48 黒龍
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水の神殿から帰還したクリスティーヌとソルティオは水の中を通ったのにも関わらず、全く濡れていなかった。
泉のほとりに足をつけてる状態で立っていたのだ。クリスティーヌは1つの疑問が湧き上がる。
あら?
ソルティオは水の上に座っていたわよね?
何故、今は水面を歩けないのかしら?
それに神殿に居た時からだいぶ時間は経っているはずなのに、余り時間が経っていないのかしら?
外の時間軸と神殿の時間軸とが違うのかしら?
後でソルティオに聞いてみましょう。
何処までもマイペースなクリスティーヌである。
クリスティーヌとソルティオは、辺りを見回す。湖の上で先程、ソルティオの命を奪おうとした者がうつ伏せで浮かんでいた。きっともう息はしていないだろう。
ウェンディーネがやったのか、自害したのかはわからない。だが、あの黒い影は見当たらなかった。
2人は急いではぐれたマリエルとソルティオの側近を探す。何事もない事を祈るしかないのだ。
森の中へ進むと、クリスティーヌを案内してくれた妖精達がやって来た。
「クリス!あっちに人間いるよ?」
「知ってる顔と知らない顔」
「女の人いるよ?」
「血出てる」
クリスティーヌとソルティオは顔を見合わせ、妖精達に案内を頼む。
急いで向かうと、マリエルと側近のジェダ、護衛騎士一人がいたのだ。側近のジェダは腹部を赤く染め、もう一人の護衛騎士は木に寄りかかったままおびただしい血を流し、青白い顔のまま俯いている。息がなく絶命してるようだった。マリエルも背中を切られたのか、服は切り裂かれ赤く血が滲んでいる。
「マリエル!」
「ジェダ!」
クリスティーヌとソルティオは同時に2人の名前を呼び側に駆け寄る。マリエルは必死にジェダの腹部に治癒魔法をかけ止血をしている。自身も重症ではないにしろ深手の傷を負っているのだ。
クリスティーヌは腰につけたポーチから自ら調合した薬を取り出し、マリエルの背中の傷を治癒魔法で消毒してから優しく塗っていったのだ。魔法で痛みは半減させるようにしているが、塗る度に肩が強張る。余程痛いのだろう。
ソルティオはマリエルと代わり、治癒魔法をジェダにかけ続ける。時折、ジェダに声を掛けている。
クリスティーヌはマリエルの処置が終わると、ジェダの治療に取り掛かる。マリエルにクリスティーヌのポーチから赤い瓶3、緑の液体1を取り出し調合するように指示する。マリエルは直ぐに動き、自身の鞄から調合用の瓶を取り出し魔法陣を展開させ中央に起き素早く調合を始める。
ソルティオはクリスティーヌとマリエルの手際の良さに関心しつつも、クリスティーヌと同時に治癒魔法をかけ続ける。
「思ったより血が止まらないな」
「そうですわね。ちょっと荒療治ですが、止血しないと彼の命が危ういので仕方ありません。ソルティオ様、彼の口に布を噛ませて下さい。暴れないように拘束魔法をお願い致します。」
クリスティーヌはゆっくりと魔力を流すのをやめ、掌に魔力を溜める。掌の魔力が幾本もの線になりゆらゆらと複雑に絡まり始めた。
そっと、ジェダの出血している部分に掌を当て一気に流し込む。ジェダは拘束の魔法をかけられていて動く事は出来ないのだが、呻き声をあげ口に噛ませた布を力強く噛み締め、顔は苦痛に歪み、額には大粒の汗の玉が無数に浮び上がる。
「ジェダ、頑張れ。もう少しだ」
クリスティーヌが掌で練った魔力を全て流し込むと、マリエルが調合した薬を持ってきた。
クリスティーヌのポーチからも何かの薬を出し、止血した傷口に調合薬をゆっくりとかけ薬を塗り込むと、ジェダの様子を見守った。
