27 後始末ですよ
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短いですが、第一部は終わりました。
次から2部に入ります。
デジュの樹から葉が少しづつ生える季節になってきた。雪も少しづつ解け始めてきている。
モルテリリー騒動から数ヶ月経ち、クリスティーヌは8歳になっていた。
モルテリリー殲滅後、王妃は瀕死の状態で救出されスペンサー特製の解毒薬で特に後遺症もなく今は歩ける程まで回復している。ハミルによって暇を出された侍女達も全て戻って職務を全うしている。
国王は毒の作用が長かったのか、左足に後遺症を抱えてしまった。だが、体調も回復しており元気に国の為にと動いている。
消えた近衛騎士団員と魔法師数名は地下牢に閉じ込められており、衰弱はしていたものの命には別状がなかった。残りの数名は残念ながら手遅れだったと話は聞いている。
デニスとローウェンは騎士団の立て直しに奔走しており、二人とも今回の活躍で昇格は間違いないらしい。
街の復興はクリスティーヌとグラッサ家の先の手紙により、サーモス家の宰相が敏腕を発揮し半月程で全て復興させた。流石としかいいようがない。王都の門を破壊したクリスティーヌの元にちゃっかりと修理代が請求されたが、国王とアレクシスの口添えで白紙となった。しかし、クリスティーヌはガウスからコンコンと説教されたのは言うまでもない。
ついでにダニエルとの婚約も破棄する予定だったが、クリスティーヌはただで破棄をするのは勿体ない、やられたらやりかえす!と何やら、ろくでもない作戦を考え学園に入ってから破棄する予定だと言う。
バードン家とハミル魔法師、黒いフードの者達については未だ不明な所もある為に内密に調査を進められている。バードン家は証拠不十分の為に何も尋問出来ない状態だ。だが監視はついている。
ガウスとスペンサーは各地の魔獣と魔草の生態確認の為に忙しく、たまに家と王都に戻ってきている。
グラッサ家は騎士団の立て直しの為に新米騎士をシゴイている。練習内容はとても口では現せれない程過酷なようである。女性護衛の為に侍女の護身育成にも力を入れるようになった。
国全体が一丸となり、復興に進んでいるところだ。
そしてクリスティーヌはマリエルとリルリル草原へと来ている。
前方には少し懐かしい顔がある。光に当てると金色になる茶色の髪、綺麗なアイスブルーの瞳、端正な顔立ちの男の子が立っていた。
「アレク!元気だったかしら?」
「クリスはいつも通りだな」
アレクシスはこちらに駆け寄るクリスティーヌを優しい瞳で見つめる。
モルテリリーの一件から急速に距離が近くなった2人。アレクシスの怪我の治療が終わるや否、街の復興の手助けと自身の鍛錬に時間を注いできた2人。第一王子が隣国から戻ってきたので、次は自ら他国へ行って魔法など学ぶらしい。
今日は隣国へ旅立つ日なのだ。
「いつ帰ってくるの?」
「まだわからないんだ。学園の入学までには戻ってくるつもりだよ」
「そうなの…寂しくなるわね」
はにかむように微笑むクリスティーヌ。
アレクシスはポケットから何かを取り出した。
「クリスティーヌ、これをあげる。君は何時も無茶ばかりするから心配だよ。本当に巻き込まれ続ける俺の身にもなってほしいよ…」
遠い目をし苦虫を噛み潰したような顔をするアレクシス。それを見たクリスティーヌはコロコロと笑う。
「あははは!だってアレクが真面目すぎなんでしょ?息抜きは必要よ」
二人は砕けた会話をしながら笑い合い一時の時間を楽しむ。
アレクシスはクリスティーヌの後ろに周り、首に光るアクセサリーをつける。バイコーンの角で作ったネックレスだ。光に当たるとキラキラと水面のように波打つように見え、魔除けの念が篭っている特注品だ。
「わぁ。とても綺麗。ありがとう!大切にするわ!あ。私何も用意していないわ」
クリスティーヌは申し訳なさそうに眉を下げる。
「じゃあ、ハグさせてくれる?」
「もちろん!」
アレクシスはクリスティーヌをギュッと抱き締めると頭にキスを落とした。
「アレク様!そろそろ向かわないと!」
毎回毎回キースが良いところで声を掛けてくる。絶対狙ってるに違いない。お陰で今の今までアレクシスはクリスティーヌに何もアピール出来ず終いなのである。
「わかった!クリス暫くお別れだね。じゃあ、また会おう!」
「元気でね!アレク!次に会う時は私より強くなっててよ!」
クリスティーヌは笑顔でアレクシスに手を振る。
クリスティーヌとマリエルはアレクシス達が見えなくなるまで、手を振り続けた。
「さて。ダニエルとの婚約破棄もこれからですし、ハミルの力まで追いつくにはまだまだですわ。今日もグラッサ家で鍛錬をしましょう!走るわよ!」
「お嬢様待ってください!」
マリエルは慌ててクリスティーヌを追い掛ける。
アレクシスとクリスティーヌが再会するのは2年後の王立学園に入学してからのお話である。
クリスティーヌは2年後の入学をこの時は楽しみにしていたのである。




