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45://三章の登場人物紹介



 もはや全てがフレーバーテキストです。



 ●アナベルティナ・タチアナ・スカーシュゴード

 主人公。スカーシュゴード家の長女。十三歳。

 腰まで届きそうな漆黒のロングストレート。瞳は薄い琥珀色。


 二章で第二形態、銀髪の呪紋娘を披露したかと思ったら、三章では第三形態、首から下が緑色のゴブリン娘を披露した。とはいえもうビジュアル的、ボディ的な変身は残していない。ここで打ち止め。黒ギャルになったりはしない。なったら勘当ものの世界ですゆえ。ただし、精神の成長というか変化の余地は多分に残る。


 本人は、自分が頭いいなどとは思っていないが、意外と悪知恵が働く。


 とはいえ、自分ひとりでは何の力も無い貴族令嬢であることに変わりはなく、メインウェポンは嘘やハッタリといった頼りないもの……なのだが、一度死んでいるからか、そもそもの性格がそうなのか、修羅場では妙に思い切りが良い。


 追い詰められれば、拡大する被害を余所目に、邪魔であれば味方すらも切り捨て、もっとも確実に勝てるだろう策を冷徹に遂行しようとする。

 長生きを、本当に心の底から望んでいるのに、自分の命すらも投げ捨てるかような作戦を躊躇(ためら)わず実行してしまう。


 そういうパーソナリティをメイド、サーリャからは心配されているし、それによって彼女を魅了してもいる。




 ●サーリャ

 二年前より主人公アナベルティナに仕えてるレディースメイド。十七歳。

 軽くウェーブのかかった金髪。長さは背中の中程まで。男性の理想……というか妄想を体現したかのような美乳のG~Hカップ(体調で変化)。


 三章でもずっとアナベルティナの従者ポジジョンで随行していた。


 アナベルティナを、ダメな男に惹かれるダメな女のメンタルで愛している。割れ鍋に綴じ蓋。自分自身を大事にしない、自分自身の存在を軽視するお嬢様にヤキモキもドキドキもしている。この娘は私がしっかりしてあげなくては、という氣持ちも強い。


 三章の終盤ではDV……もとい主人からパワハラもされたが、幸せそうだった。

 それをてぇてぇと見るか、こいつらの人間関係は氣持ち悪いと見るか、それは観測者次第。どうぞお心のままに。




 ●アリス

 四百年前の歴史にその名を残す、エルフの女王リーンと、九星の騎士団、団長カイズの娘。外見年齢は十二歳程度。生まれ年から換算した年齢は四百歳以上。髪はデフォルトでは薔薇色だが、魔法で簡単に変えられるらしい。長さも自由自在。瞳の色は光の加減や内面の変化により七色に変化する。


 三章の終盤ではとんでもなく酷い目に()った。色々と。


 ただ、JCな外見年齢の割に、人体損傷シーンなどは見慣れている。普通の人間ならば死ぬような目にも、既に片手の指だけでは足らないほどの回数、遭っている。そんなわけで、今更そんなことでトラウマを抱えるようなメンタルでもない。


 三章では最後の最後で母親への幻想を打ち砕かれた。アナベルティナが口を閉ざしたため、致命傷は避けられたが、そのことでなんらかの心境の変化も起こるのかもしれない。




 ●パザス

 四百年前の歴史にその名を残す、九星の騎士団の参謀軍師。灰礬石榴石(グロッシュラー)の騎士。

 現在は呪いで赤い竜の姿になっている。

 三章も、途中まではほぼほぼずっと移動中で飛行中だった。目撃もされた。


 三章の最終話、44話は、事前プロットには影も形も無かったが、物語をここで完結させるため急遽新造された。

 そんなわけで、いわば何でも知ってるお姉さんポジションのパザスが、そのメインキャストに抜擢されることとなった。竜だけど、オスだけど。


 そんなこんなで、なんやかんやあって、アナベルティナやアリスの近くで彼女らを見守ることになった。多少解せぬ氣持ちはあるが、アリスのことはやはり大事なので、これも悪くないと思っている。




