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プロローグ
『あなた達が地の果てまで走るなら、僕たちは天まで昇ってみせますよ』
聞き覚えのないそんな言葉が、自分の頭の中に浮かんだ。それも、自分がしゃべることのできない『彼ら』の言葉で。
どこか親近感もある、けれど会いたくもない感情もあるような。一緒に、緑の場を駆けた戦友。
なぜ、そんなこと思ったのだろう。
足に違和感があったが、今はもうない。
まあ、気にしなくていいか、どうせもう関係がないんだ。
何かから、解放され、満ち足りた気分だ。そう、頭の中に思い浮かんだ、天まで昇るように。
体が軽い。どこまでも、飛んで行けるようだ。自分が、芝生を駆けていた時、空を優雅に飛んでいたあの鳥のように。
どこまでも。どこまでも。どこまでも。
ああ、このように……。
……。