60 夜会パーティーと黒い魔石
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魔法大会も無事に終わり、その後に行われる夜会パーティーが始まろうとしていた。
クリスティーヌは困った事になっていたのだ。クラスの生徒達はなんだかんだと相手を決めていたらしく、エスコートしてくれる相手がいないのである。
エスイアに至っては、王子がそのうち言ってくるんじゃねーの?と言ってくる始末だったのだ。
そんなアレクシスはジェシカに捕まり、周りに助けを求めていたのだが皆関わりたくないのか見て見ぬふりを貫いており、あえなく捕獲されていたのである。
過去に戻ってもパーティーのぼっちは相変わらずなクリスティーヌだったが、ここでめげる訳にはいかない、と決意しまた何やら良からぬ事をしようとしているのだった。だが途中でコダックに見つかり、あっさりと発明品を没収されコダックに首根っこ掴まれ会場へと放り込まれたのは言うまでもない。
クリスティーヌは、もう瓶底ぼっち令嬢で突っ走ろうと決めたのだ。ニズカザンでは相手してくる殿方は居ないと悟った瞬間であった。
周りの視線が刺さり凄く居心地が悪くなってきたクリスティーヌは、いつも見ないのに何故今は見るのかと不思議に思っていたのだ。
誰かが見えない所で悪戯してるのかとも考え辺りを見回したのだが、そうでもないらしい。
エスイアとジュイナがクリスティーヌの側に駆け寄り同時に口を開いた。
「「眼鏡は?」」
クリスティーヌは少し考え、いつも目の前にある物がないと気付くのである。先程、よからぬ事を考え作業の邪魔になると眼鏡を外していたのだ。コダックに発明品と共に瓶底眼鏡を没収されたのである。
エスイアとジュイナに先程のやり取りを簡潔に伝えると、二人して残念で呆れた顔をしたのだ。まるで、可哀想な子を見る目でこちらをみているのだった。
すると、一人の上級生が声を掛けてくる。
「一緒にダンスをどうですか」
クリスティーヌは知らない人だし、どうしようかと迷ったのだが、エスイアとジュイナに押され上級生の手を取ってしまったのだ。
曲が始まり、皆楽しそうに優雅にステップを踏み華麗に回ったりして踊っている。クリスティーヌも始めは緊張して固くなっていたが、段々楽しくなりいつも通りに踊り、ダンスを楽しむのであった。
曲が聞こえている間、相手は何か話をしていたのだが全く聞いて居なかったクリスティーヌは、目を合わせると一瞬固まってしまったのだ。
「ソ……ソルティオ……?」
上級生はニッコリと微笑み、やっと気付いてくれた、と言いダンスが終わると同時にクリスティーヌを連れて壁へと移動するのだった。
変化の魔法で瞳の色や髪の色は違ったが、紛れもなくソルティオだったのだ。
何故ソルティオがここに居るのかと聞くと、毎年魔法大会はニズカザン帝国から招待され、決勝戦の観覧と夜会パーティーに出席すると言うのだ。そして、クリスティーヌを驚かそうと思い手紙には記さなかったらしいのだ。
話がある程度落ちついた所でジュイナとエスイア、レイアスがこちらに来て挨拶をする。クリスティーヌはソルティオを紹介しソルティオにも自身の友人達を紹介するのであった。
遠くでは、アレクシスが慌ててクリスティーヌの元へと行こうとしたのだが、ジェシカによってがっちりと腕を絡められていた為なす術もなかった。近くでフランが笑いを堪え、はっきりとしない王子が悪い、と呟いていたのは秘密である。
事情を知る生徒達は何かを期待しながら、クリスティーヌ達を遠巻きに見ているのであった。貴族特有の面白い噂の種探しである。
「他にも理由があってここに来たのかしら?」
「あぁ、少し前から幸運の魔石と言う物のトラブルが続いていてね、それをオリエン家に調べて貰おうと思ってたんだよ」
「オリエン?あ……カミラの家ですわ」
「オリエンの宝石は質が良くて保証もしっかりしているから、トワライ王国でも人気があるんだよ。個人としての鑑定依頼をしに来たからお忍びになるね」
ソルティにカミラを紹介する事を伝えると、ソルティオは微笑みながら、一緒に鑑定についてきてほしい、とお願いしたのだった。
ーーーーーーー
次の日の朝、C組棟の談話室にソルティオとデニス、ソルティオの従者がやってきた。学園は魔法大会の後の為に休みなのである。
「デニスさん、お久しぶりです」
クリスティーヌはお辞儀をし挨拶を交わす。
「おお。エルノーワ家のクリスティーヌ嬢、久しぶりだな。1つ聞いてもいいか?ソルティオ殿とはどういったご関係で?」
クリスティーヌとソルティオはかい摘んで、夏での出来事を話す。
同盟や友好国とは言え、他国の内情をさらけ出すと崩落する場合もある為軽くしか話せないのである。
「なるほど。ハミルが関わっているのは間違いないなさそうだな」
デニスは日に焼けた腕を組みながら何かを考えているようだった。
「クリス、カミラ嬢はどちらに?」
「少しお待ち頂いても?何やら鑑定の道具を運ぶとかでエスイアとルーダに手伝って貰っているみたいですわ」
暫くすると、ルーダとエスイアが両手に重厚な機械と道具を運んできたのだ。後ろからカミラも前が見えない程、高く積み上げた本を抱えながら階段から降りてきたのである。
「お待たせして申し訳ありません。私がカミラ・オリエンです」
カミラは軽くお辞儀をし、ソルティオとデニスに挨拶をすると机に本の束を豪快な音を立てながら置いたのだ。ソルティオも挨拶をしルーダも挨拶をしたのだった。
「早速なのだが、これを見てもらえるかな?」
特殊な箱を渡されたカミラは、箱を開け中に入っている黒い魔石を見つめる。
「この箱は魔法がかかっていますね。どうしてでしょうか?」
「この石に触れると魔力を吸い込まれるような感じがして気持ち悪くなるそうだ。酷い場合だと寝たきりになるとか話に聞く」
「なるほど」
カミラは納得し、茶色い革の鞄から特殊な薄く青い色をした手袋を取りだし自身の手につける。そして机の上に魔法陣が描かれたマットをひいたのだ。
「ルーダ、防御魔法をこの辺りにお願い。念の為に2重にしててほしい」
カミラは手袋をした手で黒い魔石を持ち、マットの魔法陣の上へと置く。
魔法陣が黒色に染まり、魔石から黒い影が薄っすらと浮きでてきたのだ。
カミラはそのまま魔法ルーペを取り出し、魔石の中の刻印や魔術を読み取ろうとしていた。
黒い魔石の中には、蛇の模様をした刻印があり魔力吸収と魔力移転が組み合わさった術式が刻まれていたのだった。更に詳しいことは、家にある道具を使わなければならなく時間もかかると言うのだ。
ソルティオは滞在期間を延ばし、カミラに黒い魔石を預けしっかりと鑑定をしてもらうように依頼をしたのだ。カミラは、クリスティーヌからの紹介だから友人割引きをする、と伝え依頼を引き受けるのであった。
エスイアはこの間の買い出しに巻き込まれた時の黒い影と同じ事に気付きデニスに報告しておいたのだった。
デニスは一体何が起きているのか予想もつかず、また悩みの種が増えたのである。