ジェダは暫く呻き声を上げていたが、次第に落ち着き傷口もみるみると塞がってきたのだ。
「ふぅ、なんとか今ある分での治療はできましたわね」
「そうですね、お嬢様。傷の治療ありがとうございます。上手くなりましたね」
クリスティーヌとマリエルの会話を横で聞くソルティオは、驚きつつもお礼と感謝の言葉を口にし目に涙を浮かべながら頭をさげるのだ。
「クリスティーヌ嬢にマリエル殿、ジェダの治療ありがとうございます。とても助かりました」
「そんな、頭を上げて下さい。あるだけの薬なので応急的なものですし、専門の方の治療をしていただかないといけませんわ」
クリスティーヌは慌てて、ソルティオに話しを続ける。
「ここで魔獣を召喚したらいけないでしょうか?早く彼を治癒魔法師に見せないと。本当に一時的に止血と痛みを抑えているだけなのです」
「あぁ、そうだったね。妖精達に聞くのが一番じゃないか?妖精達、クリスティーヌ嬢がジェダの為に魔獣を出したいのだが、いいだろうか?」
ソルティオは近くにいた妖精達に聞いてみると、妖精達は次々に言葉を口にする。
「僕は大丈夫!」
「可愛いのがいいわ!」
「駄目だよ。皆びっくりする」
「ウェンディーネ様に聞く?」
「どんな魔獣なの?」
クリスティーヌとソルティオは聞いた手前、妖精達のお喋りを止める事が出来ずにあたふたとしていた。
そこへ幽霊のような薄く白いウェンディーネが現れたのだ。ウェンディーネの分身なのだろうか、透き通っており神殿で見た姿とまるで違っていたのだ。
「クリス、大丈夫です。貴方の魔力はこの泉や木々、草や花に至るまで皆知っています。魔獣からの魔力で貴方だとわかりますので、ソルティオの友人を運んで下さい」
ウェンディーネは優しく微笑み、クリスティーヌに召喚を許可したのだ。
クリスティーヌはあたりを見回し、少し広めの木々が少ない場所を見つけると走り魔法陣を展開したのだ。
そこに現れたのは、巨大な黒龍だったのだ。
「早く!大丈夫、この子は凄く優しくていい子なの!」
ソルティオはクリスティーヌの声に、あんぐりと開けた口を急いで閉じジェダを背負うとリヴェグブルに向かって走り出した。マリエルはソルティオの後ろからジェダが落ちないように様子を見つつ走っている。
クリスティーヌは側に来た2人に強化魔法をかけリヴェグブルに背に登るように指示をする。
2人が背に登ると風圧軽減の魔法をリヴェグブルを中心とした半径5ルータに魔法陣を展開し、一気に魔法を発動させる。ウェンディーネの森と妖精達を極力驚かせない為のクリスティーヌなりの精一杯の事をやったのだ。
ソルティオは驚きの連続でもう何から聞いて良いのかわからなくなっている。
それもそうである。魔力が高い者でも、黒龍を使役するのは至難であり知っているだけでも指で足りるほどだ。
それに魔法陣展開もせいぜい半径2ルータ程が限界であるのに関わらず、クリスティーヌはその倍以上を展開させ魔法を発動させたのだ。
リヴェグブルはクリスティーヌの合図と共に漆黒の翼を羽ばたかせ一気に空に向かって飛び上がり目的地へと風を切るように去ったのだ。
暫くしてトワライ王国では黒龍に乗った魔女の噂が飛び交っていたのだ。
ウェンディーネの泉を破壊しようとしたがウェンディーネ様が国を守ってくれた、撃退してくれた等黒龍が悪の話でもちきりだったという。勿論クリスティーヌはそんな話は全く知らず、クリスティーヌの歴史が知らぬ所で幾つも増えていくのであった。
1ルータ=1000メルです。
ルータはkm メルはm と捉えて頂ければ幸いです。