 ●ミア

 アナベルティナと両親を同じくする実の妹。

 ミルクチョコレートのような薄い茶髪と水色の瞳。

 三章では出番もなかったのに危ないヤツから目を付けられた。()せぬ。




 ●ナハト・ドヌルーグバ・ウォルステンホルン

 カナーベル王国軍所属対竜特殊部隊実働隊第二班班長。

 三章の時点では赤竜討伐隊の隊長を務めていたが、退任予定。

 低身長だが、全身からパッシブで闘氣や殺氣が(ほとばし)っている。


 二章での眠り姫から一転、強キャラらしい一面を見せた。


 彼はカナーベル王国内において、その実力を認められてからは非常にモテた(過去形)。結婚してくれと迫る女性も、ただ一夜を共にしたいと迫ってくる女性も、後を絶たなかった(過去形)。


 最初の内は後者を食い散らかしたりもしていたが、やがて飽き、彼の中で自分を求めてくる女性というモノの価値は、最下層へと押しやられた。この価値観は現在でも変わらず。

 近年では手近でお手軽な女を恋人にし、誘いを断る口実にもしていた(過去形)。彼にとって恋人とは、他の面倒を排す便利な存在だった(過去形)。


 そんな生活をしていたバチが当たったのか、三章の終盤ではアナベルティナに両足を斬られた。特に右足の方の傷は深く、刃は骨にも届いた。


 ただ、その傷の位置に運命を感じたのか、それとも少年のような身体の子供から、戦士としての自分を求められたことへ、なにかしらの複雑な感慨を抱いたのか、アナベルティナの軍門に下れという求めにも、比較的素直に応じた。


 別段、ロリコンだったからとかの理由は無い。あったらそれを読んだアリスに殺されているし。

 性癖的には腹筋の割れている女性が好み。


 ただまぁ……アナベルティナがもっと大人の女性らしいスタイルをしていたら、それへの嫌悪感から誘いを断った可能性は多分にある。そんなことで変化した物語なんかコレ。


 ナハト、サスキア王女周辺の展開はプロット上でかなり二転三転しており、現行のパターンに行き着くまでには、ナハトが、アナベルティナを庇ったサスキア王女を殺してしまうという展開もあった。


 ナハトが納まったアナベルティナの懐刀ポジションも、そのバージョンまでは黄蘗鋼玉(イエローサファイア)の騎士、アイアの子孫である入耒院(いりきいん)愛蓙(めござ)というござるキャラが納まる予定だった。彼女、通称めごちゃんは外見が大和撫子で、性格が……某サーヴァント系清少納言のギャルな感じと、某告らせたいのこちらも妄想(エモーショナル)(エンジン)暴走(フルドライブ)してる風紀委員な感じ……そのどちらにするか決めきれぬまま、お蔵入りとなってしまった。すまぬ。




 ●キルサ

 カナーベル王国軍所属対竜特殊部隊実働隊第二班所属兵隊長補佐官。

 赤竜討伐隊の隊長補佐官を務めていたが、ナハトの退任に伴って、おそらくなにかしらの異動が発生する。おそらく。


 元々、ナハトが男性キャラに確定した時点で、女性でなければ担えない役回りに補充したキャラでもあるので、ストーリーの本流には、それ以上存在できない宿命を背負っている。


 というか作者的にはゲストキャラ。別作品からの流用。そちらでは十七歳でセーラー服でJKだった。文化祭で牛みたいな鼻輪を付けられる役をやらされたり、陰湿なイジメに腕力で対抗したりするキャラだった。どんなやねん。その頃から同性に嫌われるは●ない系女子だった。なおエロ作品ではない。ヒロインでもない。


 割と猛牛的イメージのあるキャラだったので、性癖的に、腹筋が割れてる女性を好むナハトの恋人役に抜擢された。




 ●ライラ

 カナーベル王国軍所属対竜特殊部隊実働隊第二班所属兵。女性兵。

 年齢のイメージは二十歳くらい。キルサが唯一仲の良い(?)同性の同僚。軍内における実務としてはキルサの副官的ポジションだった。ゆえにキルサが異動すればそれにも巻き込まれるかもしれない。


