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 デジュの樹に緑の葉が増え始める季節が訪れ、クリスティーヌ達は二年生になっていた。


 王立学園では余程の事情がない限り、一年時に決まった組から五年間同じ仲間、同じ組での活動となるのだ。六年目からは選択制になる為に組は変わらずとも学科等が変わるので、あまり組の意味がないのである。


 トワライ王国の黒い魔石の事件から半年程が経ち、新入生歓迎会が各寮で行われたのである。


 例年通り、A組とB組は金にものをいわせる方式で盛大に行われたらしい。

 C組はと言うと……


 庭でガーデンパーティーという名のBBQ大会を行っていたのだ。商家の子息や令嬢が多い為この方が馴染みやすく、模擬戦や有事の際の野営の慣れとしても役に立つだろう、というルーダ達の考えから実現したのだ。勿論、上級生達に提案し、同意を得てからの実行である。


 新入生は、始めこそ驚いて萎縮していたが、次第に慣れてくると薪の簡単な割り方や集め方、火の付け方、料理等の仕方を教えてもらう為に上級生達と会話をするようになったのだ。


 スペンサー特製ジュースの作り方講座も開かれ、特製ジュースを知らない上級生達が、新入生より食いつき、一緒に作っていたのである。

 後にスペンサー特製ジュースの作り方講座は、C組の寮の新入生歓迎パーティーの恒例となり、後世にも受け継がれていく事となる。


 実戦での野営場さながらの本格的なBBQ大会は、大盛況の中終わったのである。



 ◇◇◇◇◇



「お前達は一人もかける事なく、二年になる事ができた。去年は模擬戦だったが、二年生からは模擬戦ではなくサバイバル戦となる」


 コダックは静かに話をする。


「まぁ、サバイバル戦というのはな……ってお前達話を聞けーー‼ 」


 C組の生徒達は、話を聞きながらも各々机にかじりつき一心不乱にペンを走らせ勉学に励んでいるのだ。


「コダック先生、大丈夫です。皆さん()()聞いていますから」


「いやいや……一応とか、そういう問題じゃないだろ……サバイバル戦なんだぞ? 」


 皆、一斉に手を止めコダックの顔を見る。


「な……なんだ……お前達は……。まぁ、話を聞いてくれ。二年のサバイバル戦はな……」


 コダックは二年生からの訓練授業、サバイバル戦について詳細を説明をする。


 サバイバル戦は、学園が所有する無人島で開催される。期間は大体一週間程らしいが、いつ終わるのかはその時期の生徒達によるのだ。

 学年とクラスの色分けがされており、空に巨大な映像掲示板(ビジョン)があり、そこから現在の各々の戦況が確認出来るようになっている。


 味方を助ける、敵をなぎ倒す、そして無人島に散りばめられた指令を解決すると、ポイントが入る仕組みなのだ。

 ポイントの総合により順位が決まり、クラス生徒全員が戦闘不能となった場合はそこで終了となり、終了時点でのポイントで勝敗が決まる。


 指令の内容は様々であり、難易度によりポイントが変わってくる。例えば、比較的安全で簡単に採取できる魔草は1ポイント、貴重で手に入りにくい魔草は5ポイント等分けられている。


 指令は採取ばかりではなく、魔獣討伐、建築類など多種多様なものがあり、全員が何かしら指令をこなせる仕様となっているのだ。


 そして一番大切な注意事項は、何処から自分が出発するか()()()()()というのだ。転送魔法は高等魔術であり、使える人間もそう居ない。


 その方法をコダックに聞くが、ルールの項目に当てはまり教えれない、と返ってきた。C組の生徒達は瞬時に何かあるに違いない、と察しそれ以上追求する事はなかった。


 コダックの話が終わり、C組の生徒達は一斉にペンを置き、サバイバル戦の作戦会議とコダックがいう何処から出発なのかわからない、の対策を練るのである。

 C組の連携を取る為にも、念話の訓練を強化を取り入れるのだ。


 そして、一人一個のノワズ式道具箱を持ち、最低限の戦闘魔導具と自身の()()()()の道具を入れるように準備をする。


 サバイバル戦開始は一週間後と準備期間が短い。クラス一丸となり、早急に準備を進めるのである。


 去年の魔法大会の主要メンバー、協力メンバーがそれぞれの担当リーダーとして他の者を引っ張っていく。勿論、ルーダは作戦指揮と共にクラスのリーダーだ。


 C組では博士と呼ばれるノワズは、何時も通りに魔導具担当となり皆に魔導具箱の使い方、必需品魔導具とそれぞれ個人に渡した魔導具の説明をする。


 クリスティーヌはというと、のんびり串肉を食べながら非常食を考えている班に紛れ込み案を出していた。そんなクリスティーヌをルーダが見逃す筈もなく、クリスティーヌを摘み出し念話が上手く出来ない生徒達に教えるように支持を出すのだ。


 クリスティーヌの扱いが一番上手いのは、ルーダではないかと誰もが確信した瞬間である。


「流石にスタート地点が分からなければ、難しいな。もしや……」


「そうね。別々の出発の可能性も捨ててはいけないわね」


「あのコダック先生の言い方が気になるな……」


 ルーダとカミラはぶつぶつと案を出し、何が起きても対応できるように作戦を立てるのである。


 ノワズは、クリスティーヌの独り言により新しい発明が思いついたらしく、何やら魔導具班と共に魔導具を作っているのだ。


「念話で話すコツは……感です‼ 」


「おい! 真面目に教えろ! 」


「私は至って真面目に言ってるわよ! 」


 クリスティーヌが真面目にそう言うと、後ろからエスイアの声が聞こえ、騒ぎ始め何時も通りのクリスティーヌとエスイアの言い合いが始まる。最終的にエスイアが折れる事となるのだが、もう少し分かりやすく、と言われクリスティーヌも今回は折れるのである。


 そんなやり取りを教壇から見ているコダックは、本当にサバイバル戦は大丈夫なのか……と不安になっていたのだ。

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