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95  危機一髪

「おい‼ そっちに行ったぞ‼ 」


「早く捕まえろ‼ 匂いを辿れ‼ 」


「ガキ共の相手をしているほど暇じゃないんだぞ‼ 」


 黒いフードの者達が忙しなく動き、怒号を飛ばす者、その怒号に反応する者と分かれたのだ。


 エスイア達は、姿隠しの魔法をかけていたのだが黒いフードの者の魔獣により、姿隠しが意味をなさなくなったのだ。



 "ちっ、不味いな……"


 "エスイアくん、どうする? "


 "取り敢えず、逃げきるぞ‼ "



 姿を消したまま魔導具を設置し、匂いを誤魔化し命からがらに逃げ切ったエスイア達一行は、いつの間にか森の泉の近くまで来ていた。



 "皆、無事か?! "


 "ローズが足をやられているわ‼ "


 "大丈夫か?! "


 "ええ。大丈夫よ! 先に血の匂いを消さないと‼ "



 足を怪我したローズは、急いで自身に治癒魔法をかけ血の匂いを消しさる。黒いフードの者は魔獣を使い、匂いを辿ってくるのだ。


 人の血の匂いは、普通の匂い……つまり体臭などの匂いより魔獣にとっては辿りやすくなる。だから、早く手を打たなければならないのだ。



 "ローズ、大丈夫?! "


 "大丈夫。調合薬も切れてきましたし、何処かで調合ができると良いのだけれど……"


 "そうだな、この場所も出口もさっぱりわからないからな"


 "カイン、周りの地図は出来上がっているのか? "


 "今の所は全くお手上げ。ただ森を進むと祭壇へと戻るだけだ。出口のない迷路に入りこんだみたいだよ"


 "そうか……見つかるのも時間の問題って事か……"



 エスイアはこの先の事を考える。

 ここにいる者は、エスイア以外攻撃に特化しているわけではないのだ。


 エスイアが頭を悩ませていると、森の中から小さな蜘蛛が肩に飛び乗ってきたのだ。 



 "蜘蛛か。こんな森にも生き物が居てるのだな"


 "え?! ずっと生き物と会わなかったのに居てるの? "



 ローズ達が驚きの声をあげ、エスイアの肩に乗っている蜘蛛をまじまじと見るである。



 "これ……ジュイナの蜘蛛じゃないか? "



 カインがいつの間にか、片目にルーペを付け蜘蛛の背中の模様を確認する。


 魔獣はどれだけ小さくても、どれだけ大きくても使役者の印が()()()に入るのである。その印は産まれた時から一人一人違っており、言わば魔法の指紋、身分証明というべきであろうか。



 "ジュイナがいるって事か?! "


 "可能性はある。だが、たまたま魔獣だけがこの世界に来たという事もあるぞ"



 エスイア達の喜びを半減するカインの言葉に、少し肩を落とす。だが、皆一つの希望を持ち、ジュイナの追跡をしてみる事にしたのだ。


 ノワズといつも一緒に魔導具の開発をしているラムは、新たな魔導具を取り出し少し調整をしてから設置する。ジュイナの使役しているであろう蜘蛛をその装置の魔法陣内に入れ、この蜘蛛が何処から来たのかを調べるのである。


 ローズは、カインと共に医療用調合薬の精製を急いで行う。その傍ら、攻撃にも使える調合薬を簡易ではあるが作製する。

 子供だましではあるが、目くらましや少しの時間稼ぎに使えれば良いのだ。


 エスイアは、三人が各々に作業してる間、防御魔法と姿隠しの魔法を展開し、黒のフードの者達が来た場合に備え、攻撃態勢をとるのである。



 ジュイナは一人できているのか?

 それとも、誰かと一緒なのだろうか……

 いずれにせよ、早く合流しなければ。

 黒のフードの者達に見つからなければ良いのだが……



 エスイアは、攻撃態勢を取りつつも先の事を色々と考えるが、ルーダのようにうまく纏まらないのだ。



 "この空間は、元の場所へ戻ってしまう特殊な空間何だよな? "


 "えぇ。きっとそうでしょうね。何か気になる事でもあるの? "


 "いや……単純に黒のフードの者達はどうやって行き来しているのだろう、と思って"


 "確かに……そうね。何か使っているのかしら? "


 "わたくしも何かあると思いますわ"



 エスイアとローズの会話に突然、クリスティーヌが入ってきたのだ。皆、手を止め辺りを見渡すがクリスティーヌの姿は見えない。



 "クリスティーヌ‼ お前も来たのか?! "


 "ええ。ジュイナも一緒ですわよ? "


 "何処にいるんだ?! "


 "わかりませんわ。ですが、多分そちらに向かっています"


 "そうか‼ 良かった‼ と思いたいのだが……"



 エスイアは、内心複雑な思いを抱えていた。

 クリスティーヌとジュイナと合流できる事は嬉しい。そして、クリスティーヌならこの空間について何か知っている、或いは脱出できる術をもっているかもしれない。


 だが、あのクリスティーヌ・エレノーワだ。

 厄介事を引き寄せる術は、ニズカザン……いや世界一だと思うのだ。



 "黒のフードの者達には見つかっていないな?! "


 "ええ‼ 見つかるも何もありませんわ。ただ……後ろから猛スピードで追いかけてきてますわ"


 "それは見つかっていると言うんだ‼ "



 エスイアはクリスティーヌの言葉に頭を抱え、大きな溜息をつき腹を括るのである。



 "クリスティーヌ達が着く前に、ここら一帯に罠をしかけるぞ‼ "



 クリスティーヌの後始末を、ルーダより手際がよく処理するエスイアは、淡々と指示を出し、クリスティーヌ達がこちらへ来るまで息を潜めて待ち伏せをするのであった。

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