カティルハーレム編1
この物語は、金属パーツの連載作品『LIGHTNING EDGE-神々に挑む剣 -』の
外伝系短編であり、先にそちらの作品『一話 シーンend『絶叫』まで読んでから見ることをお勧めいたします。
少なからず性的な表現が入りますので、苦手な方はご注意ください。
〈なんで・・・こんなことに〉
それは、その日の晩。
具体的にはベロニカ頭ガブリの直後のことである。
その日はどうしても抜けられない用事があるユリは退場してしまった。
「ごめんね、みんなー。今晩は予定があるんだ~じゃねー
でゅへへへへっ、待っててくださいね~レインすぅわーん」
カティルとイツカはギラギラしたオーラを纏ったベロニカに引きずられ、
なんとカティルの部屋へと連れ込まれてしまった。
部屋の主だというのに、カティルは怪我の治療を受けることもできず、
頭からビュービューと血を噴出しているのもそのままに、
部屋の地べたに正座させられている。
「あの・・ベル?そろそろ話を・・」
ドン!
言いかけたカティルの言葉をベロニカは床を力強く踏み鳴らして黙らせる。
「口答えしない」
ますます怒りの業火に燃え上がる眼差しをカティルに叩きつけていた。
〈だめだ、今のベルは言ってみれば、殺意の波動に目覚めたドラゴン状態だ。
これじゃ言い訳のしようもないじゃないか・・〉
それもその筈、この時、ベロニカは脱衣所にてイツカから爆弾発言を食らい、
衝撃をうけ怒り狂ったそのままに体が動き、二人を引きずってきてしまった。
夕飯抜きだ。
エレニー特製のカリカリイカフライシーザーサラダ〈ダイスチーズ増しまし〉を
心のそこから楽しみにしていただろうが。
それを曲げてまで、彼女は、この場に立っているのだった。
全ては裏切り者を断罪するがために。
対してカティルはただ縮こまり、身を震わせることしかできずにいた。
それに反してイツカであるが、彼女は部屋の中央にドドンと備え付けられた
ベッドの上で悠々とくつろいでいた。
この差は何処から来たのだろう。理不尽だ!
「で?聞かせなさいよ。何時からなの?い・つ・か・ら?
ド鬼畜外道勇者様は、この、小さな可愛いイツカちゃんにオイタするようになったのかしら?」
ベロニカはイツカの頭を撫でさすりながら、カティルを見下ろす。
確かにイツカは小柄で、俺達よりも頭二つ分ほど小さい。
胸もチッパイで、顔立ちも幼く見える。
だがそれでも、年齢はカティル達と同じ筈だ。
ナニをしても訴えられる筋合いはないし犯罪性は一つもないと断言できる。
胸を張って「俺は悪くねえ!」と言えば良いのだが、再びベロニカが
床ドン!をした時、悲しくも彼から反抗の意志を奪いさってしまった。
「あの、な。以前倒した、ウェルプアのこと・・・覚えてるか?」
「それって・・・三か月くらいまえだっけ?」
これまでに出現した神獣の数、35柱〈土蜘蛛は対象外〉
その内、カティル達が討伐した神獣は、彼らが活動を開始した
この一年の間で9柱。
神獣ウェルプアはその中で6番目に討伐した神獣であり、
イツカが仲間として参入してから、二柱目に倒した個体だった。
それはこのラシューア大陸の南東の端、およそ大小あわせて150ほどの島々が
浮かぶ自由通商連合の支配地域の島々の中で、数十人規模の住民が暮らす小島で
大昔から信仰されてきた『漁を司る守り神』だった。
その姿はハコ亀に似ていた。
だがその前足には人間のようなゴツゴツとした五本の指が揃っており、
時に二本足で立ち、人の手がするように岩や木々を掴み投げつけてきた。
その口の中には、カエルのように良く伸びる舌があり、重く固い鉄塊のような
部位が付いていて、それを力強く振り回して叩きつけてきて、レンガや石作りの
家々さえも安々と砕いた。
そして最大の武器がその甲羅であった。
その甲羅の殻一枚一枚に魔力が込められており、ウェルプアはそれらを自由に
分離しては姿を変える能力があり、時には重い鎧と剣を装備した兵士のような
姿へと変わり、時には氷の銛〈もり〉を投げてくる漁師のような姿へと変え、
時に火の魔法を放つ魔導士のような姿となって、けしかけてくる。
その甲羅の数、実に1000枚の軍勢によって、一時は大きな打撃を受けたものの、
その地域一帯を支配する自由通商連合が指揮する軍艦十隻の支援砲撃も手伝って
討伐に成功する。
だが、それまでに島民や船乗り達に多くの被害を出しての辛勝であり、
カティル達が去った後も、復旧作業がしばらく続いたようである。
カティルとイツカの関係が始まったのは、その討伐が終わって帰国の前日。
島内で戦勝の宴会を開いてた夜のことであった。
「あの時さ・・・まだイツカはパーティーの仲間として入りきれてなくてさ。
孤立してたよな?」
「・・・そう言われればそうだったかも」
〈今では十分馴染んでるし、私にとってもユリにとっても可愛い妹みたいに見えてむしろ大好きな子だわ。
そう思えるようになったのは何時からだったか曖昧だわ。なんでだったかしら?
