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プロローグ
どんなに泣いたって戻ってくるはずがない。
どんなに叫んだって帰ってくるはずがない。
だけど僕らは彼を慕っていて
この闇の世界でたった一つの"希望"だった。
彼がこの闇から救い出してくれると信じていた。
だけど彼は朱く黒く僕らが好む色へと姿を包んでいった。
結局、彼だけはこの世界から抜け出せていたのかもしれない。
その結果は誰もが嫌う最終手段だったけど。
『先輩……貴方だけ、この学園から逃れられたんですね。』
彼の白い頬がもっと白くなって端正な顔立ちは眠っているようにしか見えない。
それが彼の―先輩の最後だった。
続きます。