17 婚約破棄の為ですよ
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いつもより長めです。
ピーッチチチ……
小鳥のさえずる音。
森の良い香り。
太陽がキラキラしている素敵な朝。
な毎日を過ごす筈だったのに!!!
ほんとーに、お父様は無茶ぶりをなさいますわ!!
クリスティーヌはフカフカのベッドにうつ伏せになりバタバタと暴れる。
昨晩、父に言われた事を要約するとこうである。
一昨日マヌマヌの森で助けた二人はこの国の第2王子とその側近であり、現王妃が急に体調を崩し床に伏せっている。そして、現国王の父ロバートの言動が1年程前からおかしくなる。念の為に第一王子のラウール様は隣国へ留学と言う名の避難と共に秘密裏に何かを探っているというわけだ。
父ガウスも思う事があり、ラネックと共に街の視察をしながら情報を集めていたらしい。
第2王子のアレクシスと側近のキースが何故森に居てたかというと、王妃の体調不良の原因が毒らしく解毒草を取りに行ったところフェンリルに出くわしたという。アレクシス自身も何者かに生命を狙われており、信頼出来るのは側近のキースのみだと言う。なので護衛もつけずに2人で森へ入ったのだ。
なーるーほーどー。
ぼっち王子のお使いですかー。
とーてーつーもーなーく、私にはどうでも良い事ですわ。
父ガウスは、"ここで王子に恩を売ればダニエルと婚約破棄ができるかもしれない!!"という甘い餌を吊り下げ、クリスティーヌを見事に釣り上げたのだ。
暫くの間、2人は容姿を魔法で変え身分を隠しマリエルの実家、つまりグラッサ家に遠縁の親戚としてお世話になるのだ。エルノーワ家からも近いし都合が良いというわけなのだ。
そう…
都合が良いのにも理由がある。
アレクシスの薬草採取の手伝い、解毒薬作製、魔獣の捕獲実施、魔法使役の仕方、魔草レクチャー等、クリスティーヌが面倒を見る事となったのだ。
ていのいいおもりである。
勿論、アレクシスとキースにはエルノーワ領のお手伝いも協力してもらう事を約束した。
クリスティーヌは背に腹は替えられぬ…婚約破棄の為に。仕方がない…
とブツブツと呟きながらも承諾したのだ。
前回では、こんな事起きませんでしたわ。
今の頃だと領内のお手伝いはしていたけれど、
ダニエル菌に侵されたお花畑状態だった時期の行動が余り思い出せないわ。
自分は深層の令嬢らしく慎ましく健やかに過ごしていたハズですわ。
扉を叩く音がし、すぐに扉が開く音がした。
クリスティーヌの専属侍女のマリエルが中に入ってきたのだ。
「お嬢様。早くお支度いたしますよ!アレクシス様とキース様がグラッサ家に出発するのでお見送りにでないといけませんよ。」
「ねぇ。マリエル?マリエルのお母様って護身術凄いんですわよね?」
「はぁ…まぁ…たまに、弟のリュークをしごいてますが…。それが何か?」
クリスティーヌの目が輝きだし、お願いポーズをとる。
「私、護身術を習いたいの!!口添えできる??」
「はぁぁぁぁぁぁぁ?!何を仰っているのですか!!!そもそも旦那様と奥様の許可は取られているのですか?!私は反対です!!ただでさえ、お嬢様は無茶をなさります。ダメです!」
「アレクシス王子も命狙われてるじゃない?私に剣は持てないし力もないから、護身術であれば魔法封じがあった時に役に立つんじゃないかしら?だから少しでも鍛錬したいのよ。」
「ん…んんんんん…。たっ確かに、護身術という名目では得策かもしれませんね。国王がおかしい、ともありますし何があるかわからないうちは備えるべきですわね。お母様は鬼ですよ!大丈夫ですか?」
「頑張る!!マリエル!大好き!!」
「大好きと言われるのは本望ですが…。はぁ…。お嬢様は何を目指してらっしゃるのか…」