 外見は、どこか田舎臭い秀才というイメージ。毛の量は多いがおでこは広め。そこに肉という文字が書かれて……はいない。ストレスが溜まると円形脱毛症にもなる。寄ってくる男が大体ダメ男なので、別れる直前には例外なく円形脱毛症を発症している。


 いつもそこそこいい男を捕まえ、自由に振舞っている(ように見える)キルサを羨ましく思っている。二人で泥酔し、男共への悪口大会が始まると、最初こそキルサの武勇伝が炸裂するが、最後にはいつも男運の無さを嘆くライラをキルサが慰めるという流れになる。そしてキルサが余計なことを言ってライラを号泣させるというパターン。


 お互い、友情があるとも、職場が変わり疎遠になったとしても、付き合いは継続する親友であるとも、確信を持っては言えないが、なんだかんだで、戦場で相手がピンチなら命をかけてそれを助ける……そういう関係であろう……だよね? ね?


 好きなものはお姫様扱い。嫌いなものは二日酔い。




 ●サスキア王女

 カナーベル王国国王ベオルードIV世が正妻に産ませた三子。第三王女サスキア。

 第一王女や第二王女は存在しない。第一王子、第二王子、第三王女、という並び。

 王位継承権は第八位。

 イメージとしてはおっとり風だが、少しヤンデレ味を感じさせるパツキンの女子高生というところ。金髪の表現としてのピンク髪も、無しではない。

 程よく大きな胸部装甲を持っているが、サーリャを知るアナベルティナの目は引けなかった。ゆえに、アナベルティナ視点にそうした描写はほとんどない。


 二章~三章における顛末の主たる加害者だったが、三章の中盤でアナベルティナの被害者……何号目だろう?……になった。


 多少精神が幼児化してMっぽくなった。そもそもの性癖がダークネスだったのか、アナベルティナのチートがダークネスだったのかは、もはや誰にも分からない。ある種の洗脳を施してしまったことにアナベルティナ自身が罪悪感を感じているため、結構な事件の加害者であるがなんとなく許されている。


 一番最初に考えていた展開では、最終的に、念話のダイアモンドの仕掛けで廃人化する予定だった。


 そういう最期を迎えるキャラであることを前提にした立ち位置、役回りだったため、展開が変わってからは「……コイツ、どう扱えばいいんだ?」と悩むこととなり、プロットはめっちゃ二転三転した。そして最終的には現状の、ある種のギャグ空間送りの刑と相成った。どうしてそうなった。


 幼児化してからの好きなものはアナベルティナ、嫌いなものは現実を直視すること。




 ●ゴーダ

 九星の騎士団がひとり翠玉(エメラルド)の騎士オズを先祖に持つドワーフ。

 とはいえ、オズの子孫は多く、彼が本家本元の、直系の子孫というわけでも無い。

 ドワーフらしいずんぐりむっくりした体型、ヒゲの多い厳つい顔をしている。

 フルネームは不明。


 この世界のドワーフは、『家』の概念が人間種のそれとは大幅に違っている。ゆえに家名という概念も無い。

 この世界におけるドワーフは、人間種の街に住む者を除けば皆、地下に穴を掘って暮らしている。この穴が、人間種でいうところの街であり家となっていて、空間として繋がった穴にいるものは全て同じ街の住人であり、家族であり、一族でもある。


 だが完全にひとつの土地に定住する一族は無く、穴の位置は数年から数十年ごとに変わるため、街の名前、穴の名前は特に存在しない。交流のある人間種が勝手に名付けていることはあるが、ドワーフの間では長と呼ばれるその穴の最高権力者(穴長?)の名をとり、誰それの穴、と呼ぶことが一般的となっている。


 また、この世界におけるドワーフの女性は、初産を経験するまでは生物的に非常に弱々しい存在で、幼女、少女、童女は、『モーザムの壺』と呼ばれる空間で、一族に保護されて育つ。