たしかレルさんを別にして、イツカと最初に話せるようになったのが
カティルじゃ・・・〉
「あの時さ、俺、イツカが一瞬宴会を抜け出して、居なくなったのに気づいてさ。ちょっと探しにいってたんだよ。
そしたらさ、イツカのやつ・・・村から少し離れた浜辺で泳いでたんだ」
カティルはイツカをチラリと眺めた。
それに気づいてイツカは少し頬を赤らめて顔を伏せる。
なんか嫌な空気になったとは思わないが。ベロニカは一瞬、
甘い何かの香りを感じ取った。
「あの時まで、実はその、俺恥ずかしいんだけど・・・
イツカのことを男だと思ってたんだ」
「・・・はあ」
「ご、ごめんねカティ、イツカ、自分で女の子です、言わなかった、から。
あの時のこと、は、ノーカンで」
「いや良いんだイツカ、言わせてくれ。
俺、男としてやっぱ、隠しごとなんてダメだったんだ。
お前のためにも、俺・・・正直に生きたいんだ、イツカ」
「・・・カティ〈ポッ」
見つめ合い、二人だけの空気を固めつつあるカティルとイツカ。
それがなにやら、ベロニカにはムズムズして気に食わなかった。
「ゴホンゴホン!・・で?どういうタイミングで、イツカが女の子だって確認できたのか・し・ら?」
ベロニカはことさらに刺々しく話を引き戻す。
「・・・あの時、俺がイツカの名前を呼んたら、海の中から顔を出してさ。
無表情で冷たい目でさ、俺に『何か用?』って聞いて来たんだよ。
んで俺が、『皆が心配してるから、そろそろ戻らないか?』って聞いたらさ。
イツカが海から上がってくれたんだけど・・・
その、イツカの奴、何も着てなくて」
「・・・・・・・!!」
顔が茹ダコのように真っ赤に染まったイツカ。
何を思いだしたのか、無言でイツカはカティルの頭をポカポカと叩き始めた。
「イタッ、イタタ、ちょっイツカ。イタイって・・・やめ・・」
「ダメ!イツカやっぱり恥ずかしい!カティルダメ!そこ思いだす、禁止きんし!」
イツカとカティルの距離がますます近づいている。
たまらずにカティルはイツカの腕を掴んで立ち上がり、イツカの暴力を止めようとするのだが。
イツカの腰を掴んで抱き寄せたり、妙にお互いの唇が触れ合ってしまいそうなほどに顔を近づける様は、もう痴話げんかの範囲を軽く飛び越えつつあった。
甘ったるいイチャイチャを見せつけられ、自分だけが場違いな所にいるような
孤独感をベロニカは感じていた。
ベロニカはたまらずにこれで三度目の床ドンを放つ。
瞬時に、カティルとイツカは離れて、もとの定位置へと戻る。
「それで・・・?イツカの裸を確認したカティルくんはぁ?
