56 ジュイナの逆襲
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1年C組と3年A組との試合時間は五分も経たずに終了し観客をどよめきの渦へと落としたのだが、1年生のまぐれとして片付けられ観客達は次の試合へと心がうつっていったのだ。
クリスティーヌ達は教室に戻り、次の対戦相手となるクラスを確認する。次の相手は2年B組である。
ルーダはカミラと共に作戦を立て、側には情報収集のエリールが二人の質問に的確に細かく答えているのだ。
「さっきのように短時間で片付けられるといいけど、次はそうさせてくれるかしら?」
「んー、五分五分ってとこか……誰も俺達が勝つとは思っていないから、相手クラスはきっと俺達の事を調べてないと思うね」
「この方が去年も攻撃の要となっていたそうですわ。注意した方が良いかと思いますの」
エリールの言葉にルーダが反応し、カミラが報告書を手に取り目視している。
「ねぇ、次はジュイナにやってもらった方が良いんじゃない?」
カミラは報告書の文を指差し、ニコリと笑う。
「なるほど。ジュイナがぴったりだな、ジュイナ中心の作戦で行こう」
3人は作戦を練り、皆に作戦の発表をするのである。ルーダ達の作戦を受け、それぞれ準備を、するのだ。
「あ、ジュイナ。本気は出さなくて良いからな。3分の1位の力で良いから。けどいたぶってもいいぞ」
「1番わかりにくい指示じゃないの」
ジュイナは笑い、何故今回は自分なのか考える。ふと対戦相手のクラス名簿を見てしまったのだ。ジュイナは俄然やる気が沸き、何がなんでもぶっ倒す、と息を巻くのであった。
構内のアナウンスが流れ、一年C組の生徒達は会場に行き準備をする。準決勝までは4つの闘技場がありそれぞれ同時に試合が行われる。人気があるクラスの所に人が集まるのは当然だ。
さて、C組の観覧席はというとほぼ対戦相手の応援ばかりだったのだ。申し訳程度にエルノーワ領民と街の商会等の人々が観覧席に座っている。C組の保護者はというと…誰も一人として来ていない。これには訳がある。
ある一人の生徒がボソッと呟いた事から始まるのだ。誰も一年C組が勝つとは思ってもいないから、あえて自分達の親も呼ばずにおこう、という単純な事だ。
コダックは年に一回の行事だからと止めたのだが、決勝まで必ず進むから大丈夫と全員が声を揃えて言ったので引くしかなかったのである。これも、よくわからないが作戦のうちらしいのだ。
アナウンスが流れ、代表の選手達が闘技場に入る。すると、2年B組の一人の男子生徒がニヤニヤと嫌な笑みを浮かべながらジュイナに絡むのだ。
「お前が代表だなんて笑うな。この恥知らず。一族の名汚しめ」
ジュイナは言い返そうとしたがルーダに止められたのだ。こっそり、実力でねじ伏せろ、と言われたのである。
そう、この絡んできた男子生徒は紛れもなくジュイナの一つ上の兄である。
ジュイナの家は子爵なのだが、男尊女卑の激しい家柄で有名でありジュイナは幼い頃から兄と父に有りもしない事をでっちあげられ、虐げられていたのだ。家にいると煩わしいという理由で母方の祖母の家に追いやられていたのである。
それはジュイナにとって幸運だったのだが、この兄が曲者で散々嫌な思いをしてきたのだ。一部では有名な話なので、ルーダやカミラは知っていたのだ。
今日はジュイナにとって、最大限やり返すチャンスなのである。
そんな事情を知らない他の3人は、ルーダから軽く事情を聞き全力でサポートするから、とこちらはこちらで別の意味の闘志を燃やしているのだった。
「選手は前に出て。では、始め!」
始めの合図と共にC組に対し魔法無効をかけられるが、全く気にしていないクリスティーヌとエスイアは、俊敏に動き一人の生徒に目をつける。
その間、ルーダとメリッサは魔導具を発動準備に取り掛かるのだ。メリッサに攻撃が仕掛けられるとルーダがはね返す。C組は一見押され気味のようにもみえるのだ。
「ははははは!!ジュイナ!貴様の仲間も何もできない屑ではないか!」
高らかに笑うのは、ジュイナの兄ジェフリーだ。ジュイナは黙って攻撃を交わすだけで、こちらからはまだ何も仕掛けないのだ。
C組の生徒達は念話を始めたのだ。
"私の分も残してくれるかしら?"
