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23 魔草乱舞ですよ④

何時もありがとうございます。

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 砦は派手に壊れ、意気揚々と前進するクリスティーヌとその横でどうにでもなれと諦めた表情をするアレクシスは砦内に入るのである。

 もはや誰が敵なのかわからない状況になってきたのだ。


「おい。クリス。騎士団長のデニスを探すぞ」


「デニス様ですね。どの様なお方なんでしょう?」


「赤い髪の体躯の良いやつだ。騎士団の甲冑を装着して赤髪は1人しか居ないからすぐわかるのだが……この状況だから探すのは時間かかるかもしれないな」


 2人は前進しながら赤髪をしたデニス騎士団長を探しはじめたのだ。

 最初のうちは剣や弓矢、魔法等で攻撃をされていたのだが、防御結界のせいで効かないとわかると騎士達は静観しだしたのである。

 クリスティーヌとアレクシスはニズカザン帝国の自国の騎士達に敵認定されているのだ。


「これは……」


 クリスティーヌは叫び驚いた表情のまま固まったのだ。


「どうした!デニスがいたか?!」


 アレクシスの言葉でクリスティーヌはある方向を指差ししたのだ。アレクシスは、クリスティーヌの声に反応し指先の方向を見る。その先には余りにも異様な光景が広がっておりアレクシスは絶句してしまった。


 紫と黒が混じり合った花があらゆる場所に生えていたのだ。モルテリリーが咲いている付近の草花はすべて茶色く萎れ枯れている。

 モルテリリーの花の中心にある蕾は膨らみ続けており、いつ開花してもおかしくない様子なのである。


「この様子ですと、あと数時間程すれば開花してしまいますわ。思ってた以上に深刻ですわ。アレク様、クリス印のマスクをどうぞ。鼻を覆うように使ってください。コレがなければ開花した時に花粉にやられてしまいます」


 クリスティーヌはアレクシスにマスクを手渡す。


「ここまで酷いとは……王宮の家臣共は何をしているんだ?!」


 アレクシスはマスクをつけながらくぐもった声で怒りを表したのだ。


「お父様や団長さんに話を聞かないとまだわかりませんが、この量だと親花は相当前から王都に根付いていたと思われます。それに、モルテリリーの親花は人を養分とします。国王陛下が虚ろな事、妃殿下が何かの毒に侵されている事を考えると間違いなく王宮に親花があると思われます」


「やはりそうか……薄々は感じていたが……」


 アレクシスが悔しそうな顔で拳に力を入れる。

 周りがやけに騒がしくなりふと下を見ると、騎士団長のデニスが他の騎士団員と共にこちらに向かってくるのだ。


「たっく、なんなんだ!魔草の次は防御完璧の魔獣か!一体何が起きてるんだ!」


 赤い髪をガシガシ掻きむしりながらフェンリルに近付いてくるデニスは一際目立っていたのである。デニスがふとフェンリルの背中に目をやると2人の子供が居るではないか。


「おい。フェンリルの背中に子供が居るぞ。救出するぞ!」


 デニスは団員に指示をし剣を抜こうとしたのだ。


「待て!デニス。オレだ!アレクシスだ!」


 アレクシスは大声で叫び、救出劇寸での所でデニスや騎士団を止め額の冷や汗を拭うのである。


「へ??アレクシス王子……?何故そこにいらっしゃるのですか!早くこちらへ!危険です!」


「大丈夫だ。このフェンリルはエルノーワ家のご息女が使役している!」


 アレクシスの言葉を聞き、周りが一斉にざわめきだしたのだ。


 "フェンリルを使役するには…"

 "どうやってやったんだ"

 "あの少女か?" "何かの聞き間違いだろ"


「嘘でも何でもございません。事実ですわ。私はエルノーワ家長女のクリスティーヌ・エルノーワです。この子は私の相棒です。以後お見知りおきを」


 フェンリルの上で華麗に婦女の礼をとる少女を見た騎士団員達はただただ驚くばかりだったのだ。


「クリス。挨拶は後回しだ。先にこの魔草の話だ」


 クリスティーヌとアレクシスは魔草モルテリリーの要点を話しだしたのだ。もうすぐ開花するだろうからマスクは必ず着用する事、吸い込むと幻聴や幻覚等の毒に侵され、自身を見失い後に親花の養分とされる事を伝え必ず守ってくれるように約束させたのである。


 クリスティーヌは、避難している住民達の場所に防御結界を張っておくのが無難だと提案し、2重の防御策はクリスティーヌの侍女マリエルが行うからと騎士団員達に指示をしたのだ。


 2人の話を静かに聞く騎士団員と団長のデニス達の顔が徐々に青ざめていくのである。


「今の状況は親花を探す事だ。何か心辺りある者はいないか、怪しいと思う事はなかったか」


 アレクシスは周りを見渡しながら返答を待つと、静まり返った中で1人の騎士団員がおずおずと手を挙げたのだ。


「少し…ろ気になる事が……数カ月前にハミル魔法師に言われて、魔法師数名を応接の間に案内したのです。それから2週間程前にも数名の王騎士団を応接の間に案内したのです。それ以降、その者達の姿を見て居ないのです」


「ハミル魔法師?魔法師の中でも5本の指には入る魔法に長けてる者が何故……応接の間に何かあるのか……?」


 デニスとアレクシスが考えている間、広場にエルノーワ家とグラッサ家が到着したのだ。


 マリエルは直ぐにクリスティーヌの元へ行きクリスティーヌの指示に従い、騎士団員数名に杭とムスビツルを用意してもらうと早速2重防御の為に避難場所へと向かったのである。


 結界の外に杭を打ち込みムスビツルを括りつける。魔力を込めると、生きているかのようにウネウネと結界に這うように伸び壁のようなものが出来上がるのだ。


 スペンサーは街に生えているモルテリリーの侵食を止める調合薬を持ってきており、この調合薬は親花を見つけるまでの繋ぎなのである。このままでは街がモルテリリーに覆い尽くされかねない。騎士団員数名を連れて調合薬とモルテリリーの対処の仕方を教え迅速に動くように指示をしたのだった。


 近くのモルテリリーにスペンサー印の対リリー薬を1滴落すと、モルテリリーはたちまち茶色く萎れ、炭にならずその場で枯れ果てたのだ。すかさず魔法で枯れたモルテリリーを燃やし灰にしたのである。


 いつもなら切った者を嘲笑うかのようにどんどん生えてくるモルテリリーは、いくら待っても生える気配がない。


 騎士団員達が歓声を上げだしたのだ。


「歓喜している所悪いが、親花を枯らさないと根絶やしにはできない。また数時間経つと別の根から生えてくるからほんの気休めにしかならない」


 スペンサーは眉を下げ喜ぶ顔から一転した騎士達に小分けにした瓶を配り、燃やす者とかける者とふた手にわけ各場所へ行くように指示をしたのだ。


 べニックとローウェンは騎士団の統率と状況を確認し王宮へと向かう準備をするのである。

 猛将が来た事により士気は格段に上がり、皆やる気がみなぎっているのがよくわかるのだ。


 エルノーワ領民はクリス印マスクを付け、ジャリジャリとした粉を土に撒いている。


 デニスとアレクシスとガウスの3人は親花討伐と消えた魔法師と騎士達の奪還の作戦を練り、騎士達に作戦伝える。


 東の空がすこしずつ赤みを帯び、夜が空けようとしていた。

 皆が一致団結して奔走する中、日が地平線から見え始めたと同時に、ルテリリーが一斉に開花し始めたのだ。

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