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第8章 後編 試験中は隅っこで

最初の方に悠夜会長と錐吾先輩の会話が入ります。


区切りが良いところで本編に戻ります。

西校庭ー悠夜会長が支配下におくこの校庭は木が1本もなく辺りが見回せるほどだ。

僕は冷たい視線で校庭のゴミとなった3年の先輩方を軽蔑し優しげな笑顔で中央に佇む白い制服姿の彼にため息をついた。暗い景色のなかでも目をひく金髪。僕の存在に気づいたかのようにその蒼い瞳は細められた。


「辺りは血の海とその残骸。なのに貴方はその返り血さえ浴びてないとは……神というより化け物じゃないですか?悠夜会長。」

「なんとでも言えばいいよ。2年は錐吾君がやっぱり残ったの?」

「はい。なので2年の方の試験は終了しました。ちなみに僕は見学しに来ただけなので闘うつもりはありません。」

「そう……。退屈していたところだったのに。」


悠夜会長はつまらなそうに視線を落とした。一つ一つの動作が妖美で血の気がひきそうになる。赤い世界に佇む白い彼。違和感を感じるほど似合ってない。


本当に人には見えない。


「だいたいの3年が悠夜会長へと闘いを挑むんですよね。貴方にさえ勝てれば学園1位と呼ばれることはおかしくないのですが悠夜会長もその地位を与えるほど優しくないわけですか。」

「いつもは称賛と敬意の眼差しを向ける彼らだって所詮は殺戮生徒。僕に対して情などない。表面上にすぎないんだ。そんな彼らに優しさなど必要ないだろ。」

「さすが『殺戮の貴公子プリンス』の異名を持ちますね。尊敬してますよ。」


多くの敵を蹴散らしてきたことは分かるが彼は息を切らすこともなくさっきまで闘っていたことが嘘のように血が1滴もついていない。だから違和感を感じる。彼がやったようには見えないから。それに比べ自分は相手の返り血を浴びて所々染みになっていた。


「問題は1年だね。雅也君……残っているかな?」

「分かりません。」


自分の言った言葉に疑いの目を向ける悠夜会長はどこか恐く感じたので補足する。


「1年に結構強い子がいるんです。誰かを傷つけること悪いと思わない非常な子が。そして瞬発力、力量、策力……どれも申し分のないくらいで最初はどうかと思ったんですけど磨けば光るとはこういう事を言うんですね。」

「それほど分かっているとは専用武器は弓矢なんだね?」

「はい。あれだけの期間であそこまで取得できる人間はそうそういませんよ。」

「だったら見物だね。雅也君がどれほど成長したか。そして管理生にふさわしいのがどちらか。」


悠夜会長はそう言うなり東校庭へと歩き始める。


「良いんですか?そんな行動して。もしかしたら道化師に見つかるかもしれませんよ。」


学年別校庭に別学年の者が立ち入ることは許されていない。それも実力試験の時にだ。


「良いですよね?道化師。僕らはどうせ試験が終わった身なんですし。」


この場には2人しかいないというのに問いかける悠夜会長の言葉に答えるように足下の近くに道化師のナイフが突き刺さる。そのナイフを抜き取り手に持つ悠夜会長は東校庭へと歩き始めた。


行って良い……と言う意味なのでしょうか……?


僕もついて行くことにした。










「あー!!もう。どこだよ!雅也!!」


海斗が慌てたように大きな声で叫んだ。馬鹿な奴……それじゃ居場所が分かってしまう。


「ここだよ。海斗。」


僕はわざとらしく低い声で海斗を上から呼んだ。


海斗は、ばっと後ろからの声に振り向くが誰もいないのを確認し驚きの表情を作り出した。


「待てよ!俺がいる場所はそもそも木の上だよ!後ろから声がするわけがない……。だったらどこから?」



僕は海斗が驚いているのを良いことに瞬時に動き出した。


ヒュッー


「えっ上からナイフ!?上に雅也がいるの?」


ばっと上を向く海斗。だけどこれで僕の勝利は決定した。

僕は地上から矢を海斗へと投げた。海斗の腕に当たり服に血がにじむ。


「なっ!?なんでー!!」

「僕はやはり主人公のようだ。」


勝ち誇ったように僕は鼻をならした。これで僕は管理生だ。悠夜会長を観察できる。


「あ〜!負けた!!どうしてどうやったの雅也?」

「海斗が1瞬だけ矢に集中してるとき殺気がなくなるんだよ。今まで殺気がある場所から矢が来ていたから。そこで、木のてっぺんに登ってナイフを不安定な状態で置いておいたら落ちるだろ。ナイフより先に海斗に近づいて声をかけて下に降りたときに地面に突き刺さっていた矢を海斗に向かって投げたんだ。」