マリエルは肩を落としクリスティーヌの用意をし始めた。
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クリスティーヌは両親の了承を得て、すぐに早便の手紙を出してくれた。
我が領内の手紙を送る方法は一般的な物と違う。一般では手紙が鳥など飛ぶ物に変わって受取主まで行くのだが、エルノーワ領では手紙が奇抜な色をした土竜や鼠に変わり土に潜って受取主に届く。理由は魔草の鱗粉と見分ける為。幻影を見せる魔草もあるので用心に…となったのだ。
勿論、魔法がかかっているので汚れない。
これがまた人気で、街のマスコットキャラクターとしてキーホルダーなどお土産にもなっている。
そして現在、クリスティーヌはアレクシスとキースとマリエルの4人で馬車に揺られている。
「クリスティーヌ嬢は何故魔獣を何匹も使役されているんだ?普通の令嬢であれば使役しないはずだが…?」
「アレクシス様。クリスとお呼び下さい。このエルノーワ領とグラッサ家のマリエル以外はクリスと呼びます。怪しまれますよ?」
「わかった。私の事もアレクと呼んでくれ。キース、君もだよ。」
「エルノーワ家はご存知の通り、魔獣の対策に特化してますわ。それで小さい頃より身近にあり、次第に魔獣の生態に興味を持ったのです。知らなければ死が待っているので、自ずとそうなりますよね?」
フフフとクリスティーヌは笑う。
アレクシスは確かにと頷いた。
ふとクリスティーヌはアレクシスの顔をマジマジと見る。
「あれ?昨日は変化の魔法で見えにくかったのですが…少し失礼します。」
クリスティーヌはおもむろにアレクシスの茶色い髪をかき上げ、額をマジマジと見る。
アレクシスはクリスティーヌの顔が間近にあり
、目を必死に逸して平静を装う。
「アレク様…加護を受けられてますね。この模様は……あいつだ!くっそ〜!!!!!!」
「ど…どうしたんだ…クリス?」
アレクシスは一瞬にして変わったクリスティーヌに驚き恐る恐る聞く。
「取り乱して、しまいましたわ…。アレクシス様はマヌマヌ森へ以前行かれた事がありますよね?その時にちょっと変なイケメンの魔獣に会いませんでした?」
アレクシスとキースは考える。
「ん〜…そういえば、1年程前だったか…森へ狩りに行った時に迷って下半身が馬の男に会った!」
「それですわ。その時にケイローンから加護を受けてますわ。マヌマヌ森の主はケイローンなのです。私の天敵ですわ。あいつはいつもいつも…きぃーーーー!!!」
興奮したクリスティーヌを必死に落ち着かせようとするマリエル。キースも加わりなんとか串肉で落ち着かせてた。
「その加護というものは何なんだ?」
「あら?この国の王子とあろうお方がそんな事も知りませんの?オホホホホホホ。」
「急に棘がある言い方だな…もしかして…加護が羨ましいのか…?」
「べっ別に…!!羨ましくなんてないわ!!ぜんぜんっ羨ましくないから!!もー…仕方なしに教えます。加護があると死にそうな場面、困った場面で何かの力が働き好転するのよ。」
全員が羨ましいんだ…と一致した瞬間である。
「そ…そうなのか…。確かに毒殺や暗殺も間一髪で逃れている。それに一昨日の件でも君が助けてくれた。なるほど。私は…無知だな。なぁ…クリス、今からでも私は学ぶ事ができるのだろうか?」
「えぇ。もちろん。学ぶ意志があれば、ですわ。私も7歳ですしこれからですわ!」
アレクシスは7歳と言う言葉を聞いて、落ち込んだが負けられない。と闘志を燃やすのである。
キースはすぐに悟り、クリスティーヌにこそっと伝える。"アレクシス様と同じ歳ですね。これからも宜しく"、と。
ちょい変わったイケメンのケンタウロス、楽しみです。
アレク王子!頑張れ!
キースはアレクをお見通しですね。