イツカが女の子だってその時に初めて知っちゃったのね?」
「・・ハイ」
「その後はどうしたのかしら?」
無自覚にもベロニカの身を焦がすような嫉妬の炎に次々と薪が投入されていくのを感じていた。
その形相が鬼のように、悪魔のように黒く染まっていくのを感じ取り、
カティルとイツカの顔から余裕がなくなる。
「その・・・月明りに照らされてとっても綺麗だ・・エッチだなぁ、
と思いました」
「感想なんか聞いてないのよ。な・に・を・し・た・かって聞いてるんですー」
「あの・・その・・気づいたらイツカの手を掴んでました」
「それから?」
「それから・・・い、イツカの、腰を掴んで抱き寄せてしまいましてぇ」
「そ~れ~か~ら~?」
カティルは言葉に詰まる。
もうそれからどうなったのか、ベロニカにも大体の想像はついている。
だが、それでも、タジタジとして臆病風に吹かれているこのカティルに洗いざらい喋らせなくては、ベロニカの心は治まるモノではなかった。
「・・・唇を奪って、びっくりしている所を押し倒して、初めての・・・
しました」
横を見ると、イツカの顔からは湯気が立つほどに赤みが増し、その手を両手で覆って隠していた。
どうやら嘘ではないらしい。
「・・はああぁぁぁあああぁぁあぁあぁ・・・あーあーあーあーあー」
途端に怒りは引っ込んだが、その後から来る虚脱感というか虚無感が
ベロニカを襲った。
ベロニカはフラフラと体から力を失って地面にへたれ込み、天井を仰ぎ見る。
〈あーあー・・・私とカティルは同じ村で育ち、幼馴染だったのよ。
なのになーんでー〉
ベロニカは少しオマセさんで、それこそ小さい頃からもうカティルの初めては
自分が奪うと心に誓っていた。
カティルと温かい家庭を築いて、沢山の子供達と孫たちに囲まれて
余生を過ごすのが夢だった。
それがどうしたことでしょう。可愛い妹分に、横取りされていました。
どうしてこんな、ことに?
絶望の底へ叩き落されたような感覚をベロニカは味わっていた。
そこへ次の瞬間。
またパチパチとくすぶっていた怒りの燃えカスの中から、
まだ燃え尽きてない火種が生き残っていたのが目覚め始める。
脳内でその火種がポトリと落ちた。別の所に引火してメラメラと燃え始め、
嫉妬の炎が強まってくる。ベロニカの目に再び火が灯る。
のろのろとベロニカが立ち上がると、再び彼女はカティルの両肩を掴んで、
その顔を睨みつけた。
「・・・ちょっと見せなさいよ。今から、あんた達がどうやってヤるかを」
〈なに・・・これ・・・すっご〉
ベロニカはただ、そのたった一つ置かれたベッドの上で繰り広げられた宴を終始
眺めた。
外野として。
輪に加わらず、空気に徹して、二人の男女の営みを見守った。
「うっ、ううっ、イツカ、でるっ」
〈うそっ、カティ・・・そんな・・・まさか抜かずに出しちゃったわけ?〉
イツカをギュッと抱きしめるとカティルの前後運動がピタリと止んだ。
ベロニカにもきっとイツカにも、それが何を意味しているのか簡単に察することができた。
暫くするとイツカの体内からカティルの接合器はズルリと抜け落ち、
イツカから身を離すとカティルはゴロンは寝そべって、天井を見つめながら眠りについてしまった。
イツカの方もまた、その行為で非常に疲弊したと見えて、ぜえぜぇと
肩で息をしながら、失神するような形で意識を飛ばしてしまっていた。
ベロニカは二人を起こさないように気を付けつつ、ノソリノソリとベッドに上がると、二人の足元に陣取って、足先から見上げるように、寝静まる二人の様子を
眺めていた。
今、ベロニカの目の前には二つの景色が広がっている。
先ずイツカの内股の更に奧から、とろりと白っぽく濁った雫が
零れてくるのが見えた。
〈や、やっぱり出したんだ・・・カティ。ズルい!
