日の晩、新山設備の社長から電話あってな、ちょいちょい適当な理由つけて、会社の飲み会やっとるらしいなぁ?」


「ちょいちょいって・・」


「新山の社長が来週は都合が悪いから行かれへん言うことで、高崎さんに取り敢えず10万渡しときました言うて聞いたけど、ほんまか?」


「取り敢えず預かっては・・います・・」


「それと、新山の社長が言うとったけど、新山の見積の査定だけ!えらい甘いらしいな?」


「いえ、そんなことは・・」


「そんな事はやあらへんがな!新山以外の業者からも相見積、取ってるんやろな?」


「もう一社取ってますが、何分実績が」


「金額はどうやったんや?」


「金額は安かったのですが、何分実績が」


「実績がやあらへんがな。安いほうがええに決まっとるやろ。ヒョットしておまえ新山と何かあんのか?」


「何かあんのかって・・ですがこの案件は新山と値合も済ませてますし・・」


「甘々のなぁ」


「・・・・」


「その業者いっぺん会社へ呼んで話聞いてみ。僕も同席して話したろ」


「ですが・・・」


「あっそれと、新山から預かってる10万なぁ、今晩、協力業者の会合があってなぁ、そこへ新山も来よるみたいやから、俺から返しといてやろ」


「それは自分から責任を持ってお返しします」


「気い使かわんでもえぇ、ついでやからかまへん」

と、影山は右手の手のひらを出して言った。


髙﨑は薄っすらと涙をこらえながら、微妙に震えた右手で福沢諭吉を10枚、影山の手のひらの上においた。


影山は受け取った10万を懐に入れ、その場を立ち去ろうとした時、振り返り様にこう言った。


「今晩、新山と麻友子ちゃんの店行くんやけど、何か伝言あるか?」


「いえ、特には・・・」


「そうか、とにかく業者から見積とる時は三社見積が基本やぞ。分かるなぁ」

と言って、影山は、微妙にニヤッとして、その場を立ち去った。


「くっそーーーーーーー!」


その晩、髙﨑の鳴き声混じりの犬の遠吠えにも似た叫び声は、夜が明けるまで止むことはなかった。


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