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可愛い俺

作者: せおぽん
掲載日:2025/12/01

幼い頃から、俺は可愛い顔をしていて何かと得をしてきた。


赤ん坊の頃は近所のおばさん達のアイドルで、

毎日キス攻めに遭い、俺のほっぺはいつも涎でベトベトだった。


幼稚園の頃は、普通に歩いているだけでお菓子を貰えた。夕飯を食べられなくなると親に叱られたものだ。


小中高もモテモテで、女の子の集団があれば

その中心には必ず俺がいる。と冗談になるほどに、俺の可愛さは有名になっていた。


大学に入る頃には、俺は確信していた。

「俺の可愛い顔は無敵」なんだと。

実際、女に養われるヒモ生活だって余裕だった。気に入らない女はすぐに振った。すぐに別の女が養ってくれるから。


だが四十を過ぎた頃から、身体が俺を裏切り始めた。不摂生な生活で腹が出てきた。髭も濃くなった。朝に綺麗に剃っても昼には青くなっている。


それなのに…、顔は可愛らしいままなのだ。肥えた中年の身体に可愛らしい子供のような顔が乗っているのだ。


五十になりハゲた。僅かにまだらに残る毛が余計に見苦しい。


六十で腰が曲がり、歯も抜けた。

それでも、顔だけは昔のまま、幼く可愛い。


いつからだろう。

人が俺を見る目が、“可愛い”ではなく“気持ち悪い“に変わったのは。


背が低く腹は出ていて頭の毛は無い、さらには性格までも悪い。顔だけがかわいらしい六十の男。


皆は気味悪がって、いつの間にか俺の周りには

誰もいなくなった。


俺は鏡を見て、笑ってみた。昔と変わらない幼く可愛らしい笑顔。


しなびれた皮膚。

曲がった腰。

たるんだ腹。

毛のまだらな頭。

隙間だらけの歯。


顔だけが幼く可愛らしい俺が、鏡の中で笑っている。



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