83 古代魔法
いつも閲覧ありがとうございますm(_ _)m
ブックマーク、感想等励みになっております。
読んで下さる皆様に少しでも楽しんで頂ければ嬉しく思います。
誤字脱字等の報告ありがとうございます。助かります!
「容赦なく、いかせていただきます! 」
クリスティーヌは良く通る声で宣言し、黒龍を召喚したのだ。そのまま魔力を込めながら空中に紋様を描き掌をかざし、空に見た事もない巨大な魔法陣を展開させるのである。
"クリスティーヌ、なんだ! この複雑な魔法陣は?! "
"初めてみる魔法陣だわ"
エスイアとジュイナはゴクリと喉を鳴らし、この先の展開が全く読めずにいるのだ。
"何となくヤバイ気がするぞ"
"同じく"
エスイアとジュイナは同時に叫んだのだ。
「「皆‼ 離れろ‼ 防御結界を張れ! 」」
二人の言葉と同時に、クリスティーヌは黒い魔石へと攻撃を仕掛けるのである。
クリスティーヌが展開した巨大な魔法陣から、とてつもなく巨大な青白い右手が現れ、硝子細工を叩き割るかのように黒い魔石を一瞬にして大破させただの石に変えてしまったのだ。
辺り一面に魔石の破片が飛び散り、魔物や防御結界に突き刺さる。結界はいとも簡単に破壊され、爆風によって敵も味方も関係なしに吹き飛ばしたのだ。
ジラン司教はその光景を凝視し、なにかをずっと叫んでいる。
「まさか……まさか……あり得ない。この魔法を使える者はこの世にたった一人だ!何故お前が滅びた魔法を使えるのだ‼ 」
「ジラン司教様、どうなさいますか! 」
「わかっておるわ!そのまま出てきた魔物と共に我々に逆らう奴は全て抹殺しろ! 」
ジラン司教は教徒に怒鳴りつけ、我が身を安全な場所へと移すように手配をするのだった。
だが、キースはその行動を見逃さずデニスとローウェンと共にジラン司教の逃走経路を素早く経つのである。
「ジラン司教、もうここで終わりです。さっさと縄にかかりなさい」
キースは低い声で言い放ち、剣を抜いたままジラン司教との間合いをジリジリとつめていく。
「青二才の分際で儂に勝てると思うのか! 」
ジラン司教は黒い魔石を取り出し、自身の胸に埋め込んだのだ。黒い魔石がジラン司教の胸に埋まり、黒い影が現れた。
キース達は、縮めた間合いを広げジラン司教の使った魔石が他の魔石と違うと気付いたのだ。
「ははは! 気付いたか。だが、気付いた所で、もう遅いわ‼ 」
ジラン司教が叫んび、キース達に高度魔法攻撃を幾つも繰り出し、隙を見てはクリスティーヌのいる空へと容赦なく攻撃するのである。
「ジラン司教、老い先短いにも関わらず寿命を更に縮めたいようですわね」
クリスティーヌは巨大な青白い手にジラン司教を抹殺するように命じる。
青白い手は迷いもせず、ジラン司教を掴み取りゆっくりと力を込めながらじわじわと握りつぶしていく。
「な……なぜ! お前などの小娘がこの魔法を使えるのだ‼ 」
「お答えした所でわたくしに何か得でもございますか? 」
巨大な青白い右手は、ジラン司教を徐々に力を込め更に握りしめるのだ。鈍い音が聞こえ、手がダランと垂れたのだ。
「くそ! くそ! 小娘如きが! 儂が数十年研究しても手に入れれなかった物をぉぉぉぉ」
「あら、それは残念ね。才能がなかったのね。ご愁傷様。わたくしもお伺いしたい事があります。貴方はニズカザン帝国を裏切ってまで何をする気だっのかしら? 」
「はっ、おまえみたいな餓鬼に言えるか‼ 」
パチンと指を鳴らしたクリスティーヌは最後の仕上げとばかりに一気にジラン司教を締め上げ、高度浄化魔法によってジラン司教ごとこの世から消しさってしまったのである。
ジラン司教を失った教徒達は半狂乱になり、逃げ出す者、自害する者、捕縛に素直に応じる者等様々な反応を見せたのだ。
"おい。クリスティーヌ、大丈夫か? "
"えぇ。絶好調ですわ"
"クリスさんの魔力の凄さを目の当たりにしましたね……"
"黒い魔石から出てきた魔物は任せて、と"
"クリスさん、何処に行かれるのですか! "
"王城よ。きっとそこに今回の騒動の原因があるわ"
"着いていく‼ "
エスイアとジュイナは同時に叫び、念の為に、エスイアがデニス団長に一声かける。
「……と言う訳で行ってきます。じゃあ後は任せました」
「あほかーー‼ この状況を見ろ! 」
エスイアは手を軽く上げ、魔物と騎士団員達が闘う側を素通りし颯爽とクリスティーヌ達と合流し、王宮へと向かうのだ。背後からデニスの絶叫が聞こえるが、全く気にしない自己中な三人なのである。
「さて、門はすんなり通してくれるかしら? 」
王宮の門は固く閉ざされており、結界が幾つも張られているのである。
そんな事はお構いなしのクリスティーヌは、空中に紋様を描きそっと結界に重ねると人ひとりが潜れる大きさに結界が解けたのだ。
驚く二人を放置し、クリスティーヌはあくまでマイペースで事を進めていくのである。
"これ、大丈夫なのかよ……"
"外交問題にならないわよね……"
"大丈夫です。修復しましたし"
"そういう問題じゃ……もう、いいや"
王宮の中はひんやり涼しく、外の喧騒が嘘のように静かだった。三人の足音が響く。磨かれた大理石の床、白を基調とした壁、金銀の装飾品、高い天井、そしてこの国の精霊フェイディーネの肖像画。どれを見ても美しいものばかりだ。
「さて、王の謁見の間はどこかしら? 」
「そこに何かあるのか? 」
「わかりません。大体はそこに何かあるでしょう」
「行き当たりばったりね……」
エスイアとジュイナは溜息をつき、何も聞くまいと頷き合いクリスティーヌの後に静かについて歩いていく。
「それにしても気味が悪い位に静かね」
「ジュイナもそう感じたか? 」
「ん……これは……幻術にかかってしまいましたわ」
「はぁぁぁぁ?!?! もう頭が痛い……」
エスイアは脱力し、何時もの気怠けなクールな雰囲気もなく心底クリスティーヌと班が一緒な事に後悔したのだ。度重なる問題に、もうなる様にしかならないと悟ったエスイアは、何時も通りのペースを戻そうとするのである。
「まぁ、何とかなるでしょう」
「なんとかなるだろーな。腹減ったからいっその事、調理場へ行こうぜ」
「賛成〜〜」
現在の状況が分からない三人は腹ごしらえの為にトワライ王国の王宮内の調理場へと向うのであった。




