92 エスイアの行方
クリスティーヌはカミラに連れられ、無事にルーダ達と合流したが、カミラの報告を受けたルーダにまたもや雷を落とされるのである。
クリスティーヌは少しだけ反省し、交戦する他の生徒達を一気に薙ぎ倒していくのである。
ルーダの指揮のお陰で、C組の失格者はクリスティーヌの自爆攻撃の犠牲者のみであり、他の犠牲者は今のところ出ていない。
"エスイアは、今どの辺りだろうか……? "
"うーーん……わからない。彼の事だから、何か緊急事態が起きたのかも?? "
ルーダとカミラは、エスイアと数名の生徒が未だ合流ができない事に疑問を持ち始める。
"そういえば、こちらに来る途中エスイアの魔力を、少し感じましたわ"
クリスティーヌは、ルーダとカミラに今更報告をし、また雷を落とされるのである。雷を落とされた後は質問攻めを受けるが、串肉に必死で何を話しているのかわからないのだ。
「はふら、ここへくるもにのほふふうへ……」
「何を話してるか、さっぱりわからない。もう、念話してくれる? 」
カミラは諦めたように、クリスティーヌに言い放ちクリスティーヌは念話でルーダ達に伝えるのだ。
クリスティーヌはカミラと合流した後、岩場の近くの森を抜ける際に、エスイアの微量な魔力を感じたのだ。
不思議な事に、そこには戦闘の跡もなければ、魔導具や魔法陣、罠、魔獣なども見当たらないのである。
そう考えると、エスイアがわざと魔力を残したと考えるのが一般的だろう。
"微量な魔力……か。クリスちゃんは、誰の魔力かわかるのか? "
"えぇ、時の魔女の魔法特訓でいつの間にか、修得してたみたいですわ"
ルーダの問いに淡々と答えるクリスティーヌは、更に奇妙な事を話しを続ける。
"岩場は空気が違いましたわ"
クリスティーヌは魔力を色として識別でき、誰の魔力かわかるのだ。
そして岩場付近に、空気が違う場所があるという。
ルーダは頭にある知識をフル活用し、あるだけの状況を考える。
エスイアは何か不測の事態に陥った事は確かだ。
咄嗟の判断で、何かの魔法を使い、その残りの魔力をクリスティーヌが見つけた……という事だろうか。
もしかして、この無人島には俺達には知らされていない何かがあるのか?
"ジュイナ‼ この島全体の地図だ‼ 防御班は今すぐに防御魔法をかけ、姿隠しの魔法もかけてくれ‼ "
ルーダの念話に、皆一斉に反応し慌ただしく動くのだ。火を消す者、探知魔導具を設置する者など手際良く指示に従うのだ。
ジュイナは、無人島内の情報を集める為に放っていた蜘蛛の魔獣を回収する。
"ルーダ、何か気になる事でも? "
"ああ。エスイアは戦闘や不測の事態において回避できる筈なのに、ここに来ない。その時点で何かおかしい。この島には何かある。学園側は知っているのか、知らないか、かはわからないが……"
"じゃあ、新しい地図だけだと、駄目ですよね。これをどうぞ"
カミラとルーダの会話を聞き、メリッサがこの島の古い地図を渡したのだ。
メリッサの家は珍しい書物などを扱う商家であり、このサバイバル戦の為に家から取り寄せていたのである。
古い地図と新しい地図を見比べるが特に変わった所がない。
"何が違うのかしら"
"あら、透け紙ですわね。こうやって、重ねて扱うのよ。お兄様と昔、よく遊んでいたわ"
カミラの言葉に、クリスティーヌが地図を取り、少し魔力を流し地図を重ね合わせたのだ。
すると、一枚では見えなかったものが見えてきたのである。そして、全員の位置も浮かび上がったのだ。
"これは‼ "
"こんな事があるの……? "
"クリスちゃん……知っていたのか?? "
クリスティーヌは首を横に振り、何かある。程度しか思っていませんでしたわ、とさらりと答えたのだ。
"よし。エスイア達の救出作戦を行うぞ"
カミラとクリスティーヌはエスイアに呼ばれ、ジュイナ達は救出作戦に必要そうな魔導具の確認等を行う。
クリスティーヌが重ね合わせた地図には、エスイアの魔力が残っていた岩場付近に、神殿のようなものが浮かび上がったのだ。その位置に、エスイアと数名の生徒達の印も現れたのである。
配布された地図には、魔力を流すと、仲間の居場所がわかるようになっている。生徒自身が気付くように、と教師達からの説明はないのだ。
"隠れ指令? ってとこなのかしら? "
"かもしれないな。全員で動くしかなさそうだな"
ルーダの指揮の元、C組の生徒達はエスイア達が居るとされている岩場へと向かったのだ。
クリスティーヌとジュイナは先頭に立ち、罠や敵の生徒と交戦になる前に、颯爽と薙ぎ倒していくのである。
ルーダ達と合流する前に倒した生徒達は、教師達が回収したのかもう辺りには居なかったのだ。




