18 グラッサ家ですよ
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マリエルの実家、グラッサ伯爵家はブラウンと赤を基調とした立派な造りの建物だ。
門から玄関まで瑞々しい花達が両端から出迎えてくれる。
何処からか、気合の入った声や木刀が重なり合う音が聞こえる。
マリエル曰く、屋敷の裏側に鍛錬場とマリエルのお祖父様の離れがあるそうよ。
今は騎士団のシゴキの時間らしいですわ。
マリエルのお祖父様は昔、猛将だったらしくグラッサ家の鬼の鉄槌と言われていたそうなの。
何だかゲンコツされたら凄く痛そうなネーミングよね?これ付けた方のネーミングセンスはどうかと思いますわ。
グラッサ家に入り、客間に案内され大人しく座る4人。
侍女が紅茶を淹れてくれる。優しい紅茶の香りが鼻をくすぐる。
コンコン。
執事が扉を開けると体躯の良い強面の男性と背の高い気の強そうな美人な女性が入ってきた。
「待たせてしまって申し訳ございません。私、グラッサ家当主のライザックです。こちらは妻のミジェンダです。マリエルが何時もお世話になっております」
マリエルの父・母は3人に一礼をし挨拶をする。
「いえいえ。この度は急な申し出にも関わらずお受けして頂きありがとう御座います。私はアレクシス・ニズカザンです。こちらは側近のキース・ウィステリアです。暫くお世話になります。私達の事は、アレクとキースとお呼び下さい。その方が身を隠す為に良いとクリスティーヌ嬢が提案して下さったんです」
アレクシスはクリスティーヌの方を見ながら、片目をつぶり、ぱちっ。とウインクする。
「それはそれは。恐れ多い事ですが、お生命を狙われているとの事なのでそういたしましょう。では、そちらの美しいお嬢様がクリスティーヌ嬢ですかな?」
「はい。私がクリスティーヌ・エレノーワですわ。クリスとお呼び下さいませ。父と母が宜しくと仰っておりましたわ」
婦女の礼を取る。
するとキースが小さい声で"クリス様も婦女のレッスンキチンとされていたのですね"って耳打ちをしてきたのだ。。
イラっとしたので皆に見えないように、キースのふくらはぎを先の尖ったヒールで刺してあげましたわ。
変な呻き声が聞こえたのは気のせいでしょう。
「お会いしたのはクリス嬢が産まれた時でしたので、こんなに美しくなっているなんて!ジュリエッタ様も嬉しい限りでしょう」
ミジェンダがウルウルと涙目になっていた。
「ミジェンダ様、着いて早々ですが私に護身術を指導して頂けませんか?時間が惜しいのです」
真剣な顔つきでクリスティーヌはマリエルの二の舞いにはなりたくない!と咄嗟に話を切り替えた。
グッジョブ!クリスティーヌ様!とマリエルは心で拍手をした。
「わかりました。やりましょう。準備をしますので30分後に稽古場で宜しいですか?マリエルに案内させますので。では、失礼致しますわ」
ミジェンダは3人に一礼し、颯爽と自室に向かった。
「アレン殿とキース殿は私の執務室でこれからの事を話しましょう。細かく打ち合わせをしていた方が良いかもしれません。」
アレクシスとキースは静かに頷いた。
「ではクリス嬢、後程」
ライザックはクリスティーヌに一礼し、アレクシスとキースを執務室に案内した。
マリエルはクリスティーヌに部屋を案内し、早速支度に取り掛かる。とは言っても、クリスティーヌは一人で脱ぎ着をするので髪を邪魔にならないように束ねるだけなのだ。
クリスティーヌ曰く、森で何かあった場合にマリエル無しで身の回りの事をしなくてはいけなくなる事を想定して。だと言う。
「マリエル!楽しみだわ!」
「お嬢様…母の教えは厳しいですよ?本当に大丈夫ですか?」
不安の色を隠せないマリエルにクリスティーヌは嬉しそうな顔で大きく頷いていた。
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クリスティーヌは動きやすい服装に着替え、マリエルの案内の元グラッサ家の稽古場に来たのだ。
中は、騎士団の稽古の真っ最中であったが誰もクリスティーヌとマリエルに気が付かない。
それほど必死に鍛錬をしているのだ。
「クリス様、お待たせ致しましたわ。さて、始めましょう」
「はい!宜しくお願いします!」
クリスはワクワクとドキドキ、楽しみが勝っていた。この時までは……
……
…………
もう無理無理無理無理無理無理!!
どれだけ走らされるの?!
どれだけ反復トレーニングするの?!
ミジェンダ様は鬼を越えた鬼畜ですわ!!
クリスティーヌはミジェンダの鬼の特訓初級編で既に挫折しそうになっていたのだ。
だっておかしいですわ!
体力作りに手足に重りをつけて走らされて、ボール投げつけられて、避けないと当たるし痛いしもう泣きそうですわ。
クリスティーヌがもう無理だと思った頃にマリエルが駆けつけた。
「お嬢様。ですから、母の特訓は厳しいと言ったのです。辞めますか?」
「いいえ。やりますわ。ちょっとビックリしただけですわ。私はやり遂げます!」
クリスティーヌは、負けず嫌いである。マリエルの言葉に反発し、胸に闘志を燃やしそう答えた。その様子を見ていたミジェンダが口を開く。
「クリス様、護身術を学ぶ為には基礎体力も必要です。いつも身体強化が出来る状態ではございません。有事の際に信じれるのは己の力でございます。勿論、仲間達も信じますよ。ですが、ご自身が何も出来なければ足手まといになるだけです。基礎体力の訓練は地味ですがとても大切な事なのですよ。」
クリスティーヌは、全くその通りだと納得した。
自分は、令嬢で体力もなければ武術も騎士団などに比べれば子供のようなものだ。
魔獣相手には何か出来るかもしれないが、対人は全く何も出来ないだろう。
それからは、クリスティーヌはボロボロになりながらも倒れるまで何度も何度も反復練習をしたのだ。
身体には無数の傷、痣ができており、公爵令嬢とは程遠い姿になっていた。
マリエルは涙目になりがら、クリスティーヌの気持ちを汲み取り必死にサポートしていく事を決めたのだ。
クリスティーヌ!がんばれ!!
騎士団は4団に構成されています。
王騎士団はまた別の騎士団とされています。
王騎士団も4団、その中のエリートは近衛騎士団になっています。




