53 コダックの悩みの種
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紅茶をかけられたクリスティーヌは、コダック先生の元へ行き魔法使用許可をもらう。
浄化の魔法を使い、制服のシミや濡れた髪など紅茶塗れから清潔な服や髪に変わり一安心したのだ。
メリッサとレイアスを食堂に置いてきてしまった事を思い出したクリスティーヌはどうしたものかと考えながら、中庭へと続く道を歩いている。
まぁ、あの二人なら放っといても大丈夫でしょう。
問題はアレクシスなのだ。あの空気の読めなさには、本当に周りが迷惑をしているのだ。しかも、本人は気付いていないから余計に厄介で質が悪いのである。
アレクシスのせいでこの短期間にどれ程嫌がらせをされたのかわからないクリスティーヌは若干、アレクシスアレルギーになりつつあるのだ。なのに本人は露知らず……。頭ではアレクシスはわるくない事はわかっているのだ。
きっと、助けられてたり守られてたりしたら好きになっていただろう。気持ちの問題なのである。それが、クリスティーヌがアレクシスに恋愛感情をもてない理由でもあるのだ。
誰だって、好きな人には一番ちやほやして欲しいと思うし守って欲しいと思ってしまうものだろう。寧ろ、逆の事をされてまで好きになる理由がわからないのである。
恋愛偏差値0のクリスティーヌでさえ、こんなことくらいはわかるのだ。
このような経緯を辿り、アレクシスに対しての幼い頃に芽生えかけた恋の蕾はあらぬ方向へと擦れていき別物として変わっていったのである。
クリスティーヌの恋愛事情はさておき、ここ数日クリスティーヌだけではなくC組への嫌がらせが多くなっているのだ。
その問題を先に解決しない事には魔法大会に響いてしまうと考えるクリスティーヌはまた閃くのである。
早速、ルーダに相談し事を進めていくのだ。
「このアイデアは結構いいかもね」
「これ効果は誰で試すの?」
「それが問題なんだよなー」
「コダック先生は私達に危害加えないしね」
「それはおいおい考えて先に作ってみようぜ?」
数名の生徒がクリスティーヌとメリッサに必要な材料を伝える。この2人に伝えれば、ある程度の欲しい材料はそろうのである。
クリスティーヌはエルノーワ領の伝手、メリッサは商会からの伝手で入手できるのである。
クリスティーヌがルーダ達に相談してから数日が経ったある日。
今日は午後から学年別の魔法大会の説明があるのだ。皆、動きやすい服に着替え数人の生徒が例の物を準備し、実技訓練場へと集まるのである。
「えー、以上をもって簡単な説明は終わりとする。詳しい内容は後日配布する冊子に書いてある。必ず目を通す事。では、次に実戦の模擬に入る」
くるくると丸まっている黒い毛で頭も顔も覆われて、大きな熊男みたいな教師が話を進めている。クリスティーヌは欠伸を噛み殺し、熊男…いやべアンド先生の話を真剣に聞くのである。
「んー、取り敢えず誰かやって貰った方が良いな。誰がいいかな…お、アレクシス、こちらへ」
アレクシスはべアンド先生に指名され、訓練場の壇上へと優雅に上がる。
「もう一人は…」
「「ジェシカ様がよろしいです」」
被せるように、誰かわからないが同時に声が上がったのである。
「じゃあ、ジェシカこちらへ」
べアンド先生が壇上へと来るように促す。
ジェシカの取り巻きの女生徒達は、ジェシカを称える言葉ばかり並べ叫んでいる。ジェシカも謙遜している風を装い、喜びが隠し切れていないのか顔が綻び過ぎているのだ。
そんな中、C組は隠れてガッツポーズを取るのである。
「お前達、本当にいいのか?何があっても大丈夫なんだろうな?」
コダックが不安を拭えず、C組の生徒達に小さな声で何度も何度も確認をする。
「大丈夫ですよ。先生」
「ばっちりですわ」
「何かあったら先生の問題なるし」
ルーダ達は口々に答えると、皆顔を合わせて頷き合う。
「おいおい、エスイア。一番洒落になんねー言葉だぞ。まぁ、止めた所で実行されるんだからなぁ……」
コダックは諦めたように溜息をつき、もしもの為に側にいる事にしたのだ。
前列にいる生徒達は掌に魔力を集中し、無詠唱で掌にある丸い物体に魔法をかける。
そして、壇上にいるべアンド先生達をみるのであった。
「じゃあ、アレクシスとジェシカは魔獣召喚をしてくれ」
べアンド先生が2人に魔獣を召喚するように言うと、アレクシスは亜種赤龍を召喚する。ジェシカは、二角獣を召喚するのである。
バイコーンとはユニコーンの亜種であり、二本の角が生えている。バイコーンの角は魔力を吸収しやすく魔導具や調合薬の材料として重宝されているのだ。
「へぇ。ジェシカ嬢はバイコーンか」
「とっておきは隠してなさそうですね」
ルーダとカミラはヒソヒソと話しながらジェシカを観察し、側では何か記録をしている貴族の女生徒もいるのだ。
「ジェシカ様の取り巻き達も使役している魔獣がありますがまぁ放っといても、大丈夫でしょう。ただ、マーガレット様が使役しているのが少し厄介かもしれませんわ」
「と、いうと?何を使役しているんだ?」
「女面翼鳥ですわ」
「それは厄介だな。流石に対策を考えないと」
ルーダとカミラは同時に溜息をつき、後で皆と共有して何か打開策を練らなければならないと考えるのだった。マーガレットがB組代表として出るのは確実だろう。
ルーダとカミラが神妙な顔をしてる時、壇上ではべアンド先生の指示のもとアレクシスのララズヴァームとジェシカのバイコーンとの模擬戦闘が始まっていたのだ。
「よーし、クラス毎に担任からの防御魔法は展開されているな。アレクシスとジェシカは最大攻撃力でぶつかりあってくれ」
べアンド先生が指示を出すと、ララズヴァームは口から火炎をバイコーンは角から雷電を放つのである。火炎と雷電は中央でぶつかり、爆風と共に生徒達の見学している場所まで火炎と雷電が混じり合った攻撃が飛んでくるのだ。
だが、C組の結界に当たると急に混じり合った物がララズヴァームとバイコーン目掛けて飛んでいき2体の魔獣に当たったのだ。いや、跳ね返ったと言うべきなのか。2体の魔獣は同時に倒れ、消えて使役している者に戻っていったのだ。
コダックは冷や汗をかきながら周りを見渡し、バレていないか確認をしている。
「やった」
「大成功だな」
「これ、他にも使えるんじゃないかしら?」
「例えば?」
C組は説明会そっちのけで討議に入る寸前でまた、コダックによって止められるのである。
コダックの"手の内は…"作戦が成功したのである。
べアンド先生や他の生徒達、壇上のアレクシスとジェシカは気づいていないようだ。
何事もなく、べアンド先生からの説明が進められていくのであった。