 モーザムとは「いつか使えるもの」「いつか使えるようになるもの」という意味合いのドワーフ言葉であり、隠語としては「初産を経ていない未熟な女性」を指すこともある。

 この『モーザムの壺』へ出入りが許されるのは一族の女性と、彼女らに認められた男性だけ。


 ゴーダは、ドワーフの社会においては、その鍛冶の腕が天下一品であると認められた存在であり、何個もの『モーザムの壺』へ出入りが認められている。つまり彼は何氣に子沢山のパパでもある。脳味噌電撃で焼かれちゃったけど。


 個々の『モーザムの壺』には識別名があり、ドワーフの女性の、いわばファミリーネームはこれになる。また、ドワーフの成人男性は、出入りできる『モーザムの壺』の識別名をファーストネームの後に連ねていくのが通例となっているため、ゴーダのフルネームは、名乗ると同族の男性から妬まれるほどには長い。

 ただ、宴会や酒の席では、その場で最も名の長い者が奢るべしという種族共通の掟もあって、妬みはさほど陰湿にならないことが普通である。例外もあるし、ゴーダはむしろ例外の範疇に属するドワーフだが。


 好きなものは様々な技術。嫌いなものはその継承。自分いずオンリー。自分いずシコー。




 ●第二王子

 カナーベル王国国王ベオルードIV世が正妻に産ませた次男。王位継承権は第二位。

 ドラ息子という単語でほとんど全てが説明できる単純なお人。

 本名はセヴォルーズ。


 寝ていたら全てが終わっていました。特に武功はあげられなかったけど多少国内での地位が向上しました。別にどうでもいいけど。色んな意味で。


 なお、彼の金隠し役だった二人の女性(名前を設定してないので他に言いようがない)は、この件でそれなりの謝礼をもらっていたので、第二王子の飽きがきて解放された後は自分のやりたいことをやった。


 ひとりは全額を故郷の孤児院に寄付して、自分もそこの修道女(キリスト教ではないのでこの表現には語弊があるが、まぁ似たようなモノ)となり、貧しくも少年少女達との生活を満喫する余生を送った。

 もうひとりは、しばらく貯金を切り崩す生活をしていたが、やがて夫婦になってくれというシングルファザーな男と出会い、お金目当てかも……と思いつつも結婚。懐いてくれた子供を我が子のように可愛がった。


 ここで一句『金隠し 耐えに耐えたら 金きたし』(最悪)








■九星の騎士団、二章までに判明したその内実

 ……と、本編で語れなかったどうでもいい設定の暴露(★部分)


