47 水の神殿
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妖精達に連れられ、フェイディーネの樹木に着いたクリスティーヌ。
そこは輝くような泉があり、泉の中央に立派な樹木が生えていた。樹木には妖精達が多く住んでいるのか、フェイディーネの魔力なのかはわからないが小さな光りが幾つも木の葉についていてとても幻想的であった。
「綺麗…」
クリスティーヌは思わず、フェイディーネの樹木と泉に目を奪われてしまったのだ。
「クリス」
「あっち!」
「あっちに黒い影がある」
「急がないと」
妖精達の声に我に返り、クリスティーヌは言われた方向へ目を向ける。
樹木のすぐ側の泉の上で、何かを振り下ろそうとしている人影が見えたのだ。
クリスティーヌは咄嗟に自身に強化魔法を使い、一直線に人影がある方へと進む。水の飛沫が上がり、水面上を走るクリスティーヌは何者かの前に滑り込むように間に入った。
金属と金属が重なりあう音が鳴り響く。
クリスティーヌは自身の短剣で、ソルティオに振り下ろされそうになった剣を必死に受け止めたのだ。
クリスティーヌが背に隠すソルティオは、腕と胸から血を出し意識が朦朧としており早く止血しないと命に関わる状況は見て取れる。
「くっ…貴方!何をなさるの!」
護衛兵の一人は黒い影に覆われ、表情も何もわからずこちらの言葉も通じないのか何も返事がない。黒い影の魔力のせいなのか、じわりじわりとクリスティーヌの短剣を押している。
ダメだわ。
この影が魔法攻撃を全て無効にしてしまうわ。
このままでは、私もソルティオも殺される。
どうしよう。マリエルや側近は何処にいるの?
クリスティーヌは目の前の敵に集中しながら、辺りの気配を確認するがそれらしき人物達の気配はない。
援護してくれそうな人物も見当たらず、クリスティーヌの短剣を持つ腕がそろそろ限界に近づいてきた瞬間、泉がクリスティーヌの両端に高く舞い上がり波となってクリスティーヌとソルティオを包み込み泉の中へと引き摺りこんだのだ。
クリスティーヌは咄嗟の事で何が起きたか分からず、水中で短剣を捨て必死にソルティオの身体を自身に手繰り寄せ離すまいと腕で抱きしめた。
ダメ。
息が……
クリスティーヌはソルティオを抱えたまま意識を手放したのだった。
ーーーーーーーーーーーーー
「ん…」
静かに目を薄っすらとあける。
前が霞んでよく見えない。
あら。
これは以前、体験した事のあるような感じですわ。デジャヴと言われるやつでしょうか。わたくしは、死んでしまったのかしら?
クリスティーヌはゆっくりと起き上がり、霞んだ目を擦りながら冷静に周りを見渡し状況を確認しようとする。
ここは建物の中のようだ。
石の上に倒れてたのか、身体がひんやりと冷たくなっている。
「え……ここは…なに?」
クリスティーヌは驚いた。
自身が立っている場所は白い石畳の床、周りには何かの彫刻が施された石の円柱が何本も立ち、奥には祭壇のような台も見られる。そしてこの石造りの建物は全て水で囲まれており、上から水が緩やかに流れていたのだ。
どうやらクリスティーヌは、どこかの神殿に来てしまったようだ。
「目が覚めたようですね」
突然、後ろから声をかけられクリスティーヌは反射的に距離を開け、後ろを振り返る。
そこには、白い波打つ長い髪をし透き通るような色白の肌、背の高い細身のとても美しい女性が立っていた。何でも見透すような空色の瞳に見つめられ、クリスティーヌは身体が固まり言葉が出せなくなってしまっている。
「ソルティオの治療終わりました。中へいらっしゃい」
美しい女性はついて来なさい、と言わんばかりに先にゆっくりと歩き出す。
クリスティーヌは我に返り、足を動かし女性の後をついていく。
神殿内にクリスティーヌの足音だけが響く。祭壇のような場所の隣にソルティオは寝かされており、その周りには白い服をきた子供が数人いている。ソルティオの治療をしてくれたのだ。
「ソルティオ!!」
クリスティーヌは思わず駆け寄り、生きているのか無事なのかを確認する。口元に耳を当てると微かに息をしているのがわかり、クリスティーヌはほっとする。
「ソルティオの治療、そして私達を助けて頂きありがとうございます。遅くなりましたが、わたくしはクリスティーヌ・エルノーワと申します」
クリスティーヌが立ち上がり、女性に綺麗なカテーシーで挨拶とお礼を口にする。
「ふふふ。知っていますよ。樹木から、ずっと見ていました。妖精達は貴方の事が気になるみたいで報告してくれました」
クリスティーヌ驚いた顔をし、目の前の女性が誰なのかわかってしまったのだ。
「もしかして、水の精霊フェイディーネ様ですか?」
女性はニッコリと笑う。
「そうです。私はフェイディーネ、ここは水の神殿です。彼はいつもこの泉や樹木を大切にして下さってます。貴方も魔獣や魔草を大切にして下さってますね。ありがとう。ただ1つ気になる事があるの。答えてくれるかしら?」
「私に答えれる事なら知っている限りお答えします」
「最近、黒い影……何か邪悪な気を纏った者達が現れるようになったの。貴方は何か知っているのかしら?」
クリスティーヌは黒い影の事はわからないと前置きをし、ニズカザン帝国のモルテリリー事件、ハミルの件、黒いフード達の話をした。
フェイディーネは何か難しそうな顔をし、考えているようだ。
「何か、不吉な事が起きているようですね。ニズカザン帝国とトワライ王国の間にある山に住む時の魔女なら何か知っているかもしれないわ。そちらに行ってみなさい」
「時の魔女……ですか。わかりました。ソルティオの意識が戻り次第そちらに向かいます」
「そうね、水の事なら何でも出来るのだけれど…余り力になれずごめんなさいね。クリスにお願いがあります。契約したリヴァイは少々気難しい子です。ですが、ずっと私を護ってきてくれたのです。リヴァイを大切にして下さいね」
クリスティーヌは力強く頷き、ソルティオの意識が戻るのを待つのである。
大精霊は万能だと聞くが、やはり出来る事の限界があるらしい。それに、時の魔女とは去年ドグラス火山で一度対面しているのだ。その時、また会うだろうねぇ、と言われた事はまだ記憶に新しい。
フェイディーネは、ソルティオに加護を与えたそうだ。加護を受けた者は死なないと言われており、クリスティーヌは自国のマヌマヌの森の精霊ケンローンとは犬猿の仲である。
ケンローンはケンタウロスより知能が高く、森の精霊ケンタウロス達の長なのだ。
クリスティーヌはフェイディーネから、貴方には加護を与えられない、と言われたのだ。
理由は時の魔女に聞くとわかるらしいが、そう簡単に教えてもらえなさそうな予感がしている。クリスティーヌは苦い顔をしながら頷くしかなかったのだった。




