表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/151

37 譲りませんわよ

いつもありがとうございます。

ブックマークにPV励みになっております。

「皆ありがとう。私は大丈夫よ」


「良かった」

「一時はどうなることかと思ったぜ?」

「クリスさん、B組旗はとりましたよ!」

「寝てた方が良いですわよ?」

「お前動くなよ」


 仲間達は口々にクリスティーヌに声をかける。クリスティーヌは病み上がりとは思えないほど元気に復活したのだ。ツユナの毒に感染してこれ程早く完治する事はまず無い。ベテランの医師や調合師でも時間はかかる。いかにC組の個々の才能、そしてチームワークが優秀な事が伺える。

 クリスティーヌは勿論休む事なく攻撃班の一員に加わる。クリスティーヌを1人にしては不味いとの判断だ。本当は陣地に居て安静にしてもらいたいのが皆の本音だが、当の本人が聞くはずもない。こういう時のクリスティーヌは譲らない。


「さて、クリスちゃんも復活したという事でA組の攻撃にしかけたいのだが、先程A組近くの森林区で不穏な魔力を感じたと一報が入った。これは何かあるとみて間違いないだろう。そこでだ、この作戦を行う」


 ルーダとカミラは、真剣に地図をひろげ皆に説明をする。


「まじでコレをやるのか?」

「ありと言えばありか……」

「一か八かじゃねーか」

「1発襲われたらどう防ぐんだよ」

「うーん、奇抜ですわね」


 それぞれ色んな声があちらこちらから聞こえてくる。ルーダは、それも想定内とばかりに話を続ける。


「きっと不穏な魔力を出してるやつも同じ事を思っているはずだ。相手の裏をかくんだよ」


 ルーダがにやりと笑う。その瞬間、皆は賛同した。ルーダのこの笑いは、成功する自信と共に()()()()()()()()と言う事なのだ。詳しく聞くために、皆集まりなにやら役割などの支持をもらい早急に奇抜作戦に取り掛かるのだ。


「ここはカミラに任せたぞ。防御結界は何層にもしておいてくれ。クリスちゃんを狙った奴らが来たら迷わず逃げろ」


「わかったわ。そっちは任せるわよ」


 カミラはルーダに手を振り、自身の仕事をする。何層にも結界を作りルーダに言われたとおりに準備する。そして配置に着き()()()を待った。


 雨足が強まる中、何処からともなく空気を切り裂く音と共に、防御結界に(いかづち)の矢が降り注いできた。1枚1枚と防御結界が破られる。カミラ達も破られる度に修復し、次の攻撃に備える。


「黒いフード?」


 現れたのは三人の黒いフードを被った者たちだった。


「カミラ!撤退だ!」


 誰かが叫ぶと同時に、黒いフードの者達は真上から雷の矢を幾度となく落とす。もはや結界はもたない。結界が亀裂を走らせると同時に、C組の陣営が爆発する。辺りは雨と泥が混じり空中に飛び上がり何も見えない。

 黒いフードの者達はそれでも攻撃の手を止めず、雷の矢の嵐を叩き込む。轟音と共に数度の爆発を起こしたのち手を止め、視界がひらけるのを待つ。辺りは何か焼ける臭いと泥の臭いが漂っている。


 黒いフードの者達はぽっかりと穴が開いた地面に向かい歩き出す。黒いフードの者達がB組の陣営があった場所に足を踏み入れると、足元にとてつもなく大きい魔法陣が発動した。


「なっ!」

「おっおい!」


 黒いフードの者達は避けようとしたが、時既に遅し。魔法陣に拘束され身動きがとれずに動揺する。何かカチカチと音が聞こえる。カチ、と最後の音が聞こえると、魔法陣が光り、触手のような物が出てきた。触手は彼らに巻き付き縛りあげ徐々に赤くなり爆発した。血が飛び散った場所は黒くなり結界に吸い込まれ消えていった。


 遠くから笛のなる音が聞こえ、森の中でガサガサと葉や木が擦れる音がしていたが暫くすると聞こえなくなった。雨が草木や地面に落ちる音しか聞こえなくなったのだ。


 C組の陣営の方向から煙と爆発音が聞こえ、数名のB組の生徒達が泥塗れになりながら何事かと集まってきた。


「何が起きたんだ!」

「これはなんですの?!」

「先生に報告だ!」

「誰か緊急の連絡魔石を!」


 口々に叫ぶ生徒達。その中でアレクシスとフランは黙ったままC組の陣営があった場所を見つめる。そこはただ穴がぽっかりあき、雨のせいで少しづつ水が溜まる様子しか見えない。人ひとり居ない場所だった。


「C組の方達はどうなさったのかしら?」


 マーガレットが恐る恐る濡れた前髪を上げ小さい声で呟く。それに反応した他の生徒達は押し黙る。この状態を見て生きているとは誰も思わないだろう。アレクシスは眉間に皺を寄せ、周りを見渡す。ダニエルの腕に抱かれているマーガレットの顔が一瞬ほくそ笑んだのを見逃さなかった。



 マーガレット嬢……確かクリスティーヌの元婚約者を奪った女。男爵家だが何かあるのか?ダニエルのバードン家とも何か繋がりがあるのだろうか?王都襲撃以来、目立った動きが無かっただけにここは静観するべきだろう……



 アレクシスはフランを呼び、マーガレット嬢に精霊小人(エベラム)を、と囁く声で指示をする。フランは誰にもわからないように小さく呟き、エベラムをマーガレットにつけた。


「C組の方はこの様子だと……」

「僕達は自分の場所へ戻って他のB組の生徒に避難するように声をかけよう」

「そうですわね」


 B組の生徒達が話をしていた。生徒達とダニエルに抱きしめられたマーガレットは足下が悪い中、足早に自分の陣営がある場所に戻り他の生徒に事の顛末を説明する。そして先生達がいる宿舎へと早々と避難するのであった。その間、アレクシスは考えた。


 一体、何が起きている?

 クリスティーヌの毒と関係がある事には違いないだろうが、何が関係あるのだろうか……

 取り敢えず、皆にはわからないように内密に父上とエルノーワ家、グラッサ家に早便を出すべきだな。勿論、マーガレット嬢の事もしたためておくか。


 アレクシスは誰にも悟られずに三通の早便をエルノーワ家の()()()で出した。現状、空から出すとどうなるかわからない。マーガレットがどう絡んでるか不明な為、慎重に事を起こす事にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