93 地図に無い場所
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岩場付近につくと、クリスティーヌは直ぐにエスイアの魔力の残骸を探し出したのだ。
"ここにエスイアの魔力が少し残っていますわ"
クリスティーヌは指で場所を示し、辺りに何かあるのか確認をする。
すぐ側に岩場があり、この岩場と何か関係あるのではないか、と皆探すが何も見当たらないのだ。
"んー……。何だ? 何か違和感があるが……"
"ちょっと変ですわね"
ルーダとクリスティーヌ、そして他の生徒達も何か違和感を感じるのだが、その理由を見つけれずにいた。
"ここは、記憶を辿りましょうか……"
"クリスさん、そんな事まで?! "
驚くカミラをよそに、クリスティーヌは手に魔力を込め、側にある岩場にそっと触れたのである。
クリスティーヌの目の前に数時間の出来事の映像が走馬灯のように流れていく。
誰かに追われて来たのだろうか。
エスイアと数人の生徒達が駆けるようにこの岩場の陰に身を潜める。
"皆‼ 防御結界とここから離れて‼ "
クリスティーヌが叫び退避しようとするが、遅かった。
岩場の岩が幾つか動き出し、動き出した岩の側にいた数名の生徒達は、岩に吸い込まれてしまったのである。
"遅かったですわね……"
"何だ。この岩場は……"
"わからないわ。残留思念には、エスイア達がこの岩場に隠れ、先程のように岩が動いてエスイア達を吸い込んだのよ。ただ、疑問があるわ。エスイア達は吸い込まれたのに、何故失格にならないのかしら? "
クリスティーヌ達が見た地図には、失格者は皆赤色で表示されており、島の中央の本部にかたまって表示されているのだ。
"これは、学園側が用意した物ではない、という事か? "
"そう考えるのが無難ですわね……"
クリスティーヌとルーダの念話に皆、黙り込む。すると、クリスティーヌが先程の地図をもう一度見せて欲しいと言いだしたのだ。
地図を手にしたクリスティーヌは、この神殿か何かの建物に見覚えがあり、おもむろにノワズ式魔導具箱から時の魔女の本を取り出した。
思い当たる頁を片っ端から目を通していくと、ある頁で手を止めたのだ。
"もしかして……これは……"
"どうした? 何かわかったのか? "
"わたくしの憶測ですが……"
クリスティーヌは、自身が調べた事と現状を照らし合わせ推測される事を、C組の生徒達に念話を通し淡々と話す。
クリスティーヌが調べたのは、浮かび上がった神殿の図にある紋様だったのだ。
この紋様は、古代魔法の物で何か特別な物を隠したりする魔法であり、現代魔法には無い特殊な物だという。普通の魔力保持者では早々見つけれるものではないのだ。
この魔法がかけられている場所に無断で入ると、何処かに飛ばされ、飛ばされた空間で魔法の解除しなければ出れない。ただ、古代魔法を知らなければ永遠に空間に閉じ込められたままになる。
誰がなんの為にこの無人島に仕掛けたかはわからないが、いずれにせよ古代魔法の紋様があるという事は、この場所に何か大切な物があるという事なのだ。
"わたくし達は、もしかしたら厄介な物を見つけてしまったのかもしれません"
"そうだな……嫌な予感しかないが、エスイア達を救うには、その魔法を解除しなければならない、って事なんだな? "
ルーダの言葉にクリスティーヌは静かに頷いたのだ。古代魔法の紋様は、現代において時の魔女しか使えない。
時の魔女が何を考えて、クリスティーヌに古代魔法を伝えているのかはわからないが、少なくともこのような状況になる事を把握していたに違いない。そして、ハミルや黒のフードの者達とも、何か関係があるのだろう。
"ジュイナ‼ コダック先生に早便を出しておけ‼ "
"ルーダ、サバイバル戦では早便を出せないわ"
"あぁ、そうだった……"
"私の召喚魔獣の蜘蛛達にお願いして、手紙を届けて貰うわ"
ジュイナは素早く魔法陣を展開し、小さな蜘蛛を数匹召喚し、手紙を持たせ命令するとあっという間に蜘蛛達は、木をつたい糸を巧みに操りながら、島の中央にある本部へと向かったのだ。
"ルーダと、カミラと他の皆はここに居てちょうだい。古代の浄化魔法を使えるジュイナと、わたくしは共にあの岩場へと行きますわ。そして、エスイア達を救出します"
クリスティーヌの言葉にルーダは頷き、使えるかわからないが、魔導具を持たせるたのである。
"ジュイナ、念の為に強化魔法と防衛魔法を。そして、離れてしまわないように紐で繋いでおきましょう"
"わかったわ"
クリスティーヌとジュイナは、紐で腰を繋ぎエスイアや他の生徒達が吸い込まれた場所へと移動するのだ。
暫くすると、岩場の岩が生きているかのように動きだし、クリスティーヌとジュイナは、自ら岩へと吸い込まれたのである。
残されたルーダとC組の仲間達は、不安を抱えながらも、ただただクリスティーヌ達の無事を祈るのだった。