"これはジュイナの問題だろ、先にこっちを始末しろよ"
"こっちは大方設置できました"
"ジュイナ、合図と共にぶちのめせ"
ジュイナは目配せで頷き、その時を静かに待っている。
クリスティーヌとエスイアが魔法無効をかけている生徒を見つけ、クリスティーヌが体術のみで華麗に戦闘不能にし、エスイアが魔導具を仕掛ける。その間も残りの2年の生徒達を叩きのめし気絶させ戦闘不能へとするのだ。
ジュイナ以外のC組生徒達は魔力を込め合図を待つ。
「今だ!!!!」
魔導具が発動し、ジュイナとジェフリーだけの空間が出来上がったのだ。
「これで誰も邪魔できない」
ジュイナはニッコリと笑みを浮かべる。
ほかの5人はのんびりと観覧する準備を始めているのだ。クリスティーヌに至ってはスモーグを召喚し抱き枕として使っており、カミラはルーダの作った土の椅子とテーブルに布をかけ、メリッサはスペンサー特製ドリンクをテーブルに置き勝敗を待つのである。
エスイアは手をひらひらとさせながらジュイナに声をかけた。
「ごゆっくり〜」
その言葉を聞いたジェフリーは酷く憤慨し、何か喚いているがエスイアは全て無視をし茶菓子を食べようとしている。
試合中に飲食などしている者は初めてなので、観客は驚きを隠せずざわめき立ち始めるが、彼等はお構いなしだ。こちらの言い分としては、試合中の飲食は禁止されてもいなければ、持ち込み禁止ともない、と言う事だ。
それに、折角の兄妹の舞台に水を差すような事はしたくない。
「貴様ーー!後悔させてやる。父上と母上の前で無様な姿を見せるが良い」
ジェフリーは詠唱をし、手に魔力を込めている。が、ジュイナはお構いなしに無詠唱で攻撃を仕掛けるのだ。
ジェフリーの足元が崩れたかと思うと一気に土が盛り上がりジェフリーを飲み込む。
ジェフリーが這い出てくれば、すかさず体術で攻撃をし蹴りで身体を吹き飛ばす。そしてまた魔法攻撃を繰り返すのだ。魔法攻撃は土であったり、水であったり様々である。ジュイナの容赦ない攻撃にジェフリーはなす術もないのである。
会場は静まりかえり、ジュイナがジェフリーに攻撃する鈍い音や血が飛び散る音しか聞こえないのだった。
ジェフリーの顔が原型を留めていない頃にやっとドクターストップがかかり、1年C組の勝利となったのだ。
「お兄様。何か言いたい事はございますか?」
ジュイナが圧倒的な強さを観客や周りに見せつけ、ジェフリーに言葉を吐き捨てた。
「女より弱いですわね」
戦闘不能となっているジェフリーは、何も言葉を発さずにいている。それもそうである。
ジュイナはクラス1、2を争う程の俊敏さを誇る技量を持つのだ。その俊敏な動きに加え、魔法攻撃と打撃を短時間で全身に何度も受ければ気を失うのは当たり前なのである。まだ命あるだけ良いと思ってた方が良いのだ。
スッキリとした顔をしたジュイナにハイタッチをし、ドリンクと茶菓子を勧めるクリスティーヌ達であった。
勿論、試合終了と同時に早く片付けるようにコダックから注意を受けたのである。
そして観客は勿論、ジュイナの両親は青ざめた顔で呆然と座っていたのであった。