「雅也……速すぎるよ!!あー!せっかく誰にも邪魔されないように雅也以外倒してきたのに!!やっぱりゲームみたくいかない〜。現実みるしかないのか……。」


本当に主人公気取りでいこうと思ってたのか。別にこんな異常な学園生活の主人公はそれぞれだと思う。それは一般生徒から講師へとなったばかりの先生。一人一人の物語があると思うから。だから海斗も一人の主人公だと思うんだけどなぁ。

僕はがっかりと言わんばかりのオーラを出し道ばたの草をむしる海斗を見た。

やれやれ、まだ分かんないのか。




パチパチパチー




僕はここにいるのがおかしいと思って眉間にしわを寄せた。拍手の音が聞こえるがそこにいたのはココにいるのがおかしい相手。

海斗は嬉しそうに顔をあげた。


「錐吾先輩!悠夜会長じゃないですか!!!どうしてこんな所に!」

「海斗……負けたのですか?」


錐吾先輩が地面に突き刺さっている矢の数々を見る。


「すいません!でも面白かったです!!」

「矢の無駄うちは避けて下さい。当たらないと分かったら打たずに相手の隙をうかがうものです。」


そうだよ!ついでに地球温暖化についても考えてくれ。

にしても錐吾先輩に訓練受けてたのか。冷静に考えればそうだよな。専門武器の使い方を教えてくれるのは手だれている先輩方か。


「雅也君が勝ったんだね。どうだった初めての試験は……?」


悠夜会長はさっき海斗が避けて地面に刺さった僕のナイフを手に取り笑顔で渡してきた。


「楽しかったです。でも僕もまだまだですね。もっと道化師に鍛えてもらわないといけないかもしれません。」

「雅也はもう強くなんなくていいの!俺が困るだろ!!」


海斗が僕に対しつっこみを入れた。その姿はさっきまでの闘いが嘘のようだ。


「その意欲が大切なんだよ。雅也君、君は今まで強くは望まない子だったけど親友との闘いが君を変わらせたんだね。」

「いえ、とりあえず管理生であればいいんです。それ以外は面倒なので望みません。」

「クスクス。……それが強くなるってことだよ。努力しなくちゃね。」

「僕は悠夜会長、貴方を……。」

「雅也〜。まさかの告白とかしないよな〜!」


僕の詰まった言葉に海斗が怪しく笑った。


「はっ?何を言ってるんだ。僕はそんなつもりで言ったんじゃない。」

「じゃあなんて言おうとしたんだよ?」

「どうでも良いだろ。あぁ疲れたな。」


僕の心の内は知らなくて良いと思う。

沈黙していた錐吾先輩があごに手を置き考える動作をし口を開いた。


「そういえば悠夜会長。先日噂で男子陸上部部長に告白されたと聞いたんですが……。」


えっ……?今男子からって。


「錐吾君。まさか信じてるの?」

「はい。あながち嘘には見えませんでしたし。陸上部部長の熱い視線はいつも悠夜会長に向けられてましたしねぇ。承諾したんですか?」

「……するわけないだろう。」


ゆっ悠夜会長の笑顔がひきつる。錐吾先輩、何故張本人に聞くだなんて大逸れたことを!負けず劣らず無表情な錐吾先輩も怖い。


「錐吾君。悪いが僕にはそっちの気はない。それに丁重にお断りしたよ。泣きながら去ってしまって陸上部だけあるねぇ。」

「それは良かったです。神と言われる貴方が道を踏み外したらどれだけおもし……ゴホン。大変だったことか。」

「可哀相なことに翌日には学校に来なかったんだ。噂では階段から落ちたと聞いたんだけど。」

「ベタですね。きっと誰かに突き落とされたんでしょう。」

「彼がBクラスでなくて良かったよ。きっと階段から落ちただけでは済まなかったろうに……。」

「本当です。きっと自ら顔面ノックする精神不安定者になっていたでしょうね。」


なっなんだ?この合ってるようで合ってない会話。恐すぎる。しかも絶世な笑顔と沈黙な無表情では……ビリビリと殺気が。


「なぁ雅也。俺怖いわ。」

「……僕もだ。」


話に区切りが付いたのか悠夜会長が僕らに笑った。さっきとは違い爽やかな笑顔。


「とりあえず今日はもう帰ってよく寝ること。明日の授業いつも通りだからね。道化師、中期管理生は彼らです。」


そう言った悠夜会長は後ろを向き道化師のナイフを誰もいないはずの木に投げる。


「やっぱりばれていたのか。悠夜、明日は集会で全生徒の目の前で管理生の主任式があるからな。それだけは覚えておけ。」


道化師の気配が消えた。やっぱり見ていたのか道化師。


「じゃあ寮に帰ろうか?」


悠夜会長が寮へと足を向ける。僕らは彼の後を追い、錐吾先輩はゆっくりと僕らの後を追った。




安堵した日々を思い出す

それは悲しい時ばかりだったけど楽しかった




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