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147 通信魔導具

いつもありがとうございますm(_ _)m

 各地で黒いフードの者達とキメラ襲撃が続く中、呪縛魔法にかけられたニズカザン帝国第二王子アレクシスが目が覚めたという吉報は、直ぐに各部隊へと知らされ、騎士や魔法師、学園生、平民達にとって士気が上がるものとなった。


「デニス団長‼ 右から来るぞ‼ 」


「任せとけ‼ 」


 エスイア達は、ケイローン達と共に森に現れるキメラと黒いフードの者達の討伐に勤しんでいた。


 デニスは土を蹴り、高く飛び上がると両手で握りしめた大剣を空高く振りかざし、キメラの眉間へと叩き込む。

 キメラの身体は血飛沫をあげながら、真っ二つに割れ地面へと倒れる。


 すかさずルギが体内にあった黒い魔石を見つけ出し、浄化魔法をかけた剣で突き刺し、魔石を粉砕する。


「まだだ! 次から次へと湧き出てくるぞ! 」


 デニスは大声を上げると、エスイアとジュイナは赤竜(ヴァーム)不死鳥(フェニックス)を駆使し、業炎でキメラを焼き尽くす。


 黒いフードの者を捕縛する前に、キメラ達が現れる為、殲滅が厳しい状況になっている。


「キリがないわ……」


 ジュイナは呟くが、キメラ達は続々と現れ続けている。


 現在、彼らは王都にいるキースの命により、以前、魔蟲を討伐したネモレ王国の森にてキメラ殲滅を任されている。


 ネモレ王国の森とニズカザン帝国の森は繋がっており、自国の防衛の為もある。


 ニズカザン帝国周辺では、相変わらずキメラが出没し、ヤズダム小国は壊滅したとの噂も流れ始めている。


「ここから先は、他国だから私達は介入できない。どうする? 」


「ちっ……ネモレ王国とニズカザンは動けるがあっちに、逃げられると手のうちようがないぞ……」


 デニス達は、悔しそうな表情を浮かべながら逃げるキメラと黒いフードの者達の背中を、ただ睨むしかなかった。


 同盟を組んでいる国でも、勝手に戦いを始めれば侵略だと捉えられ、外交問題に発展する恐れがあり、やすやすと国境を越える事はできない。


「それをわかりながらの動きですね」


 ルギは直ぐにキースへと早便を送り、情報を回す。


「ヤズダム国とは連絡が取れないのか?! 」


「まだだそうです‼ 」


 デニスの怒号に、後方にいる騎士は剣を振りかざしながら、返事をする。


 ヤズダム国は小国でありながらも、鉱山を沢山保有している国なのだ。


「ヤズダム国では奇怪な蝶で混乱されていて、国として機能が出来なくなっているとの情報もあります‼ 」


「蝶……? 」


「エスイア、まさか……」


「エスイア、ジュイナ‼ 言ってた蝶か‼ 」


 デニスは叫びながら、目の前に現れたキメラの首を剣でぶった斬る。


「多分そうだ! ルギさん‼ キースさんと連絡取れるか?! 」


「魔法通信が混線しているので、どうか分かりませんがやってみます‼ 」


 ルギは魔法陣を展開させ、小さな四角い箱を取り出した。


 この小さな四角い箱は、内部に魔術式が複雑に組み込まれており、他国では解明出来ない仕様になっている。もし箱を開けられ、術式を読み込もうとすれば、途端に魔術式が破壊されるのだ。


 この魔導具の発明のきっかけを作ったのは、一年時の野外戦でのクリスティーヌの一言であった。


【念話は範囲が決められているし、早便は時間がかかるわ。遠くても直接話せる物があると便利よね】


 この言葉からC組のノワズ達、魔導具発明の天才と呼ばれる者達の探究心に火を着けたのだ。

 長年の研究と開発により、一年前に完成した魔導具が、この小さな四角い箱の魔法通信と呼ばれる魔導具なのだ。

 ノワズ式魔導具の最高傑作の一つである。


 ルギが魔法通信具に魔力を流すと、四角い箱が魔法陣で包まれる。



 "聞こえますか? キースさん、聞こえますか? "


 "………ザ……ザザザ……ザザザ"


 "こちらギル。聞こえますか? "



 魔導通信具は念話で話す為に、他の者には会話が聞こえないのだ。



 "ザザザ……ザ……ギル……か?! "


 "そうです!! 緊急の報告があります"


 "こちらも緊急事態だ!! 何処からともなく、変な蝶が飛んできている"


 "蝶……?! "



 ルギは嫌な予感がした。

 先日、エスイア達から報告されていた蝶は、ヤズダム国を混乱を起こしている蝶とも推測されていた。


 その混乱させている蝶が、ニズカザン帝国の王都にまで侵入しているとなると緊急事態だ。



 "その蝶は危険です!! 直ぐに燃やして殲滅させて下さい!! ヤズダム国の二の舞いになりかねません‼ "


 "ザ……ザザ……殲滅……だ……わかっ……お前……のまま……ザザ……ザ……"



 通信魔導具は混線のせいか、キースの声が所々しか聞き取れない。

 終いには、雑音が酷くなり、途中で通信が切れてしまったのだ。


 ルギは念の為、早便で報告を行い、ジュイナに声をかけ、()()()()()()を送り込むように伝える。


 ジュイナは直ぐに魔法陣を発動させ、斑目蜘蛛(スピアルダ)を数匹召喚させ、王都への偵察を命じると、スピアルダは直ぐに木々を伝い、森の奥へと消えていったのだ。


 ルギは、キースとの連絡の詳細を念話を通し皆に伝えたのだった。


 王都にも例の蝶が現れた、と。

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