●カイズ側

紅玉(ルビー)の騎士、カイズ。この世全ての悪を斬る騎士団長。

 エルフの女王リーンと結婚し、アリスの父親となった。

 騎士団分裂後、ティアの策謀によって死亡する。

 頭脳の瞬発力が高く、優れた直感力を持っていたらしい。

 ★魔法使いでも波動持ちでも無いが、武力は数値にすれば百オーバーの鬼神


珊瑚(コーラル)の騎士、アムン。その血を聖水に変え魔を滅ぼす聖騎士。

 血潮の波動の持ち主。ユミファの魔法で石化して他界したようだ。

 生体魔法陣として利用すると回復魔法が超絶強化される。

 マナが全部血生臭くなって還ってくるとはアリスの弁。

 医療従事者か、それ系の研究者かのような立ち位置にいたことが窺える。

 ★メアリー・スーはアムンの娘として生きた時代もある


碧玉(サファイア)の騎士、エンケラウ。愛馬ユミファと共に天を翔ける闘士。

 狼の獣人。愛馬ユミファはその実、愛竜ユミファであった。

 ユミファは黒竜で焔の波動持ち。

 その魔法はあらゆるモノを相転移させる。

 詩的に表現すれば地獄の釜の魔法。

 ★人間の男性が牝の狼を姦淫したことで生まれた、獣人の第一世代のひとり


灰礬石榴石(グロッシュラー)の騎士、パザス。鬼謀策謀を縦横無尽に操る参謀軍師。

 魔女ドゥームジュディにより、赤い竜にされている。

 ★ユニーク魔法は天候操作系。実は内政チート系主人公には垂涎の()材だった


黄蘗鋼玉(イエローサファイア)の騎士、アイア。隻眼隻腕だが槍と弓を極めし東国武士。

 下ネタが好きそうな東国武士。

 槍と弓を極めしという割に、現状刀を扱ってる風な描写しかない。

 ★前世は稲葉一鉄(いなばいってつ)良通(よしみち))。チートは完全なる記憶の継承、のみ


●リルクヘリム側

月長石(ムーンストーン)の騎士、リルクヘリム。その怪力は空間をも捻じ曲げる副団長。

 分裂した騎士団、そのカイズ達とは逆側の団長。

 ★前世はスペイン無敵艦隊の乗組員。「無敵」チート持ち。前世の記憶はない


翠玉(エメラルド)の騎士、オズ。体躯の何倍もの重量の斧を操る戦士。

 ドワーフ。それ以外は詳細不明。

 ★娘を人間に孕まされたのでリーンを恨んでいた。不器用なパパ


金剛石(ダイアモンド)の女騎士、ルカ。水神に祝福されし流体機動の聖女。

 その正体は知性ある人型スライム。女性にも男性にも化けられる。

 その現状は不明だが、スイカ大の欠片だけは一章で焼き尽くされた。

 九星の騎士団、団長のカイズを心の底から愛していたらしい。

 ★「死の男」を救う「聖母魔法」を求め、アリスを復活させた


●陣営不明

猫睛石(キャッツアイ)の騎士、ティア。氣を読み氣を操ったとされる武道家。

 アリスにとっては両親の仇。

 その内実は、44話にて詳細に解体された。


 ★以下その補足

 女性だった頃は不妊に悩む貞淑な妻だった。出生はアナベルティナと同じく男爵家出身のご令嬢だが、十四歳の時に伯爵家の男性と結婚している。四百年前は世間的女性の結婚適齢期が今よりも若かった。ただし夫は、ティアと結婚した時点で子持ちの三十七歳。


 流行り病で死別した先妻との間には子が生まれているのだから、不妊の原因はティアの側にあるのだとされてしまったが、本当の原因は夫側の造精機能障害だった。原因は、加齢と、回復はしたが先妻と同じ流行り病を患ったことによるもの。


 周囲からは冷笑され、夫からは責められる日々の中、ティアは幸せそうに赤ん坊を見せ付けてくる”母”なるモノへ憎悪を向けるようになった。自分をわけのわからない存在にしたリーン、その彼女が幸せそうに(ティアの認識においては)見せ付けてきた「最初に見た時は赤ん坊だった」娘、アリスを、狂的なまでに憎悪しているのはそれが理由。


 リーンを殺し、アリスを(ルカがアリスの封印石を奪取し隠蔽してしまったことにより)見失った後は、三十年ほど虚脱状態で、ほとんど飲まず食わずのまま、ミイラのような姿で各地を放浪し、それでも生き続けるが、とある戦争に巻き込まれ、妊婦が犯され流産して死ぬ姿を見たことで覚醒。


 以後、ティアは妊婦や年若い”母”の苦しむ姿が見たいという、自分の歪んだ欲望を自覚し、その愉悦の追及に生きるようになる。ティア覚醒からアナベルティナの時代まで、三百七十年間の間に起きた戦争の二割から三割には、大なり小なりティアの手が入っている。


 ティアにとって(小競り合い程度ではない)戦争とは、年若い少女が望まぬ妊娠をして、妊婦や”母”、”母”が抱える幼子達、それら全てがこれ以上ない程苦しむという、愉悦の祭典に他ならない。


 ユニーク魔法は、肉体を極限まで使いきる身体(しんたい)超絶強化魔法「皆焼(ひたつら)魔法」。

 ハーフエルフになるはずだった胎児を吸収したことで目覚めた。


 ただしこれは、必ずそうなるというものではなく、ただの偶然。不老不死に見える理由も別にある。こちらの理由は、簡単に言えば、ティアはいまだ体内に子宮や卵巣の名残、それと卵子を保持していて、それと男性化したことで生成可能となった精子とが結びつき、胚を生み続け、それを吸収し続けているから。ただし、この胚は不完全なので、某数奇な人生のベ●ジャミン・バ●ンさんのような、際限なく若返り続けるという現象にはならない。




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