36 歓喜ですよ
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先程まで雲一つない晴天だったが、空からポツポツと雨が降ってきた。濃い色の雲が雨の激しさを表している。
未だクリスティーヌの意識は戻らず、C組の力は半減していると言っても過言ではない。だが、クリスティーヌが居なくてもルーダを中心に皆が踏ん張り状況を把握し頑張っている。ちょっと個性的な生徒が多いが皆頼りになる存在だ。
「メリッサ!どうだ?!」
「調合は上手くいって今徐々に注入してます!クリスさんの体力がもつかどうか…」
「なら、特製ドリンクをアレンジして注入はできないのか?」
調合してた生徒達が目を合わせ、急いで注入出来るように魔法をかけり、何か奇妙な魔草を取り出し叩き割って調合しだした。
「メリッサちゃん。これなら注入できると思うの!」
メリッサと医療班のナイーラはゆっくりと片方の手を調合薬にかざし魔法をかけ、もう片方の手はクリスティーヌの手首にあてる。オレンジの光が纏わりクリスティーヌにゆっくりと流れ込む。顔色が悪く大粒の汗をかいて荒い呼吸をしていたクリスティーヌは次第に収まり、顔色が少し良くなった。
「この調子だとクリスさんの体力は大丈夫です!あとはツユナの解毒です」
「ツユナの毒は血管に入ると根をはるから厄介だな」
医療班の男子生徒が交代してクリスティーヌの毒を抜きながら続けて話す。
「なぁ、これは殺意あっての攻撃だったんだよな」
「何の目的かはわからないが、確実にクリスちゃんと関係はあるだろうな。カミラ!コダック先生に早便出したんだよな?」
「ええ!私に抜かりはございません!」
「おかしいな、全く返事が来ない」
「何かあるのでしょうか?」
ルーダとカミラが考えてると、攻撃班が戻ってきた。雨足が強くなり泥と水で濡れている。
フェンリルは、身体をブルブルさせ水滴を飛ばし周りから顰蹙を買っていた。
「エスイア!ばっちりだったな!攻撃班の皆もお疲れ!やったな!」
ルーダはくるくる黒髪の天然パーマ、もとい攻撃班のまとめ役のエスイアに労いの言葉をかけハイタッチした。
「そっちはどうだ?クリスさんは?」
「メリッサや他の皆が今治療にあたってる。だいぶよくなってるがまだ意識は戻らない。アレクシス王子には内密にと状況を話してある」
「王子に伝えたら暴走するんじゃねーか?」
「その予防線ははってある。王子に特別なお願い事をしてね」
ルーダは口角の端をあげ、にやりと笑う。エスイアはそんなルーダを見て肩をすくめた。そして、ジュイナと共に次の作戦の打ち合わせをし魔導具の補充をして次の攻撃の準備に取りかかった。
攻撃班の一人がフェンリルを撫でながら、毛をといてやると耳をピクピクさせ急にクリスティーヌにの元に走りだした。皆はどうしたと驚き、フェンリルの様子を見守る。
「ん……ん……」
クリスティーヌが微かに声を出し、目を薄っすらとあける。
「フ……ン……リル……」
フェンリルは治療の邪魔にならない程度の距離に座っており、主人の言葉に反応するかのように耳をピクピクさせている。
治療にあたっていた者や周りの者は、一瞬何が起こったか分からなかったがクリスティーヌが意識を取り戻したとやかると、地面が鳴り響く程の歓声をあげた。
一斉にクリスティーヌに押し寄せようとする仲間を抑えながら、必死に治療をするメリッサと治療班の男子生徒ドーリィ。ドーリィはクリスティーヌと治療にあたる者の周りに防音の魔法を展開し、少しでも難を取り除こうと努める。
メリッサは苦笑いしながら、クリスティーヌに優しく声をかける。
「クリスさん、意識を取り戻して安心しました。もう少しで完全に毒牙抜けると思うので待って下さいね」
クリスティーヌはメリッサに視線を移し、まぶたをそっと閉じて開け、静かに返事を返した。
調合班と料理班を兼任している者は、クリスティーヌの意識が戻ったと知るやいな急いで料理班の元へ行き、病人食の準備をするように報告と連絡を入れる。疲労回復のスープは何時でも飲めるように準備をしているが、病人食となると別に作るのだ。
C組のルーダはアレクシスに一報を入れ、尚且つコダック先生都連絡が取れない事を手紙にしたためる。手をくるくると回すと手紙が消え土に潜っていった。エレノーワ家で取得した上ではなく下から送る郵送方法だ。
「さて、クリスちゃんも意識を取り戻した事だし次の作戦にいきましょうか。カミラ次の作戦ちょっと変更するからエスイアとジュイナ達を呼んでくれ」
「わかったわ!それとルーダ、ツユナの毒の出処がわからない以上警戒するべきだわ。調合班と医療班に何か出来ないか聞いてくるわ」
ルーダは頷き、カミラは魔石を使い皆に念話を送った。クリスティーヌの一件があり、重要な事は魔石で念話をするように統一したのだ。
もちろん、防音結界もはってあるが油断は大敵である。
クリスティーヌは意識を取り戻してから驚異的な回復を見せた。それもこれも、自分の治療に全力であたってくれた仲間のお陰だ。ツユナの毒には特効薬はまだなく地道に解毒が1番の近道となる。だが、ここはC組である。何とかならないかと、もしもの場合に備え簡易的ではあるが少しでも毒の症状を軽くできるようにと薬草の一口ゼリーを作り皆に振る舞った。
ルーダはクリスティーヌの元へ行き一体何があったのか確認した。クリスティーヌは回復食をとりながら、わかる範囲でルーダに話をする。コダック先生と連絡先取れない事に不審を抱くが現状何も出来ないと判断し、様子を見る事にした。
ルーダとカミラは、クリスティーヌが復活した事は毒を投げた者たちはきっとまだ知らないはずだ。伏せておいた方が良いだろうと、クリスティーヌに変化の術を使う。クリスティーヌの風貌は別人に変わる。都合の良い事にC組は一部を除いて、他の貴族達に覚えられていない人物だ。きっとわからないだろう。
これも作戦のうちに盛り込もう、とルーダとカミラは盤上の駒に集中したのである。




