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64 休校

 スペンサーとシャルゼが所属長に報告した後すぐに王都の宮殿で各研究所の所属長や騎士団長、宰相など重役達が集まり国の緊急会議が行われる事となったのだ。その為、王立学園は急遽休みになったのである。


 クリスティーヌはソルティオがトワライ王国へ戻ってからも定期的に情報を交換し、連絡を取り合っていたのだ。

 ソルティオの情報によると、黒い魔石が国境付近で密売されており検閲を強化しているのだが、上手くすり抜けられたりとイタチごっこ状態が続いているのだというのだ。勿論、その件についてはソルティオからエルノーワ家当主のガウスへ連絡がされているのである。


 エルノーワ家ではラネックや領民達が手分けをして調べを進めているのだが、領内では特に変わった事はないらしく収穫は無しだという。流石に魔獣が多く棲む森の近くでは事を起こせないのだろう、と予測されたのである。

 しかし、サーモス家からそう遠くない国境付近では何やら争いが絶えず騒がしくなってきたというのだ。ラネック達は近々調査の為に向かのだという。


 そして、クリスティーヌは父ガウスから内密に学園内で黒い魔石が生徒の手に渡っていないか、学園内に黒い魔石が設置されていないを調べる命を受けたのである。


 クリスティーヌ自身は始め、単独で調査をしてきたのだが、一人で動くにはどうしても限界があると判断し()()()()()コダックを巻き込み協力をしてもらう事にしたのである。


「何故、俺が巻き込まれるんだ……?」


「それはですね、わたくしの先生だからです」


「アレクシスに頼めば良かったじゃないか」


「アレクに頼むと、もれなく付属(ジェシカ)がつきますし、その付属達(ジェシカの取り巻き)が調査の妨げになると判断したのです」


 クリスティーヌは没収された瓶底メガネを返してもらい、メガネを指でクイッとあげにっこりと微笑むとコダックと共に学園内を捜索し始めたのだ。


 隣では未だに、その伊達眼鏡は必要なのか?、俺の穏やかな学園教師生活から離れていく、などと独り言を唱えるコダックがいるがクリスティーヌはお構いなしにコダックを利用するのである。


 生徒立ち入り禁止の場所などコダックという権限を使い、色々と見回ったのだが特に不審な点は見当たらなかったのだ。


「今日は収穫なしですわね」


 残念そうな顔をしながら空を見上げ、時計台が目に入るとクリスティーヌはふと少し考えるのである。



 もしも、黒い魔石があるとして効率よく魔力などを吸収するならば学園の中心にある物などを利用する筈だわ。私だったら……何処が効率良いと思うかしら?



「コダック先生。効率良く魔石の魔力を集めるなら何処に置きます?」


「あぁ、うん。なる程な。んー……食堂とか?」


「食堂なら、使わない生徒もいますわよね?」


「あー、それならあれだ!教室の入り口だ!」


「それも一定の生徒だけですし、全教室となると効率悪いですわ。そもそも学園内だと関係者しか無理で……あ!1つ効率よく外部から設置出来る場所がありますわ!」


 クリスティーヌはコダックを連れ、思い当たる場所へと走り出したのである。


「おまっ…ぜぃ…ハァ……走るの……速いな……」


 コダックは息を切らしながらクリスティーヌについていくのだが、現役学生と怠け者教師との体力は歴然としているのだ。


「正門?」


「そうです。正門なら皆()()入ります。そして結界がはられているのも良く見ていただきたいのですが、微妙に門の内側からなのです。門の柵の外側は結界は張られていない。学園に用がある者は必ず()()を通り学園内にはいりますよね?」


「確かに!!早速何処にあるか捜すぞ」


 クリスティーヌとコダックは、門の側にある守衛室から門の鍵までみっちりと探したのだが魔石は見当たらないのだ。


「クリスの勘も外れたな。まぁ、そう簡単には見つからんだろう。気を落とすな!」


「デニス騎士団長とマリエルが見つけた魔石はガーランドに組み込まれていたのですよね?」


 クリスティーヌは鍵穴の上にある唐草模様の一部に不自然につけられた小さな魔石を見つけたのだ。


「おい!あったぞ!あったぞ!」


 コダックは驚きクリスティーヌと黒い魔石を交互に見続け何か騒いでいる。クリスティーヌはそんなコダックを尻目に、早速ガウスに早便の手紙をおくるのだった。


「これからどうするんだ?外すのか?」


「まだわかりません。今、父に早便を送りましたがすぐに返事が来るかどうか。下手に今外してましまうと、水面下に潜られても困りますし」


 クリスティーヌとコダックは取り敢えず、黒い魔石はそのままにしておきガウスや上層部のお偉いさん達の指示に従う事にしたのだ。


 そしてクリスティーヌは、魔石が小さい事と魔力を早急に集める事を合わせて考えても、きっと埋められている魔石はここだけではないと判断し、外壁を沿る様に学園を一周し始めたのである。


 コダックも一緒にクリスティーヌと外壁に沿ってゆっくりと歩き始めたのだ。


「壁ばかりだな」


「そうてすね。絶対、他の魔石もあるとおもったのですが……」


「なぁ。外壁の上のあの部分なんて魔石を埋め込むのはうってつけなんかじゃないか?」


 コダックは気になった部分を指差したのだ。

外壁の上の部分に付いている柵に注目したのだった。


上の方にあるので、ここからは様子が上手く見えないのである。それに設置するには些か無理があるのでは、と考えたのだ。


クリスティーヌとコダックはどうにかして柵の部分も確認しようと奮闘するのであった。

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