1 目が覚めましたよ
未だに機能が使いこなせないです
いたい……
痛いです……わ……
クリスティーヌは手が痺れたような感覚になり、次第に痛みが強まってきたのて何事かと薄っすらと目を開ける。目の前には霞んでいるが、真っ白な壁が見える。
少し顔を横にすると、クリスティーヌの手が赤くなる程の力を込めて握りしめている侍女の顔が見える。手が痺れたような感覚の原因は彼女だ。
栗色の髪をし、後ろで髪を一纏めにしている彼女は侍女のマリエルだ。ついこの間、王立学園から侍女の研修として来ている。クリスティーヌにとったら、この時はお姉さんのような存在であったのだ。マリエルは、目を固く瞑り少し下を向きながら必死に祈るように何か呟いている。
「お嬢さ……っ……、目が覚めますよう……っ、お嬢様……だぃ……早く……目が……」
クリスティーヌは掠れた声でマリエルに声をかけた。
「はたから……みれば、あなたが……わたく……しにのろいをかけて……るようにみえ……ますわ……よ? 」
マリエルは、勢い良く顔をあげクリスティーヌの顔を見るやいな、大粒の涙をこぼしたのだ。鼻を啜る音と泣き声が入り混じりながら、犬の遠吠えのような声で泣き叫ぶのだ。
「お゛嬢゛様゛ぁ゛ぁ゛〜〜゛。ずっとずっと目が覚めないので、マリエルは心配いたしましたよぉぉぉぉ」
余程クリスティーヌを心配していたのだろうか。泣き方などお構いなしのマリエルは顔をぐしゃぐしゃにしながら、クリスティーヌを抱き締める。
マリエルは美人なのに、泣き方が少し人より残念なのよね。どなたか奇特な殿方いらっしゃらないかしら?
クリスティーヌは少し考えながら、ゆっくりと身体をお越し、泣きじゃ…いや狼の遠吠えのような泣き方をする侍女を慰めるように徹底するのである。
「マリエル。わたしはだいじょうぶ、だから、なかないで? マリエルがないてると、わたしまでかなしいわ」
クリスティーヌは眉毛を下げ、少し微笑みながら困った顔をする。
「は゛い゛。お゛嬢゛様゛〜〜"。お嬢様を悲しませるなんて、侍女としての名が廃れます。こんな可愛らしい、悩殺クリス様のお願い! の顔を見せられては、泣きやまない侍女はいてません」
鼻を啜らせながらも必死に泣き止もうとするマリエル。中々、涙と鼻水が止まらないのだ。
クリスティーヌは少し落ち着いたマリエルを見つめながら今の状況を少し考える。
私は生まれ変わっていないようね。
マリエルも幼くなっているような気がしますわ。きっと、夢だと思っていた6歳の頃のままに違いないわ。過去に戻ってしまったのね。
正確な時期が知りたいわ。
「ねぇ。マリエル。わたしなにをしてたのかしら? 」
クリスティーヌが声をかけると同時に、大音量で腹の虫が部屋に鳴り響いた。
クリスティーヌは少し俯き顔を赤らめながら、申し訳なさそうな小さな声でマリエルに伝える。
「さきにおなかすいたわ……」
「お嬢様。軽く何かお食事を用意してきます。ずっと食べてないですもの。お腹が空いて当たり前です。お食事をしながら、お話させて頂きますね」
腹の音にびっくりしつつも、笑顔に戻ったマリエルは急いで給仕室に向かったのだ。
ドアの音が閉まると、先程までの騒音はなくなり静寂な空間が広がる。
凄く大きな音だったわよ?!
人間あんな音だせるの!
私、いつから食べてないのかしら?
身体が若干痛いし、どの位寝ていたの?!
早く現状を把握して、魔獣魔獣魔獣よ。
これが6歳の池飛び込みの時なら、虹色メヌンを取り逃がした時だわ! 絶対に捕まえてやる。
あの虹色メヌンの顔を忘れてませんわよ!
"フフン! 捕まえれるなら捕まえてみな! チビッ! "って顔をした事を絶対後悔させてやりますわ‼ 待ってなさい。虹色メヌーーーーン! って、違う。違いますわ。先ずは、現状を把握して何故私が時間を逆行してしまったのか考えるのも大切ですわ。
クリスティーヌは恥ずかしい音より、いち早く現状を理解し、魔獣捕獲作戦のことで頭がいっぱいになリかけていたが何とか自分を取り戻す事に成功したのである。
マリエルが食事を運んで来るまでの間、クリスティーヌは自身の部屋を見回したり外の景色を眺めたりしていた。
少し過去の事を思い出したりと、自身の頭で整理を続けるのだが頭を使うとのぼせたような感覚になるのだ。やはり、18歳の記憶量を6歳で受けるには容量が足りないらしい。無理に思い出し、整理するのを辞め大人しく外の景色を眺めながらマリエルを待つのである。




