73 アレクシスからのMISSION
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ジュイナの宥めによって一時的な奇っ怪な行動、いや何時もの行動を抑えたクリスティーヌはエスイアによって打ちのめされて現実から少し離れているアレクシスを待っているのである。
「ジェシカがいない事はわかりました。あの方は物凄く、ものすごーーーく、厄介なので少々取り乱してしまいましたわ。それで、アレクは何を見せたいのかしら?」
「アレク様!アレク様!」
フランに肩を揺さぶられ現実に戻されたアレクシスは気を取り直し、ひび割れした炭のような石をクリスティーヌ達の目の前に出すのである。
「これなのだが、見覚えはないか?」
「もしかして、力を使い果たした魔石だろうか?」
「この前の浄化した物と似ているわね」
「この魔石が大量にマッセラ教会近くで発見されたのだ。トワライ王国も同じ様な事が起きている」
アレクシスの言葉にクリスティーヌ達三人はジラン司教の言葉が頭によぎったのだ。
【トワライ王国を落とすのは簡単だ】
それに、クリスティーヌ達が浄化した魔石も魔力が抜けると色が変わり炭のような何の変哲もない石へと変わり果てたのである。同じ様な石が大量にあると言う事は力を使い果たしたということだろう。
「デニスとマリエルが潜入して手に入れた情報の中に、マッセラ教会内には巨大な黒い魔石があるのだが今は別の場所に移動されているとみている。クリス達が聞いたジラン司教の話を合わせるとトワライ王国かメンドラ国にある可能性が高い」
「で?王子、俺等は何をしたら良いのでしょうか?」
「やっぱり、そういう事ですか……」
エスイアとジュイナは諦めたように、王子の依頼を聞く前から先に承諾したのだ。
「話が早い。魔導具設置と共に、その周辺も調査して欲しいんだ。巨大な黒い魔石を探すのはとても危険だが、使用済み魔石はその辺りにあるかもしれない。その位置を記録して一部を採取してもらいたいんだ。何か嫌な予感しかしないからな」
「俺はもう嫌な予感だらけです。クリスティーヌと駆り出されてから……なぁ?ジュイナ」
ジュイナは激しく首を縦に振り、仕方ない、と呟いたのだ。
アレクシスの話が終わり、クリスティーヌ達は宮殿を出て各自出立の準備をし、学園の闘技場へと来ていたのだ。
エスイアの提案で直ぐには取得はできないが、ジュイナと魔石の浄化をクリスティーヌから教わる為だ。この先、何が起きてもおかしくない状況であり、国境の件での戦いも踏まえて三人が決めたのだ。
「クリスさん……この術式難しい……」
「確かに。魔力量は足りるが素早く展開するには中々……」
ジュイナとエスイアは何度も繰り返し、魔石浄化の魔法を繰り出すがクリスティーヌのように素早く術式を展開出来ないのだ。何度か繰り返すうちにゆっくりだが魔石浄化の魔法が繰り出されたのである。
「こればっかりは練習ですわね」
短時間で完全浄化出来るかはさておき、魔法は展開出来るようになった二人は、魔力の練り方を鍛錬するしかない、と悟り各地に赴きながら練習する事にしたのだ。
デニスとローウェンも挑戦するが、高度な魔法術式の為に早々とリタイアしたのである。
エスイアは剣技を使えるがそれは護身の為の剣技であり、闘いになると話は別になる。この機会に戻ったら少し鍛錬しようと決意するのだ。
待ち合わせ場所にデニスとローウェンが既に待っており、お詫びの印にと串肉を大量に持参していたのである。
クリスティーヌは串肉を貰った瞬間、許す!と叫び飛びついたのは言うまでもない。
食べ物で怒りがおさまるなら、こき使われる前にやっておけば良かったと今更ながらに後悔するデニスとローウェンであったのだ。
「ほぇれ?どぉこにいふんでふか?」
「おい!クリスティーヌ、食べながら話すな。お前さ、本当に公爵令嬢なの?」
「ほうでふが?はにか?」
「だーかーらー……もう良いわ……」
「エスイア、一応何言ってるかわかるし、念話できるし…ね……?」
呆れたエスイアを宥め、ジュイナはフォローになっていないフォローを口にし、デニスとローウェンはその姿を見てこの三人で本当に大丈夫なのか、と先行きに不安を覚えるのである。
「王都は騎士団員達が魔導具設置を手分けして行っているから、先に東の場所から設置して行こうか」
「国内のあらゆる場所に設置するのですよね?なら、先にトワライ王国に近い方面から抑えてた方が良いんじゃないですか?」
「そっち方面はキース殿達が回るらしい。この間の国境砦の件も踏まえて、砦付近は騎士団員と研究員数名が受け持つ事になったから大丈夫なんだ」
「なるほどね」
クリスティーヌは串肉を頬張りながら、会話を聞きその隣でローウェンも串肉を同時に頬張っていたのだ。
マリエルから聞いていたが、ローウェンは騎士としての腕はあるが少し抜けている所があるようだ。
「じゃー王子からの依頼も受けた事だしそろそろ行きますか」
「お前達、準備は出来てるのか?」
デニスはクリスティーヌ達に聞くと三人は頷き、そのまま馬で出立する事となったのだ。
馬よりフェンリルが断然速いからと、クリスティーヌが召喚して乗ろうとした所を全員で阻止したのは言うまでもない。
エスイアとジュイナは、秘密裏で任命されている意味がない、とクリスティーヌに説教するのである。




