85 ソルティオの秘密
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ノワズ印の魔導具を駆使し、なんとか幻術を解きソルティオを抱えながら王宮の別棟から脱出したクリスティーヌ達は頭の地図の記憶を辿りながら目的の場所まで急ぐのである。
妖精達の協力のおかげで、メリッサ達がいる医療班の元へと直ぐに駆けつけたクリスティーヌ達はそのままソルティオをお願いし、フェンリルに乗りデニス率いる第四班の元へと向かったのだ。
無事に合流したクリスティーヌ達はデニスから説教をされ、ソルティオを助けた事を報告すると更にまた別の話だ、と説教時間が長くなったのである。途中で疲れたエスイアはわからないように防音魔法をかけており、その事はクリスティーヌとジュイナしか知らないのだ。
医療班は直ぐにソルティオを手当てし、衰弱していた身体を回復させる為に医療魔法を交代でかけ続けたのである。そのかいもあり、ソルティオは次の日には目を覚まし歩ける程まで回復したのだ。
妖精達は大喜びし、フェイディーネの元へ報告する妖精や一時もソルティオの元から離れなかった妖精もいたという。メリッサ達は初めて見る妖精達に驚いていたが、ソルティオの治療をするにつれ仲良くなっていったのだ。
そして、クリスティーヌが放置した強大な黒い魔石から出された魔物や人のような魔物達はアレクシスが率いる第一班が全て抹殺し、そのままトワライ王国の国王の救出に向かい、無事国王と王妃、第二王子の救出に成功したのである。
手引をしていた大臣他数名のトワライ王国の者はその場で捕縛し、ニズカザン帝国の騎士団員達の監視下に置かれていた。
後に分かる事となったのだが、妖精達が閉じ込められ、クリスティーヌ達が幻術にかけられていた原因が王宮内に置かれていた古美術品だったのだ。
捕縛した大臣達によって呪われた美術品と言われている物にすり替えられており、王宮内は禍々しい雰囲気になっていたのである。
呪われた美術品はキースによって直ぐに対処されたのである。
捕縛した者達をトワライ王国の国王に引き渡す手筈は整っており、状況が落ち着き次第法にのっとり処罰をするとの事だ。
第一王子の行方が分からず、アレクシスは奔走していたがデニスと合流していたクリスティーヌから話を聞き安堵の表情を見せるのであった。
アレクシスはまだやる事があるらしく、ニズカザンに戻った後にまた王宮で会う事を約束しクリスティーヌ達は別れたのだ。
一先ず、戦況は落ち着いたがメンドラ国からの不穏な気配は未だに続いている。ニズカザン帝国とトワライ王国はメンドラ国との国境を更に強化し、有事に備えるのである。
「クリスは、ソルティオが第一王子だと知っていたのか? 」
「ええ。夏休暇に来た際に気付きました。まぁ、マリエルとエレノーワ家の情報のお陰なのですが」
「まじか……」
エスイアは驚き、クリスティーヌに色々と質問したのだ。
元々、トワライ王国の現王妃は国王の後妻であり、前王妃は病で倒れその後に現王妃を娶ったのである。ソルティオと第二王子は異母兄弟なのだ。
第二王子は現王妃の息子、第一王子であるソルティオは前王妃の息子として産まれ、10歳程離れているが、ソルティオは争いを避ける為王位を放棄し前王妃のロンズデール家へと戻ったのだ。
ソルティオはトワライ王国の騎士として、第二王子の弟の為に補佐官として動く事を決めたのである。
勿論、現王妃との関係や弟の第二王子との関係は良好であり、最後の最後まで王位放棄を引き止めていたのは現王妃だったのだ。
ソルティオがロンズデール家へ戻った事は内密にされており、殆どの者は知らず箝口令を敷れていたのだ。
その中で、第二王子派と呼ばれる一部の年老いた大臣達がソルティオを亡きものにしようと策し、マッセラ教会と手を組み今回の戦争を起こしたという。
無論、ジラン司教達はトワライ王国の大臣達を利用したにすぎない。
国王と現王妃、そして第二王子はソルティオの安否を非常に心配しており、その対応にアレクシスが駆り出されたのである。
アレクシスからの命で生徒達は一旦、ニズカザン帝国へ戻る様に指示が下されたのだ。
メンドラ国からの動きは暫くないと見ての帰還命令である。
クリスティーヌ達はやっとご飯にありつけると思っていたのだが、アレクシスの帰還命令には逆らえず渋々自国へ戻り、自国の食事を堪能したのである。
後日、アレクシスの元へと大量の飲食代請求が寄こされキースが大発狂したのはまた別のお話。
「さて、一応トワライ王国の件は片付きましたわね」
「次は呪いの件……か」
「少しゆっくりしてからは駄目? 」
「そうですわね。明日から学校などとふざけた事を言う大人が居てますものね‼ 」
「本当にコダック先生は鬼だな」
「まぁ、皆と会えるし、いいんじゃない? 」
「ジュイナは優し過ぎますわ。コダック先生の事だからふざけた量の課題を出してきますわよ? 」
「有り得そうだから笑えないな……」
三人はC組の寮の談話室で散々喋り倒した後、自室に戻り布団に潜ったのだ。




