第6章 前編 殺戮の試験?
日常的な生活。壊れてしまった感覚。
朝日を見るたびに現実に戻ってしまう。それが悲しいんだ。
僕は軽くあくびをした。
春が過ぎたことを知らせるように桜の花は全て散り美しい光景が青葉へと変化する。
昼の学校生活3時限目は数学。この学園に入学したばっかりはほとんどの生徒が眠気のせいで半ボケだったが二ヶ月もすぎればなれ、ちゃんとした学校生活が送れていた。
「ねぇ、雅也。あの噂されてること知ってる?」
「知らないけど……何?」
一瞬だけ海斗の方を見るが海斗も同じように口だけ動かしてるようだが口調はとてもウキウキしている。授業に集中しろよ……とは思ったもののちょうど退屈していたところ。
「実力試験のことなんだけど……。」
この時期の実力試験は自分の武器になれた頃に行われる、別名“下克上”試験。参加者は殺戮クラス全員。実力試験は殺戮クラス特有の試験で自分の能力がクラスで何番目かを競うもの。殺し合いまでとはいかないが自分の実力によって立場が変わってくる。たとえば殺戮をするのは上位者だけとか……顧問の先生の、道化師の態度とか変わってくるのだ。その試験でいったい、どうしたというのだろう。
黒板に書いてある文字を写しつつ僕は興味本意で聞く。
「どういうこと?」
「それがさぁ、今度実力試験あるじゃん。それで一番になった生徒は管理生になれるって!」
「そこ、うるさい!」
先生からの注意を受ける海斗。すいません、と言って頭をかき苦笑する。先生からは、その態度が悪いのか睨まれてしまうが授業を続けてくれた。
管理生でなくなるだと……?そんな情報僕は聞いてないぞ。悠夜会長も錐吾先輩からもそんなこと聞いてない。その試験があることや内容は聞いていたが管理生でなくなることはまったく聞いていなかった。
とりあえず放課後、悠夜会長に聞いてみるしかないかな……。
そう思いつつ手帳を開き今月の日程、実力試験がいつ行われるか調べる。実力試験は1週間後。その間、専用武器をどう扱いこなせているかがポイントだ。
訓練は管理生のためクラスとは別指導で受けているのがほとんどだし、それに専用武器の特訓が本格的に乗り出して武器毎に2,3年生に習っているため今の殺戮クラスの生徒各自がどのくらいなのかは分からない状況。
「……おもしろいかもしれないな。」
つい笑みがこぼれる。誰がどのくらい強いのか……はかりしれない相手との闘い。
僕は授業中だったことを思い出し黒板へと視線を注ぐ。びっしり書かれた文字が僕を待ち構えていた。
楽しみに身を躍らせ狂気に目覚めてしまう。
自分の地位を失わないように血へと身を染めろ。