87 記憶を取り戻す魔法
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数日後、困り事を解決したクリスティーヌ達はコダックにより評価をプラス・マイナスゼロにされたのだった。
その理由は、学園内に留まらず国内全域に新たな騒音級の歌声の怨念女という困り事を作ったからなのだ。その理由は他でもないクリスティーヌ自身なのだが、そこにいたエスイアとジュイナも連帯責任となった。
エスイアとジュイナは肩を落とし、クリスティーヌは騒音級の歌声の怨霊女を解決すると乗り気になっており、更に頭を抱える事になったのである。当の本人クリスティーヌは未だに気付いておらず更に厄介なのだ。
エスイアは言葉巧みに上手くクリスティーヌを誘導し、本来のノワズやルギの呪いを調査する事を提案する。クリスティーヌは思い出したかのように、調査に打ち込むのだった。
「まずは、ノワズさんやルギさんの呪いがいつかけられたか……を知ることですわね」
「聞いても、その時の記憶がないっぽいんだよなー……消されてるのか? 」
「んーー……何か良いは方法ない? ノワズ魔導具とか使えそうな物はないかなぁ……? 」
エスイアは記憶を呼び覚ます魔導具は無い、と首を横に振ったのだ。
医療魔法で直近の記憶を呼び覚ます事はできるのだが、年月が経った過去の記憶は今の魔法技術では、流石に呼び起こせないのである。
ただでさえ記憶を戻す医療魔法は高等魔法技術であり、使える者はその筋の専門家か稀に恵まれた才能の者しかいないのだ。
魔導具にしてもそうである。急激に進歩しているとはいえ、流石に記憶を呼び覚ますまでの都合の良い魔導具はない。だが、そのうち出てくるかもしれないだろう。
「ねぇ、クリスさん、古代魔法を使えるよね? 古代魔法で何かない? 」
「ん……あったかしら……? 」
クリスティーヌは掌の大きさのノワズ道具箱を取り出し、床に置き魔法をかける。
道具箱が一瞬で元の大きさに戻り、中から一冊の本を取り出す。
この本は、全て時の魔女から送られてきたメモの束で、量が多すぎた為にクリスティーヌが本にしたものだ。現代では、大変貴重な古代魔術や高等魔術のみ記載されている。
本にしたメモの中身は、時の魔女がクリスティーヌのみ閲覧出来る魔法をかけており、他の者は閲覧出来ないのだ。
一枚一枚めくり並べられている文字を確認するクリスティーヌ。エスイアとジュイナには記載されている文字は全く見えず、ただ真っ白な紙をめくっているだけにしか見えないのだ。
クリスティーヌは一枚の頁で手が止まり、エスイアとジュイナに声をかけた。
「多分……あったわ。ここを見て頂戴」
「いやいや……見ろと言われても……何も書かれてもいなければ、俺には真っ白の紙にしか見えないぞ……? 」
「私も同じです。クリスさんにしか見えない?んー……見れない? ようになっているみたいね」
エスイアとジュイナの顔を見てクリスティーヌは、手をぽんと叩き今思い出したかのようにニコリと微笑む。二人は絶対その事を忘れて笑顔で誤魔化しているな、と確信する。
「まぁ……見れる、見れないは、さておき……記憶を取り戻す為の魔法はあるけれど、難しい術式だから今日明日で習得できないわ。やってみるけど、時間がかかり過ぎると思うわ。他の方法も考えた方が良いかもしれない……」
「そんなに難しいのか? 」
「古代魔法だし、記憶魔法関係って高等魔法だから難しいんでしょ? 」
「そうね……例えば……この間、教えた浄化魔法の簡潔にした術式がこれだとするわ」
クリスティーヌは紙とペンを取り出し、インクをつけ紙にペンを走らせる。整った綺麗な魔法数字や魔法記号がいくつも並び、紙の半分がすぐに埋まったのだ。
「この三倍の術式が必要だわ」
クリスティーヌの言葉に、二人は驚き言葉を失い、何度も術式を書かれた紙とクリスティーヌの顔を交互に見るのである。
「確実な方法は、これしかないですわね」
クリスティーヌは呟き、自分が書いた術式の紙を見つめながら考えるのである。
現代で古代魔法を使いこなせるのは時の魔女だけなのだ。だが、時の魔女は【ハミルの坊っちゃんは任せておけ。その間にしっかり力をつけろ】と言っていた。
その後に、このメモの束が送られてきた経緯がある。クリスティーヌは決心し、一旦呪いの解決方法の件は置き、この束の古代魔法を全て習得する事に専念するのである。それが最速の方法だと考えたのだ。
術式が苦手なクリスティーヌは、この日から術式と古代魔法についての猛勉強を始めるのである。
勿論、エスイアとジュイナも必然的に巻き込まれ、次第にC組全体を巻き込んでの勉強大会になるのだった。
何時も実験をしていたC組の生徒達が、一心不乱に机に向かいペンを走らせる光景は、教師陣達の目に異様に映るのだった。何か裏がある、と始めこそは勘ぐられたりしたのだが、次第にそのような事はなくなったのである。
今では真面目なC組と評価されており、関係ないコダックの評価もうなぎ登りになっている。
クリスティーヌが決心した数日後、トワライ王国のソルティオから早便が届き、エスイアやジュイナ達も含め、改めてお礼がしたいとの申し出があった。
落ち着きを取り戻そうとしているトワライ王国だが、ジラン司教や黒い魔石、黒のフードの者達が仕掛けた戦いの爪痕はまだ残っており、未だ情勢は不安定な状態である。
メンドラ国の件もあり、クリスティーヌは全てが終わってから行かせていただきます、との趣旨の手紙を送りかえしたのだ。
メンドラ国の動きやハミルの動き、黒いフード達の目的が未だ不明のまま、クリスティーヌは自身の誕生日を迎え、また春を迎えるのである。




