38 奇抜作戦成功①
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クリスティーヌは変化の魔法により髪の色を変え、フェンリルではなく赤竜にC組の攻撃班と一緒に乗っていた。クリスティーヌがまた新たに召喚をしたら毒を仕掛けてきた連中にわかるかもしれない、フェンリルは召喚したままカミラ達と陣営に残った方が作戦が有効だ、とルーダは考え今は召喚を禁止したのだ。グラッサ家で訓練した対クリスティーヌ作戦が役に立つとは誰も思ってみなかった。
カミラ組と分かれたルーダとクリスティーヌ組はA組に総攻撃を仕掛ける。A組も負けじと応戦してくるがやはり実践の差だろう。あっさりとC組によって旗を取られるのである。
A組が口々と悔しくて何か叫んでいる時にC組の陣営があった方面から爆発音が聞こえた。
「来たか……」
ルーダ達は自分の陣地がある場所を見ながら苦い顔をし、作戦が上手く行く事を心で強く祈る。
「よし!皆!何か起きたかは後回しだ!先に宿舎に避難するぞ!」
皆一斉に宿舎へ向かう。
一足先にB組が宿舎に来ていたらしいが、教師の姿が見えない。どういう事かアレクシスに尋ねるがアレクシスもわからないと言う。他のB組の生徒達は別館の宿舎に様子を見に行ったらしい。
ルーダはエスイアとジュイナを呼び小声で何かを指示した。するとエスイアは直ぐに言われた準備をする。ジュイナは少し離れたところから皆に分からないように早便を出し、手に魔力を込め何かを探している様子だ。
ジュイナが木の根元に手をかざした時、火花が散った。
「ルーダあった!エスイアここよ!」
「そこか!待ってくれ!」
エスイアは他のC組生徒と共にゴーグルを装着し、何かの装置を組み立てジュイナの近くに運び出した。ルーダもエスイアの元へ行き、他のC組も外に出る。雨足が弱くなってきた。
「何かあった時の為に、攻撃班はそのまま何時でも攻撃できるように。防衛班は念の為に防御魔法を展開しててくれ」
「ルーダ!俺にはできることないか?」
アレクシスがルーダの元へ行き声をかける。
ルーダは少し考え笑いながら、茶色の髪の子と一緒に攻撃班の側で攻撃の準備に備えてくれ、と指示を出す。C組の生徒達はニヤニヤする者、呆れた顔をする者と様々な表情をしていた。
「いくぞ!エスイア頼む」
「リーダー、りょーーかい」
エスイアは組み立てた装置に魔力を込めると、一緒にいた生徒が装置のスイッチを押す。すると魔力でできた刀のような物が出現した。その魔力刀で空中を切っている。傍から見れば、ただ空気を切っているようにしかみえない。
エスイアが空中を切っていると、ある一定の場所だけ火花が飛び散った。もう一人の生徒がまたスイッチを押すと次は魔力のハンマーに変わった。エスイアはそれを確認すると思いっ切り魔力を込め火花が散る場所へと振り落とす。
硝子の割れる音がすると全体にひびが入り、鏡のような物が現れ地面に粉々になりながら落ちていく。
「魔法のシェルターみたいになっていたんだな」
アレクシスは呟きルーダを見る。ルーダは満足そうに頷いた。攻撃を想定していたが大丈夫そうだと考え他の皆に指示をした時、中からコダックが出てきた。
「おい。お前達なにをやってるんだ?」
C組の生徒もアレクシス達も状況がいまいち掴めない。クリスティーヌがコダックに尋ねる。
「先生は、何をなさっていたのですか?」
「何をするってお前達こそもう始まってるんだぞ?俺達教師はこのビジョンを見て監視をしなければならないんだ」
何を分けの分からない事を口走るのか、と不思議そうな残念そうな顔をするコダックを見て、クリスティーヌが何かを悟ったらしくコダックに話をする。
「まだ現状をおわかりでない所をみますと……そのビジョン、本当に機能していますか?魔力注いで見てください」
コダックはますます不思議な顔をしながらビジョンに手をかざす。すると、ビジョンにノイズが走りC組の陣地にぽっかりと穴が開いている様子が映し出される。コダックや他の教師達は一斉に絶句し、時が止まったかのように動かなくなったがクリスティーヌの言葉で動き出す。
「どなたかがビジョンに細工し、教師の宿舎を防音と幻影の魔法をかけたみたいですわね」
「お前達!皆無事なんだろうな!ん?お前……誰だ?俺の組にはいないじゃないか!」
コダックは今更ながら、変化の魔法を使っているクリスティーヌに気付く。ルーダがコダックに近寄り何かゴニョゴニョと耳元で話をし、ジュイナが背中を軽く叩いて宥めている。コダックの顔が赤になったり青になったり終いには白くなったりと忙しそうに変化をしていた。
「クリスなのか?」
アレクシスが変化の魔法で変わったクリスティーヌに向かう。クリスティーヌはニッコリと笑った。
「無事だったんだな!良かった!」
アレクシスは嬉しさのあまりクリスティーヌを抱きしめ薄っすらと涙を浮かべる。フランは少し後ろで困ったようにアレクシスを宥めクリスティーヌを離すように諭す。
クリスティーヌは皆に聞こえないように、ありがとう。毒は黒いフードの者達だった、とアレクにそっと囁いた。アレクシスは驚きクリスティーヌの顔を見た。今ここで聞くと不味いと頷き、あとで聞く、とだけ呟きクリスティーヌを離した。
魂が抜けていたコダックは他の生徒によって、何とか平静を保てるように現実へと戻ってきた。
「よし。そろそろいい頃かな」
「そうですね。またカミラさんに怒られますよ」
ルーダとジェイナはそう言い、外に出て雨の中を歩き出し隣の宿舎に向った。そこは結界がはられ、数名の生徒達が罠に引っ掛かっている光景が広がっていた。マーガレットとダニエルは黒い草の蔓によって壁に縫い付けられていた。
「犯人はこいつらと何か関係あるみたいだぜ?」
マーガレットとダニエルは目を見開き、ルーダを睨み暴言を吐く。
「何を証拠にこの様な事をされるのかしら?平民の分際でよくも!早くこの気持ち悪い物を取り除きなさい!さもなくば後悔する事になるわよ!」
「そうだ!ただこの宿舎に来ただけで何故疑われないといけないんだ!他にも捕まっている奴がいるだろ!貴様!早くこれをなんとかしろ!」
「威勢がいいこった。呆れたぜ、こんな状況でも言い逃れをするなんてな。黒い草の蔦がわからないなんて本当に学園の生徒か?」
ルーダは失笑し、マーガレットとダニエルを軽蔑の眼差しで睨みつけた。




