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63 研究所

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「こんにちは〜。スペンサー、至急頼みます」


「後でも構わないだろ」


「残念でーす。赤札と黄札付きよ」


 ノックもせず、ドアを開き茶色の髪を一纏めにした女性がスペンサーの元へと()()と呼ばれる緊急案件の品を持ってきたのだった。

 スペンサーは渋々その緊急案件の品を手袋をつけたまま手で受け取り、色々な方向から目視したのである。


「なんでこんな面倒くさい物作ってるんだ……」


 スペンサーは理解に苦しみながら、一人つぶやき溜め息を吐きながら仕方なしといった様子で作業にとりかかったのだ。


 ここは宮殿の側に並ぶ王都研究所の一室

 、魔草研究所である。

 スペンサーは魔草の調合本などを出版し、好きな事をしているように見えるが立派な王都の魔草研究所に務めている職員なのだ。調合研究所とも兼任しているニズカザン帝国屈指の優秀な研究員なのである。

 他の研究所から先程のように持ち込まれることも多いのだ。赤札は緊急を要する物、黄札は危険な物と札の種類によって分けられているのである。


 先日、デニスとマリエルがマッセラ教会へ潜入調査を行った際に魔石付きのガーランドを入手したのだ。

 ガーランドについてる魔石には草や花が複雑に絡められており、普通であればすぐ取れるのだ。だが、魔力のせいで草花が魔草とり魔石が取り出せなくなっていたのである。魔石研究所がお手上げ状態になり、魔草研究所に運ばれスペンサーが担当になってしまったのである。


「スペンサー、取れそうかしら?」


 不安そうな顔をしながら、このガーランドを持ってきた魔石研究所の研究員シャルゼがスペンサーの手元をしっかりと見ながら伺うのだ。


「同期のよしみじゃなかったら、面倒くさいと一蹴していたところだよ。一体何だ、これは?」


「先日、マッセラ教会から入手した黒い魔石と言われる物みたい。巷では幸運の魔石と言われてるんですって」


「幸運の魔石ねぇ……これを持ってたら死なんかすぐ来るのに」


「あら、物騒な事を言うのね」


「事実だろ?君の方が得意分野だろ?」


 スペンサーはシャルゼをちらりと見、絡まっている魔草に特殊な液をスポイトで少しづつ垂らす作業を繰り返している。

 徐々に魔石から解けていく魔草だが、根っこの部分が魔石と同化してしまい中々取り出すのに時間がかかってしまう状況なのである。


「スペンサーでもお手上げなのね」


 シャルゼは呑気に鼻歌を歌いながら、側にあった調合書の本をぱらぱらとめくっている。


「時間がかかるなぁ……んー、クリスのクラスは優秀と聞くから何か便利な魔導具がないか聞いてみるか」


「あ!クリスちゃん、魔法大会凄かったわよね。まさかC組が優勝しちゃうなんて。でも、魔導具はいいの?魔導具の研究所は喉から手が出るほどC組の才能を欲しがってるじゃない?また目を付けられるわよ」


 スペンサーは、そうだった、と頭を抱えたのだ。魔導具の研究所には関わりたくないスペンサーはこのまま地道にやるしかないか、と諦め先程の地味な作業を繰り返し続けるのであった。


 シャルゼが近くにある椅子に座り、報告書を覗き数枚めくった所で目を留めたのだ。


「この魔石、魔力や生気を吸うとあるけれど一体何に使うのかしら?中に蛇の紋様があるでしょ。この紋様、何処かで見た事あるのよね」


「文献かなんかなのか?」


「それが思いだせれば、世話がないわよ。なんだったかしら」


「取り敢えず、終わったぞ」


「さすがスペンサーくん」


 シャルゼはスペンサーから箱のまま魔石を受け取り、色んな角度から黒い魔石の中の刻印を覗くのである。


「蛇と言えば、古い歴史書か何かになかったか?古代の儀式に使うやつ、だったかな?」


 スペンサーは何気なく思い出した事を口にしたのだ。シャルゼは目を見開き、何かを思い出したようにポケットに入れていた小さな魔導具を発動し展開させたのだ。


 そこには色々な魔術の本や歴史書などが小さく詰め込まれている本棚がでてきたのである。シャルゼが出した魔導具はC組生徒の試作品である、ブックストというものだ。冊数は限られてしまうが大体50冊数までならば小さくして魔導具にしまう事ができ、持ち運びが出来る代物なのである。研究員達に大変重宝しているのだ。


 シャルゼは小さくなった分厚い本の一冊を取り出す。すると、元の大きさの本に戻り机の上に置き目的の項目まで素早く紙をめくるのである。


「あった……」


 シャルゼが見つけた頁目には、古代禁術式の文字があったのだ。そこには、蛇の刻印と同じ紋様が絵で記されており、黒い魔石がどう使われていたのかなど詳しく記述されている。なにより、この禁術が何に使われていのかシャルゼはわかってしまったのだ。


「もしかして、この黒い魔石を作った者は禁術を使いこの世界に邪厄を解き放つつもりなの……?」


「どういうことだ?」


 シャルゼは静かに口を開き、スペンサーに説明するのである。


 邪厄とは、人々が元々作り出した邪悪な心の塊でありそれが集まり邪厄になるといわれている。例えば憎み続ければ、憎み続けている人間は憎悪として邪を招き終いには自身も邪に呑み込まれて邪悪な物として変わってしまうという事なのだ。邪厄は禁術と深く関わっており、禁術を使うと人の良心の呵責を消し邪悪な心の塊に変え人々の世界が邪の世界へと変わるというのである。

 だが、禁術を使うためには膨大な魔力や生贄が必要である。そこで黒い魔石を使い十分な魔力などを吸い取らせてから禁術に使うのである。禁術を一番最初に使った者は世界の支配者となり、絶対的な力を手に入れると言われている。いわゆる、神的存在になるのだ。


 その禁術がいつ、どの期間で行われるのかは全く不明なのだが早く黒の魔石の根絶に力を注ぐ事は間違いではないのである。


 スペンサーは頷き、大方シャルゼの話す通りで間違いないと同意見を述べ、早速2人は上司の元へと報告と向かうのだった。

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