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54 黒の影

いつもありがとうございますm(_ _)m

ブックマークにPV、評価励みになっております。

いつもより、少し長いです

「またバードン家が怪しい動きをしていると情報があったのだが、確かな情報はまだなのか?」


「隊長!まだ掴めていませんが、国境付近で黒のフードの者達と関わりのある教会が集会を開いているとの事です」


 デニスが騎士に報告を聞き、また頭を抱え呻きだす。問題が次から次へとやってくるのに、主犯だと見られるハミルの姿が一向に見えないのだ。

 煙のように消えたかと思えば、何処からともなく現れるのだ。まるで奇術師のようだ。


 デニスは現状を書きとめ、不穏な出来事があった地名を記し何か不測の事態にも備えるようにとエルノーワ家、サーモス家、グラッサ家へと早便を出すのであった。ハミルの狙いが未だにわからないが、関係があると言われている教会を先ず洗うしかないのだ。迂闊に手を出すとまた煙のようにまかれるので慎重に進めなくてはならない。


 デニスは国王の元へと向かうのだった。


 その頃街では、王立学園の魔法大会が近い事もあり連日お祭り騒ぎだった。


 王立学園のグッズなども売られており、今年1番人気は去年の優勝の四年Aクラス(現五年Aクラス)のものである。アレクシスのクラスも王子が居ているという理由から一年B組は人気が上がっていると言うのだ。

 そして、クリスティーヌ達一年C組の人気はというと、特に変りなしの身内のみので支えられているのである。つまり人気は最下位なのだ。


 ダフ屋の賭け倍率では、一年C組は68倍となっている。これは魔法大会きっての最高倍率を更新したのだ。誰も一年C組が勝つとも思っていない。

 この事を知ったエルノーワ領民は憤慨する所が大喜びしたのである。ラネックに至っては大金をかけたらしい。掛ける際、何度も何度も念押しされたそうだがラネックは一蹴したのだ。誰一人としてC組が負けるとは思ってもいなく、大穴で勝利すると確信しているのだ。身内贔屓な部分もあるが、模擬戦での訓練でC組の生徒達は実践で使えると認知されているのだ。


 一部の生徒は、夏休暇中にエルノーワ領民達の手伝いをしたりしていたのである。その分、領民達も生徒達に教科書では学べない色々な事を教えたのだ。


 王立学園が休みの今日、クリスティーヌはメリッサとエスイアと街に探し物をしに来たのである。実は休み開け、我がC組の担任コダックの誕生日だというのだ。独身であるコダックの為に生徒達が祝おうとサプライズを仕掛ける予定なのである。


「ここの店ならあるとおもうんだよなー」


「本当に?エスイアさんは適当だから少し心配です」


 メリッサが不安げに街外れのいかにも寂れた感が漂う店の前に立ち、店を見上げながら不審そうな目をエスイアに向けるのである。


「そもそも、何で俺が買い出し班なんだよ。絶対ルーダの方があってるだろ?」


 くじ引きで当たってしまったのに未だに納得していないエスイアは愚痴を溢している。クリスティーヌは笑いながら、エスイアなら交渉は得意だし物知りだから助かる、と言うとメリッサも頷き同意したのだ。


 エスイア達は寂れた店に入ると、中から歳をとったお爺さんが出てきたのだ。


「何か用かね?」


「あ、このような特殊瓶を探しているのですが置いていますか?」


 メリッサはポケットから紙を取り出し、お爺さんの目の前に置いていた。


「また珍しい物を探しに来たんだな。ただの冷やかしなら、お引取願ってもらう所だったよ」


 お爺さんがパチンと指を鳴らすと、一瞬にして古ぼけた店内が古風な粋のある店内へと変わったのである。


「さてさて、君達は学園生かい?」


「はい。そうです」


 エスイアは答えながら店内の物を珍しそうに眺める。エスイアの伝手で教わった店なのだが、入るのは初めてなのだそうだ。クリスティーヌも店内の物に興味津々で手に取り棚に戻すを繰り返しているのである。


「そうかい、そうかい。ならちょっと待ってなさい」


 お爺さんはそう言うと奥に入っていったのだ。暫く待つと、頼んでいた特殊な瓶を持ってきて使い方の説明をしてくれる。お爺さんに支払いをし品物を受け取ったエスイアは、自分の物も買うらしく何か注文をしてから店を後にしたのだった。