きっと今までも何回も、私が知らない間にイツカの中に・・・〉
悔しい筈なのに、それ以上に妬ましい、羨ましい。
自分が欲していても未だ手が届かなかったモノが、イツカの奥から溢れてくるのを見て、ベロニカの心がちくりと痛み苛立った。
〈それもこれはコレのせいなのね。こんな、小さな子に手をつけるなんて、
なんてなんてなんて・・・・・なんって聞かん棒の暴れ馬なのかしら!〉
ベロニカがイツカから視線を外した先に、目に飛び込んできたのは、
モロだしにさらされたカティルの接合器だった。
イツカの蜜でたっぷりとまみれ、
まだヌメリを帯びたように怪しくテカっている。
瞬間、ベロニカはゴクリと喉がなる程に唾を飲み込んでしまう。
〈これが、夢にまでみた・・・カティのお●ン●ン・・・なんだぁ〉
すかさずベロニカはノソノソとカティルの側へすり寄ると、彼の接合器を間近から捉えて観察を始めるのだった。
〈うわぁ、テカテカしてる。昔、小さい時にお父ちゃんの見たことあるけど、
あれよりももしかして・・・大きいんじゃ?〉
ベロニカはマジマジと観察を続ける。試しに、ゆっくりと顔を近づけた。
クン・・クン
〈うっ・・・くっさ・・・〉
あまりの刺激臭に顔をそむけてしまう。
クンクン・・・
〈こんな・・・はぁ、イツカの言葉に違いなく・・・はぁ〉
クンクンクン
〈くっさい・・・・カティ本当にお風呂入ったのかしら?・・はぁはぁ〉
クンクンスーハー
〈こんなくさい、おチ●チ●、スー・・・・舐めさせるだなんて、
本当にカティって・・スーハ~・・・・クズのダメダメ勇者なのね。
変態なんじゃないの?〉
スーハ~スーハ~
〈ああ、、ダメ・・・・・頭、ボーッとしてきちゃう。臭いの良い。
お鼻バカになるの良い・・・・クサクサカティの馬鹿ちん●、
嗅ぐの止められないよぉ〉
すーーーーーーーーーーはぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
すーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
はぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああ
ベロニカはとうとう、まるで良くない薬を常用している人のように表情がとろけてしまっていた。
その片手は自然と自分の内股へと伸びる。
もう後戻りもできないというように、イツカの蜜と合わさったカティルの接合器の臭いを嗅ぐだけでは飽き足らず、ついに残りの片手でカティルの接合器に触れた。
〈ああ、こんな臭いのに、どんな味がするのかしら・・・・・
どんな・・・・どんな・・・〉
くちゅり
ベロニカの下着越しに触れた指が湿り気を帯びた水音を立てた。
そして、彼女はたまらずにカティルのソレを力強く握ると、大きく開いた口の中へ飲み込んでしまう。
「ああああああん、もぐっ」
パクッ
〈・・・・あ、味は意外と美味しいかも?〉
少しばかり塩味が混じったような味わいがベロニカの脳を刺激し、
今までに感じたことのない幸福感が彼女の胸の内に広がっていった。
そのまま口の中全体で頬張り、不慣れながらも舌を動かしてカティルの接合器の
ぬめりを舐め落としていく。
「ん・・・んちゅっ、じゅるるっ・・・んっ、んっ・・・んずずっ」
時に頭を前後に動かし始めるベロニカ。
もうこれは私のだと、まるで独占欲に目覚めた野生の猛獣のように、
ベロニカはカティルに貪りついて離そうとはしなかった。
「ずずずずっ・・・んじゅっ、、じゅぼぼぼ・・・・んちゅっ」
「・・・ベル・・・上手だよ」
ふいに、ベロニカの頭の上に少しゴツゴツとした何かが乗せられる。
まどろみから覚醒したカティルだった。彼はベロニカの奉仕を受けていることに
気が付くと惜しみない笑顔を向けて、彼女の頭にしっかりと手を置くと、
愛おしそうに二度三度と撫でるのだった。
〈・・・カティ・・・〉
あまりのサプライズで、ベロニカの内にはますます高揚感と多幸感が押し寄せる。
もっとカティルを気持ちよくしてあげたい。愛してほしい。
そんな想いが湧き上がってくる。
口の動きや手をも行使してベロニカはカティルに尽くし始めた。
だが、不運は突然に訪れる。
気を抜いた一瞬のこと、ベロニカの口の動きが軽快になり、カティルを楽しませようという思いが頂点へと達したことで悲劇は起きてしまう。
ガリっ
うっかりベロニカの糸切り歯が、カティルに刺さった。
「あああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!!!」
その晩、二度目のカティルの絶叫が闇夜にこだましたとかしないとか。