第十四話 王国滅亡編 侵攻状況
俺が率いる第一軍は順調に都市を滅ぼして回った。
数百人規模の村にはデュラハン一体に指揮を取らせ、屍魔獣を中心として機動力重視の別動隊で潰して回らせた。
まあ効率重視だからな。
どこの都市も似た様な造りだったので、門をこじ開けてしまえばなんてことの無い。最初の都市と同じ事の繰り返しで作業の様なものだ。
まあ唯一違う事があるとすれば、増えた配下だろう。
唯一俺だけが配下を増やせるので、最初の軍は他よりもかなり少なかったが、今では七十万の大軍勢になっている。
一体一体は弱いし、数で攻めるしか手段は無かったからな。
仕方が無い事だ。
『陛下。王都ノ性格ナ地図ヲ発見シマシタ』
それと新しく配下にあったリッチだが、どうやら俺が教会で殺した司祭の成れの果てらしい。見覚えのある法衣に身をくるんでいたので、間違いないだろう。
改めて考えて見ると、聖職者が死霊になるってどうなんだ?
まあかなり強力な魔法も使えるし、知性が合って軍の指揮も取れるので重宝しているんだけど……。
まあそんな感じで二週間で二つの都市、七つの街、二十七の村を滅ぼし、予定よりだいぶ早く王都に到達したのだった。
ファフニールは空の飛ぶ最中、改めてあの出逢いに感謝していた。
魂だけの身のファフニールは人と対話する事が出来ず、あのまま怨念を抱えて永劫の時を迎えるのかと思っていたが、突然現れた黒髪の青年によって復讐の機会が与えられた。
名をコハク・ミヤタ。【死霊術師】であり、事実上のファフニールの主だ。
最初の街をゾンビだらけに変えた時で粗方鬱憤を吐き出せたが、今度は主に仕えてみたいという欲求が湧いて来た。
任務を言い渡された後に、国王の首を一介の配下であるファフニールに与えて下さると言うのだから、器の大きな方だ。
漆黒竜ファフニール。いや、今は死竜ファフニールとしてあのお方に誠心誠意お仕えするのみだ。
すでに都市を三つ、街を四つ、村を七つ程滅ぼして回って来た。
以前は火炎を放つだけだったが、今は死竜息と炎の両方を吐けるようになった。どちらも威力は強力だが、陛下に仕える以上は配下を増やす手伝いをしたほうが良かろう。
使役するまでは出来なかったが、街に閉じ込めておけば他の都市を襲う事もあるまい。後から主に使役して貰えばいいのだ。
そんな手法でやって来て、四つ目の都市の前に降り立った。
『聞ケイ! 我ラノ王ハ従ウノナラバ命ヲ助ケルト仰ラレテイル! 従ウノナラバ白旗ヲ上ゲ、降伏セイ!』
問答無用で消しても構わないが、主の指令に「抵抗しないなら生かす」という項目があった。面倒だが適当に声を張り上げ、時を待つ。
今までは魔法や弓矢が飛んで来たので、一瞬で踏み潰したが今回はどうだろうか。
だがファフニールの予想とは違い、この都市は城壁の上に白旗をあげた。
皆武器を捨てているのが良い証拠だ。
『……ヨカロウ。ソノママ動クナ。他の都市ニ連絡ヲ取ロウトシタ者、脱走シヨウトシタ者ガイタ場合ハ連帯責任デ都市ソノモノヲ滅ボスト知レ』
少しがっかり。
ええい、次の都市の時に暴れてしまえばいいのだ。次の都市で。
しかしこの先にある都市や街は次々に白旗を上げて降伏し出した。
『ツ、ツマラン』
ファフニール
死竜 男 5867歳
レベル234
職業 【魔導師】
スキル
・死竜息
・竜鱗
・元素魔法
・時空収納
結局、ファフニールは都市を三つ、街を四つ、村を七つを滅ぼしただけに終わり、その後は都市二つと街七つ、村十三を支配下に置き、文句を言いながら一番の功績を叩き出したのだった。
作者の励みになるので「面白かった」「続きが読みたい」などと思ってくれた方は高評価やブックマーク、感想などを是非よろしくお願いします。