「なぁ、さっきからつけられてるんだけど、クリスティーヌ……心当たりは無いのかよ」


「勘違いだと思っていたけどそのようですわね」


「いや、答えになってねーよ」


「え?え?え?どうするのですか?」


「心当たりが全くありませんわ」


 エスイアは盛大に溜息をつき、十中八九クリスティーヌ絡みだと悟る。

 メリッサは状況が掴めない中、二人の会話を聞き何か不測の事態だと悟るのだ。この中で戦闘が一番弱いのは自分である。今まで本と調合しか興味がなかったのだが、クリスティーヌに出会う事で人生が一変した1人なのだ。クリスティーヌのお陰で()()()戦える術を学んだのである。不測の事態においてサポート出来るようにしておくのだ。


「取り敢えず、街中では暴れられねーから草原辺りでけりつけるか?」


「妥当ですわね」


 エスイアとクリスティーヌがやる気満々で話を進め、メリッサは遅れないように二人の後に続くのである。


 草原につくと、エスイアはメリッサに防御魔法展開を指示する。


 土をかける音がし、金属の擦る音が後ろからしたのだ。つけていた者達を見てクリスティーヌは驚く。()()()()()を纏った、傭兵だったのだ。


「エスイア!これはきつくなりそうよ!」


「なんだよ!知ってるのか!やっぱりクリスティーヌ絡みじゃねーかよ」


 エスイアは魔法陣を展開し、魔法攻撃を繰り出す。黒い影を纏った傭兵達に当たるのだが、全くダメージを与えられていないのだ。


「おい!こいつなんなんだよ!」


「いい忘れてましたわ!魔法攻撃が効かないのですわ!」


「先に言えよ!!」


 エスイアは舌打ちをしメリッサに魔導具準備をさせ、自身は魔力を掌に込めているのだ。魔導具の準備が完了すると、黒い影の上に魔法展開をし魔導具を発動させる。

 すると、黒い影の傭兵達が動かなくなったのだ。


「メリッサ!浄化よ!」


 クリスティーヌが叫び、メリッサが浄化の魔法を使うと黒い影を纏った傭兵はもがき苦しみ、穴という穴から血を吹き出している。黒い影と傭兵が離れた瞬間、クリスティーヌが魔法陣を展開し呪縛魔法を使ったのだ。

 黒い影は逃げようにも逃げれず、魔法陣の中で行ったり来たりをゆらゆらと繰り返しているのであった。


「これは、一体何でしょうか?」


 メリッサは黒い影を見つめ呟いた。


「わからない、けど良くないものよね。取り敢えず、()()をどうするかが問題ですわね」


「はぁ……休みの日までクリスティーヌに振り回されるのかよ。お前さ、受難の相でももってるんじゃねーか?」


 エスイアはクリスティーヌに悪態をつきながらも、不測の事態に備えての準備をしてくれている。王立騎士団のデニスに渡せば大丈夫かもしれないと、考え運ぼうとした時だ。


 黒い影が呻き叫びだす。すると、黒い影が濃くなり、呪縛魔法から抜け出そうとしているのだ。


「この展開…良くないのではないでしょうか」


「おい。こいつの倒し方分かんねーのかよ」


「んー……もうデニスさんに預けるのは無しにして消滅の方が早そうですわね」


 クリスティーヌは黒い影を閉じ込めている魔法陣の下に更に大きな魔法陣を展開させる。

 魔力を籠めると紫色に光り、そこから白い触手の用な手が何本も現れたのだ。

 白い触手は黒い影に触れると発光し、黒い影を消して行く。メリッサとエスイアは、異様な光景を目にしながらクリスティーヌに尋ねる。


「これ、千手草だろ」


「ご名答」


「こんな使い方あるんだな。後で教えててくれよ」


「いいですわ。メリッサもご一緒に」


 いつの間にか黒い影が消滅し、事後報告で仕方ないのだがデニスへと早便を出し、傭兵達の遺体を回収してもらう。そして、例の如くまた聴取されるクリスティーヌ達であったのだ。


 エスイアはクリスティーヌと出かける際は、もっと人数を増やし魔導具装備で行くべきだ、とルーダに直談判するのである。このエスイアの一言が後にC組生徒達の命を守る事になるとは全く思っていなかったのである。

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