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第5章 昨日の記憶

きついシーンが入ります。

このページをぬかしてもなんら問題はありませんので見たくない方は第6章に進んでください。

僕はソファーに座り今日の日程について話す悠夜会長と真面目な眼差しを向ける錐吾先輩を眺め昨日の事を思いだしていた。




楽しい、たのしい、タノシイ……。

血に染められたその頬をなめた。


夜に浮かぶ月がこの校庭を明るく照らしていた。


「グハッッッ……。」


 黒髪の小柄の男は倒れる。その口からは赤い液体が流れていた。


「フッ……反逆者は消される運命にある。この学園に送られたお前は逃れることが出来ないんだ。」


 僕は笑う。だってこの快楽の瞬間を味わうことが出来るのだから。飛び跳ねる赤い液体。水溜まりのように地面にたまった血は僕の顔を映し出す。黒く闇のようにずさんでいる僕の目。夜間授業専用のボタンではなくチャックの学ランは赤く染まっている。

なんて悲痛な顔をこの男はするんだろう。悲劇、懺悔、嫌悪。全てこの男にあてはまる。もっと歪め!その醜い顔を!膝をつき僕に許しを求めろ。


 僕は小型ナイフを持ちかえる。そのナイフには赤い液体がたれていた。男に対し蹴りを入れる。


「ハ……グハァっ。」


男がお腹をおさえるも僕は鼻で笑う。そして何度も体中に蹴りをいれる。


「やだ……。俺はまだ死にたくない。」


口から最後の言葉が漏れる。あぁ可愛そうに。


「さよなら……弱者の反逆者さん。」





グサッ。





「ギャアアアアアアアアアアア!!!」


男はさらに身体をよじらせ恐怖に染まる。醜い。

あぁ、制服が赤くなってしまった。まだ一ヶ月もたっていないのにもったいないな。

僕はどうでもよさそうに顔を上げ前髪を整える。


「後の処分は任せるよ……道化師。」

「気配を消していたのにもかかわらず見破ったとは。いいだろう……仮にも教師に対しその口調はいけすかんが貴様の事は認めてやる。」


その言葉に我に返る。自分は生徒なのだから敬語を使わなくてはいけないんだ。それも1年生だし。


「ありがとございます。にしてもいいんですか?僕だけこんなことして……。」


後ろから感じる気配と声だけを頼りに死んだ男の顔を見下す。赤い血に染められた顔。醜い形相。


「貴様は管理生だ。何をするにも1番でなければいけない……明日はクズではなく殺人鬼を貴様に殺らせる。楽しみにしてろよ。」


その声とともに消えた気配。やっと今日の授業の終わったか。僕は寮に戻ろうと歩き始める。


 殺戮生徒が帰った後の特訓。管理生と言われるだけで殺戮生徒とは違う訓練。初めは一般人から始まり今では裏組織の殺しも出来ない下級相手。そして明日は殺人鬼。このままいけば何にたどり着くやら。


「おーい。雅也!遅いから迎えに来たよ!!」


夜の暗闇から現れたパジャマ姿の少年が手を振りながら走ってきた。茶髪の髪に無邪気さが残るその顔は海斗。

高校生にもなってパジャマとかウケルよね。


「海斗。どうしたんだ?先に寝てろって言ったじゃないか。」

「寝たよ!!でも起きちゃったんだよ!それに雅也帰ってきてなかったから迎えに着たんだよ!!」


 そう言って安心そうに笑う海斗。僕の目は明るく光に満る。まるでさっきのことが嘘のような穏やかな顔。同じ殺戮クラスといえど海斗とは練習が違う。管理生は一般生徒……あらため殺戮生徒とは別の特訓が虐げられる。一緒に特訓するときもあるがほぼ個別だ。


「今、特訓はどこまで進んだんだ?」


 一緒に特訓したのは5日まえぐらい。その時にやっていたのは反射神経を鍛えるために2,3年からの攻撃を素手で受け止めるかよけきること。一歩間違えれば命の危険性も危なくない。ケガをした生徒は半分以上。骨折者もいれば、切り傷一つですんだ奴もいる。もちろん一歩進んだ特訓をやっている僕は傷一つなかった。実力の差がありすぎるため管理生が参加していないことが良かった。錐吾先輩の話しによると去年は自分以外は全滅だと聞いた。恐ろしき2,3年生。しかも悠夜会長の直にくる格闘技によって負傷者は完治するのに時間がかかったとか。

 武器を使わない悠夜会長。それは武器を使う必要性を感じたことがないからだと本人は言ってたな……。


「う〜ん……。自分の専用武器鍛えてる!!やっぱ先輩は強いよね〜!」


そう言ってにこやかに笑う海斗。まだ殺しまでには入ってないのか。

そのことに安堵しつつ日常的な会話を始める。






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