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55 魔法大会初日

 晴天の中、王立学園名物である魔法大会が始まろうとしている。宮殿から花火が打ち上げられ、街では屋台が出ておりお祭り騒ぎなのだ。


 会場である王立学園内の闘技場の観覧席は、満員で立ち見がでる程の人気だ。


 べアンド先生が魔法くじを引き、対戦カードを順番に提示していく。会場内や広場に設置されたビジョンにその様子が映されている。

 クラス代表者のリーダー以外は教室内のビジョンから観覧しているのだ。

 対戦枠が徐々に埋められていく度に街中や客席、教室から歓声があがる。


 去年の上位クラスはシード枠となっており、本日の対戦は無いのだ。

 クリスティーヌ達のクラス1年C組の対戦相手は3年A組となった。


 第3試合は昼からなのでまだ時間はある。勝ち進めば、去年の優勝クラスと当たるのだ。ダフ屋では、更に1年C組の倍率が上がり75倍までいったというのだ。


 C組は皆準備と調整に入る。ルーダとカミラは、仲間達が集めてくれた3年A組の情報を分析し詳しく聞くのである。情報収集も戦略のうちなのだ。


「エリール、このメンバーの中での要注意人物は?」


「この方とこの方です。攻撃系を得意なのと、速さが強みなので防御は怠ってはいけませんね。この方は基本防御担当だと聞きます」


 エリールと呼ばれた貴族の女生徒は自身の手帳も広げながら、ルーダとカミラに話をする。


「本当にエリールさんの情報収集は完璧ですね」


 カミラが感嘆の息を漏らす。エリールは将来、諜報や分析員になりたいのだが家柄が許してくれず揉めているのだそうだ。なので、実績を積み外堀から攻めて行こうという作戦なのである。勿論、助言をしたのはルーダとカミラである。


「じゃあこうして、ここをこうしたらいい感じ?」


「ちょっと待ったー!」


 カミラが戦術の駒を置いていると、魔導具担当のノワズが割り込んだのだ。

 クリスティーヌと同じく瓶底メガネをかけており、このクラスで魔導具設計に置いては彼の右に出る者は居ないと言われており、クラスでは最近()()と呼ばれているのである。


「博士……もしかして、魔導具を……?」


「カミラさん、察しが良いです!魔獣対策に新型を作ってみたのです。是非とも!」


「ここで出したらあとの試合はどうするの?」


「それも考えてのこの新型です!更に新型と組み合わせて使える魔導具もありますよ」


 博士ことノワズは不敵な笑みを浮かべ、カミラに魔術道具を押し売りするかのように勧めるのである。カミラがどうしようとルーダに目をやると、溜息をついたルーダが博士に声をかけた。


「博士〜これをここで使ったら手の内見せてるようだから、今回は使わない。できるだけ手の内を見せずに決勝まで進みたいんだよ。何か直ぐに試合を終わらせれるような魔導具はないのか?」


 ルーダはノワズの気持ちも汲み取り、別の提案を出すのだ。


「なら、これはどうですか?使い方は知ってるでしょ?」


 ノワズは念の為に使い方と効力を説明しルーダに勧めるとルーダはニコリと笑い、これは良い、使える、と頷き作戦に組み込むのである。


「初戦は軽くいくか。あっちは俺等を舐めきっているに違いないから、その隙をついて直ぐに終わらせよう。何試合するかわからないしな」


 皆頷き、サポート班はスペンサー特製ドリンクを準備する。サポート班の生徒達はクリスティーヌの声により、スペンサー直々にドリンク作りを教わったのだ。憧れのスペンサーを前にし倒れた女生徒や腰を抜かした生徒もいるのだ。勿論、彼女達は恋愛感情等なく雲の上の人から教わるとなり、興奮し過ぎただけなのである。


 この時の様子をスペンサーは自分の事を棚に上げ、クリスティーヌのクラスの生徒達は勉強熱心でとても良いが、少々風変わりな者達が多い、と語っていたのだ。


 スピーカーから、アナウンスが流れ第3試合の出場者は闘技場に集まるようにと、呼ばれたのだ。代表の6人と補助の3人は皆の声援を背中に受けながら、闘技場へと向かうのである。


 ーーーーーーーー


「では!第3試合!3年A組 対 1年C組の対戦を行います」


 代表者のルーダは3年生の代表と握手をし、宜しくお願いします、と言ったのだが無視をされ更にこちらを見て悪意ある馬鹿にした笑みで見られたのだった。


「クリス、一気に畳むぞ。メリッサとカミラは直ぐに防御魔法だ」


 ルーダが指示をし、皆戦闘準備をするのだ。


「では!始め!」


 始めの合図と共に両者が動き出す。

 3年生は皆詠唱を唱え始め、魔力を溜めているのだ。


 こちらは、メリッサとカミラが無詠唱で防御壁をつくり個人個人に防御魔法をかけていく。

 クリスティーヌはメリッサとカミラの前におり魔力を充分に溜めている。エスイア、ジュイナ、ルーダ達は素早く魔導具を3年生を取り囲むようにばら撒くのだ。


「クリスティーヌいいぞ!」


 ルーダ達の声と同時に3年生の詠唱が終わり、攻撃がされようとした瞬間、3年生達の足元全体に巨大な魔法陣が現れ発動したのである。


 3年生達はこっちの詠唱は終わっており、1年でやれる事はたかが知れてるとそのまま攻撃を開始したのだ。だが、C組は無傷のまま3年生を見ているだけだった。


 3年生達は自分達が一斉に放った6人の攻撃魔法により負傷し、戦闘不能となってしまったのである。


 ルーダ達が置いた魔導具とクリスティーヌが展開した魔法陣によって、3年生達は密室と跳ね返りの地獄空間に閉じ込められてしまったのだった。


「そこまで!1年C組の勝利!」


 会場からは一体何が起きたのかわからず、どよめきが起きたのだ。

 C組の教室では皆、静かに喜び次の試合の準備をするのである。


 肝心の1年B組との対戦は順調に勝ち上がれば準決勝であたるのだが、B組に完全勝利作戦の事を忘れてしまっているC組の生徒達。彼等の頭は魔法大会完全勝利に塗り替えられていたのだ。

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