21 魔草乱舞ですよ②
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時同じくして、グラッサ家。
マリエルの祖父べニックが早便の手紙を握りしめ、本宅に急いでやってきた。
「おい!ライザック!急いで皆を応接室へ!」
執事やメイドにも伝え、急いで招集させる。
それぞれに王都に出立する準備も命じる。
クリスティーヌは串肉を食べていた美味しい夢の最中にマリエルから叩き起こされ、すこぶる機嫌が悪い。だが、"鬼の鉄槌"の異名を持つべニックの話を聞き、瞬時に顔が青ざめる事となる。
皆集まったところで、べニックは早便で来た騎士団長デニスとエレノーワ家当主ガウスからの手紙を要約し伝える。
「べニック殿!それは本当ですか?!では、早く行かねば!」
声を荒げ興奮するアレクシスをキースがどうにか落ち着かせる。
「こんな事を言うのは不本意ですが、今は一刻を争います。通常判断が出来ない者は行くべきではございません。」
クリスティーヌは冷たい声でアレクシスに言い放つ。
「モルテリリーは別名死を弄ぶ花です。対処の仕方を間違えれば、国は混乱を経て滅びます。これは一刻を争います。マリエル!!出立の準備を!!誰が何の目的でこのような事をしたのかはわかりません。ですが、父と兄なら必ず何か考えているハズです。有事の際はエレノーワ領民も来ます。ただ、グラッサ家を空けるのは困ります。ライザック様とミジェンダ様はこちらに居ていただけませんでしょうか?べニック様は私と一緒に来て頂いても宜しいでしょうか?」
幼いながらにも的確に指示を出すクリスティーヌに、誰も異論は唱える事なく従うのだった。
アレクシスはキースに落ち着かされ、クリスティーヌの言う事は最もだと痛感する。
クリスティーヌは髪を掻きむしり項垂れているアレクシスをチラリと見て溜息をつく。
「本当は感情で動くような方をお連れするのは、反対なのですが……。王宮に詳しい方は貴方以外におりません。加護も授けられてますし、まぁ……行きますか?」
「い…行く!まっ……待ってくれ!」
アレクシスはクリスティーヌに向かってありがとう、と言い慌てながらキースと共に準備をし始めた。
キースがアレクに見えないようにクリスティーヌに頭を下げていた。
クリスティーヌは苦笑いをしながら、この王子はまだまだお子様だわ。と心でつぶやいた。
「ライザック様にお願いが御座います。サーモス伯爵家のご令嬢レイラス・サーモス様に王都で起きていることをお伝えして頂きたいのです。私の名前を連盟でお願いしますわ。きっと彼女なら機転を効かせて下さいますわ」
ニコリと笑顔が顔に張り付いているクリスティーヌに、とても胡散臭く感じるライザックであった。だが、仕方がないとばかりに頷き約束をした。
「あ!そうですわ!!エレノーワ家から念の為にクリス印の特性マスクを取り寄せて下さい。何かあった時に役立つかもしれません」
1番忘れてはいけないことを忘れるクリスティーヌもやはり、まだお子様である。
「さぁ。行きましょうか」
クリスティーヌは魔法陣を展開しフェンリルを召喚する。フェンリルの硬い毛を颯爽と駆け登り背中に乗る。
ミジェンダの鬼特訓のせいで、あちらこちらがまだ少し痛むがマリエルの治癒魔法とよく効く薬を塗ってくれたお陰で8割方回復できている。よく出来た侍女に感謝するクリスティーヌであった。
クリスティーヌと王子、グラッサ家の強者達はエレノーワ家と合流すべく王都の入り口へと向かった。
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各組が王都へ向かって猛進してる頃、王都では騎士団が魔草モルテリリーに翻弄されていた。
何が起こるかわからない未知の魔草に対処方もわからず、王宮の魔法師も姿を現さない。薬草学や魔草学の者も姿を現さないという奇妙なとても考えれないおかしな状況に陥っていた。
騎士団長デニスは、まだ被害が及んでない街から離れた地域に住民を急いで避難させた。
この先何が起こるかわからない。
何かがおかしい。
なぜ?王宮の人間は誰一人と動かないのだ?
疑問を払拭しきれないまま、目の前にある問題を片隅に追いやり今出来る最善の策を取るしかないのである。
そんな時、デニスの元へ各国境付近の警備隊そしてエレノーワ公爵家とグラッサ伯爵家からの早便の手紙が続々と届く。
住民の避難は他の団員に任せ、早々と届いた手紙に目を通す。
少し気になる事が書かれている国境警備隊からの手紙もあった。急ぐ事ではないが…とあったが、今王都がこの有様だ。念には念を入れ、警備の強化と共に全ての場所に一時期ではあるが警戒を発令させる。
エルノーワ家とグラッサ家の手紙を読んだデニスに一筋の希望の光が見えた。
よし!
エレノーワ家とグラッサ家が王都へ来る!
エレノーワ家は魔獣や魔草に詳しいと聞く。ローウェンの友と言うのはエレノーワ家の人間だったのか!何よりグラッサ家から鬼の鉄槌べニック殿が来られる!今の状況から格段に士気があがるだろう。
「皆!エレノーワ家とグラッサ家から人が来るぞ!それまでに俺達が出来る事をしておくんだ!」
デニスが大声で叫ぶと、地面が割れんばかりの声援と気合の入った返事が一斉に各方面から聞こえてきた。
「街の住民に鼻と口を覆える物をありったけ用意するように伝えてくれ。それを付けることによって花から自身守る術になるそうだ」
続けてデニスが叫ぶ。
騎士団達は避難した民にも、まだ王都にいる民にもその事を伝え万全に備えるのであった。
紫と黒のグラデーションの不気味な花モルテリリーは以前より花の中の蕾をふっくらとさせ、今か今かと開花の時を待っている。
アレクシスもクリスティーヌもお子ちゃまですね




