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82 交戦

 クリスティーヌ達の部隊は第四部隊らしく、他の部隊と合流し作戦の遂行にあたる事に決めたのだ。


 トワライ王国の騎士達も道中で見た以外に見当たらない、という事も不審な点であり念には念を、というのである。

 戦況が全く分からない状況下で、先に他の部隊と合流し作戦を立て直す必要があり第二部隊の安否確認も出来ていない状態なのだ。クリスティーヌ達はルーダは無事だろうとしているが被害状況がどのような大きさなのかはわからず、キース達にルーダの所属する第二部隊の居場所を未だに教えていないのである。


「この付近だと、第三部隊がいる筈だ。そちらと合流次第、中央の魔石破壊へとうつる事にする! 」


 キースの言葉に騎士団員達は返事をし、第三部隊がいるであろう目的地へと向かったのだ。


 第三部隊は森の付近で見つけ無事に合流出来たのだが、やはり同じ様な奇襲を受けており部隊の3分の一を削られてしまっていたのである。


 クリスティーヌ達は、ルーダの伝言がなければ、自身の陣営も同じようになっていただろう、と表情を曇らせるのであった。


「デニス団長。トワライ王国の騎士達はほどんど見当たりませんが何処に行ってるのでしょうか? 」


「俺も気になっていたんだがな……」


「きっと王宮に集まって居るのではないかと思います」


 クリスティーヌとデニスの疑問にキースは答える。


「この戦況ですと、先にトワライ王国の者と動く方が先決ですね」


 クリスティーヌ達は一先ずトワライ王国の宮殿へと向かうのである。


 ニズカザン帝国の騎士団員達がわからないように、エスイアはルーダと同じ魔法陣を幾つも仕掛け後からくるメリッサや他のC組の生徒達の為に伝言を残すのであった。


 第三部隊には王立学園の五年生達が居たが、慣れない中で疲労が積もっているのか顔色は悪いのである。もう一人の生徒は腕に怪我を負っており包帯姿が痛々しく、騎士団員達も気遣うように声をかけていたのだ。


 クリスティーヌ達も勿論、疲労はしているがスペンサー特製ジュースを飲む為に思った以上に疲れはなく体力や魔力が大幅に回復しているのだ。やはり、持つべきものは兄である。


 第三部隊のリーダー、トナーズに話を聞くと急に騎士団員の二人が黒い影を纏い出し、味方を次々と殺傷し後に一人は毒で自害し、一人は爆発したと言うのだ。

 黒い魔石の報告は受けていたが、このような事になるとは思っておらず必死に抑えつける事と他の者達の命を守る事に精一杯で余りその様子など覚えていないというのである。

 勿論、第二部隊の事を聞くが分からないと答えられ、キースとデニスは伏し目がちにありがとう、と答えるのだった。


 "ここまでトワライ王国の騎士がいないというのはおかしすぎますわね"


 "1つの仮設を立てるならば、王宮が非常に危険な状態……ってことかな"


 "緊急事態、もしくは王を人質に取られてしまった"


 "どう考えても不吉な仮説しか立てれませんわね。わたくしとしてはルーダ達C組と合流したいのですが、まだひよっこ学生ですしね"


 クリスティーヌは、今になって自身がまだ10歳程の子供、それもひよっこ学生だという事を恨んだのだ。

 エスイアとジュイナも同じ考えらしく、苦い顔付きで3人は目を伏せるのである。


 トワライ王国の王宮へ進む道につれ、トワライ王国の騎士達が増えているのだが、それに比例するかのように黒い魔石を埋められた人のような魔物が増えているのである。


 ニズカザン帝国の騎士達は全てなぎ倒し、クリスティーヌ達は浄化魔法で大量に魔石を浄化させ、ただの石にかえるのだった。

 始めのうちは、第三部隊の騎士団員達に参戦する事を拒まれたのだが、クリスティーヌ達の戦術や戦闘力を見て驚き今では即戦力として一緒に参戦しているのである。


「おい!あれはジラン司教じゃないか?」


「キース殿! ジラン司教を発見いたしました!」


 王宮の門前広場にはニズカザン帝国の騎士達とトワライ王国の騎士達、そして黒い魔石の魔物達が交戦しており、その中にジラン司教を発見したのだ。


「自軍を先に助け、ジラン司教を生け捕りにしろ!」


 キースの怒号が聞こえ、挟み撃ちの形で交戦するのである。


 "キースってあんな声が出せるのね"


 "クリスさん、感心していないで早く仕留めましょう"


 ジュイナに促されたクリスティーヌは魔力を溜め、エスイアは赤竜(ヴァーム)を召喚し空から声を張り上げ自軍に、下がれ! 、と叫んだのだ。エスイアの声を聞いた自軍やそれを見たトワライ王国の騎士達は、直ぐに下がったのである。


 クリスティーヌは自軍がいない事を確認すると、敵軍の足下と頭上に巨大な魔法陣を展開させる。


 ジラン司教が何か指示を出し、こちらに魔法攻撃を放つがジュイナの防御結界により弾かれ自分達の元へ返り自爆してしまったのだ。


「餓鬼どもがぁぁぁ! 許さんぞ‼ 」


 ジラン司教のこめかみには青筋が立ち、目が血走りながら中央に見える巨大な黒い魔石に向け呪文を唱えるのである。


 黒い魔石が光りだし、眩しく皆目を閉じてしまう。光が収まり、恐る恐る目を開けると魔石から見た事もない魔物達が次々と現れ出したのだ。


「こんな事は序の口だ! 貴様ら、喜べ! この魔物達の第一号の()となるのだ!」


 ジラン司教が盛大に叫び、出てきた魔物達に命ずるのである。()()、と。


 "何なんだコイツら、普通の魔物じゃない"


 "魔力が吸い取られていくような気持ち悪い気分だわ"


 "この魔物達はきっと、憎悪を餌とする悪魔よ。伝説の物だと思っていたのに。悪魔を冥界を通じ、召喚したに違いないわ"


 "クリスティーヌ、お前何でも知ってるな"


 "魔獣関連は全て頭に叩き込んでいますわ。勿論、悪魔や天使等の伝説書も読みあさったのです"


 "知識は財産なり、その通りね"


 三人は相変わらずマイペースながらもこの状況下を切り抜ける作戦を考えるのである。

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