86 呪い違い
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トワライ王国から帰還後、クリスティーヌ達は次の日から学校へ登校したのだ。
コダックから大量の課題を渡され、C組の殆どの生徒達はレポートに追われ、最前線で戦っていた生徒達は王宮からの聴取も受けたりと多忙極まりない生活を送っていたのである。
いつの間にかデジュの樹は葉を落とし、雪が降る季節へと移っていたのだ。
クリスティーヌは10歳になろうとしていた。
そんなある日、クリスティーヌは気になる噂を耳にするのである。
《学園内に呪われた楽器がある》
なんでも、昔オペラ歌手に恋した楽器職人が報われない恋心を打ち明けられずに病で亡くなり、職人の魂が楽器へと乗り移ったという。
楽器に触れると、条件を出され、条件を達成出来なければ呪いをかけられ死に陥ると言われているのだ。
クリスティーヌは、エスイアとジュイナを呼び気になる噂と呪いの関係性を調査しようと持ち掛けるのだ。
エスイアは拒否し、ジュイナも厄介事の気配を感じ断ったのだが、あろう事か側で聞いていたコダックが三人でやれば点数が上がると言うので仕方無しに協力する事にしたのである。
王立学園では、生徒達の中の噂や困った出来事を解決=無にすると評価点数が上がる仕組みになっている。
何処にそんな測る物があるのかと色々探すが、生徒達は見つけられずにいてるのだ。
「さて、この中のどれか……ですわね」
「凄い埃だらけ‼ 」
「ゲホッ、窓! 窓あけようぜ! 」
クリスティーヌ達三人は、開かずの間と呼ばれている第二音楽室へと来たのだ。
困り事を解決する際、事前に担任の教師に申請すれば授業は欠席扱いにはならない。だが、内容も申請する必要があり、対処した後には報告書の提出を求められ教師達の確認後評価が与えられる。評価毎に点数が決まっている仕組みになっているのだ。
「これだけ埃だらけなら、コダック先生が許可したのもわかるわ……」
「上手い事使われたな……」
「噂がありますし、検証してからでないとわかりませんわよ? 」
不敵な笑みを浮かべるクリスティーヌに、エスイアとジュイナは悪寒がし絶対何かあると本能で感じ取るのである。
三人は取り敢えず、埃まみれの楽器を浄化魔法で綺麗な状態に戻していく事にしたのだ。
壊れている物は、別の場所に避け後程エスイアが修理するという。
三分の一程を浄化魔法で綺麗にし、仕分けが終わった所でクリスティーヌは違和感を覚える。
「何かずっと見られているような気配がしますわ」
「先生達の監視ってやつかしら? 」
三人は何処から見られているような気配の中、作業を続ける。
クリスティーヌが浄化が終わった楽器の場所へ動くと、先程まで無かったピアノが現れていたのだ。
「ねぇ……ピアノなんてありましたっけ? 」
「ん? 無かっただろ? なに言って……」
エスイアはクリスティーヌの目線の先にあるピアノを捉えると言葉を失うのである。
間違いなく、先程まで無かったピアノが出現していたのだ。
【お前達は我の曲を美しくしく奏でてくれるのか】
「楽器が喋った‼ 」
「呪われた楽器ってこんな大きなピアノ?! 」
「意思を持った楽器……ですわね」
【我の曲に合わせて歌うが良い】
「ここはジュイナでしょう‼さ、ジュイナ‼ 」
呪われたピアノの演奏に合わせ、しっとりと美しく歌うジュイナ。流石、人気オペラ歌手の母を持つだけに元々の素質が良いのだろう。
【あぁ……これだ。力がみなぎるぞ】
呪われたピアノは先程より魔力が高くなり、ピアノ全体を不吉なオーラで纏っていく。
【さぁ、次はお前だ】
クリスティーヌは名指しされ、歌うがエスイアとジュイナは思わず耳を塞いでしまった。
そうである。クリスティーヌは騒音級の音痴なのだ。ダンスや魔法、何でも出来る令嬢であるが歌う事だけは不得意なのである。
【な、何だ‼ その音程が外れ奇っ怪な……やめろ‼ 】
呪われたピアノは叫び出しクリスティーヌに歌わす事を止めさせ、伴奏も止めるのだ。
「なんですか? その聞捨てならない言葉は! 」
【我を殺す気か‼ 騒音ではないか‼ 】
「いや……ある意味そうだよ……ピアノの言う通り……ん? 」
エスイアはある事に気付き、クリスティーヌに声をかける。
「なぁ。もしかしたらこいつは……」
「騒音とは失礼な‼ 口が減らないピアノですわね。下手くそなピアノの分際でわたくしに喧嘩売るとは、いい根性ですわ! 」
クリスティーヌはエスイアの言葉など聞いておらず、頭の中は呪われたピアノから喧嘩を売られた、としか捉えていないのだ。颯爽とピアノに近づき、おもむろに鍵盤に指を滑らせる。
「あ、上手い……」
ジュイナがポツリと呟くと、呪われたピアノが気分を良くし椅子を出してクリスティーヌに座らせるのだ。
クリスティーヌの指は、鍵盤をなめらかに滑らせたかと思うと高速で右へ左へと忙しなく動くのだ。そして、クリスティーヌは段々と気分が乗ってきたのか鼻歌を歌い、更に口ずさむ。
いつの間にか小さく口ずさんでいた歌は大騒音となり、エスイアとジュイナはたまらず防音魔法をクリスティーヌ達にかける。
「ふぅ……ある意味究極魔法だわ……」
「本気で死ぬかと思った……」
防音結界に閉じ込められたクリスティーヌは気分良く全開で熱唱し、呪われたピアノは魔力が段々と減っているのだ。
【こ……小娘……め……】
クリスティーヌの稀に見る騒音のお陰で見る見るうちに呪われたピアノは衰弱し、最後は何か話していたがもう聞き取れなかった。
エスイアは頃合い見て防御結界を解き、ピアノの浄化作業に入る。クリスティーヌは満足したのか、ピアノ演奏と共に歌を終わらせたのである。
呪われたピアノは、美しい歌声から魔力を吸い取っていたのだ。エスイアは先に気付き、クリスティーヌに伝えようとしたがクリスティーヌの私的な独断によって実行され、結果エスイアの思惑通りに対処できたのだ。
クリスティーヌは過去を振り返り、そう言えば小さい頃に歌を止められていた時期があった事をふと思い出したのである。
クリスティーヌ達が呪われたピアノを浄化した後、新たな噂が学園や国内に広まる。
開かずの間と言われる第二音楽室から、耳を塞ぎたくなるような騒音級の歌声が聞こえると。何でも、ライバルに喉を酸で溶かされた歌手が無念の怨みを晴らす為に楽器に乗り移り、歌声で気絶させその者の魂を喰らう、と。
そして、その怨念が詰まった楽器をクリスティーヌが開かずの間に置き生徒達を生贄にしている、という間違った噂がまたたく間に伝説に代わり、悪女として後世まで語り継がれる事になるのである。




