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我、元競走馬だが異世界転生したらなんか天馬になってるんだが!  作者: 堀込ケーシ
旅立ち~上都編

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19/20

旅立ち~上都編・10

 話は、ステファン達の転生前と戻る。


 そこには、大勢の観客が競馬場をごった返した最中、ドュケレーはアロドュケレーという名で、パドックを回っていた。


 大事なレースの一戦であり、人間たちのその意識を知ってか知らずか、アロドュケレーはひしひしといつもと違う状況だと理解しつつあった。


 前のレースでも、人気は下の方ながらも彼女自体は2着に入るという大番狂わせを起こしており、乗っていた騎手も「出てみるものだ」と驚くばかりの感想を残すほどだった。


 今回の人気順位も、下から数えた方が早い状況だが、少なからず彼女を応援する人は戻ってきていた。

 そして、この大一番のレースの一番人気は、そう。

 

 斑模様が美しい、葦毛の馬。

 

 ステファノメグロであった。

 

 (彼が……。そうなのですね……)

 

 パドックを回る、彼を見てその並々ならぬ雰囲気に意識せざるを得なかった。

 

 彼の単勝の倍率は、なんと1.0代というほとんどの人間が『彼』の勝利を信じていたほどだった。

 

 (力比べは、負けたくありません……)

 

 そして、騎手が彼女の背中に乗り、レース場へと、向かう。

 

 状況は、あいにくの雨であったが、馬場自体はそこまでぬかるんではおらず、良ともいえる走りやすい状況であった。


 馬番は、2番という内側から。ファンファーレが鳴り響き、拍手とともに大歓声が上がる。そして、続々と彼らはスタートゲートに立ち、アロドュケレーも立っていた。

 斑の彼も、スタートゲートへと入る。

 そして、歓声を上げた者たちは、今か今かと見守っていく。

 

 そして……。

 

 スタートゲートが開く。

 

 一斉に『彼ら』は、走り始めた。

 

 まずまずのスタート。アロドュケレーは足を溜めるため、右によりがてら最後方に位置し、ステファノメグロは前から3番目の位置をキープしていた。

 

 アロドュケレーは、後半に一気に足を解放して抜き去るという戦法だ。

 

 最後方は、騎手やアロドュケレーからはどの馬がどう走っているか観察ができる場所。

 あとは、訓練通りで、騎手の手綱から伝わる、指示を待つ。

 

 第2コーナーに差し掛かる。各々のポジションが決まるところ。第2コーナーが終わり直線に差し掛かったところ。

 手綱からの指示が、来た。

 徐々に、スピードを上げていく。手綱から、方向は示される。

 (外側から……なのですね……例の彼は……)

 

 いた。葦毛の彼は先行策で、まだ前から3番目をキープしていた。アロドュケレーは目の前の馬と並び立ち始める。周りの競走馬も徐々にスピードを上げていき始めていった。


第3コーナーに差しかかかったところで、気づく。


(!?)

 例の彼も、既にスピードを上げていた。そして、並々ならぬプレッシャーを発して。

 周りの物を寄せ付けない走り。すでに、先頭を走る勢い。


 (負けてたまるか……!)


 ごうごうとした風が、アロドュケレー周りを包む。しかし、疾走は止まらない。むしろ、もっと加速していく。

 

 進路を大外からとの指示が伝わる。外側からだと、多少周りの進路よりも距離が長くなってしまい、周りよりもスタミナを消費してしまうが、それは「鋼鉄の女」であるアロドュケレーなら、問題ないという騎手の信頼による指示だった。


(期待に……応えましょう……!!)


走る走る。走る!


 彼女は、止まらない。気づけば、前の方を位置している。

 だが……。


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


アロドュケレーは、とらえることができない。


そしてそのまま……。彼は、ゴール板を先頭で通過することとなった。


歓声と紙が舞う。


そして、アロドュケレーが2着。


これが、ステファノメグロが、最高峰のレース4勝目、そして、全体として11勝目の出来事であった。

 

 

 

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