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146 白い仮面の長 ビアンカ

いつもありがとうございますm(_ _)m

ブックマーク等励みになっております。

遅くなりました。

誤字、脱字報告ありがとうございます。

とても助かっております!

「早くクリスティーヌを運びましょうか」


 白い仮面の者の声に反応し、マリエルは、瞑っていた目を恐る恐る開ける。


 目の前には、一面真っ白な世界が広がっていた。


 足元を見ると、薄っすらと地上の映像が何箇所にも分かれて流れている。


「ここは……何処でしょうか……」


「説明は後にしましょう。クリスティーヌが目覚めるのを待ちましょう? 」


 マリエルは、小さな身体のクリスティーヌを抱え、白い仮面の者の指示に従い、側にある白い布がかけられた台へと運んだ。


「貴方も少し休みなさい。これから忙しくなるわ」


 白い仮面の者がそう言うと、クリスティーヌが寝ている側に、新しく白い布がかけられた台が現れたのだ。


「ですが……」


「マリエル……と言ったかな? 今は休む時だよ。この子は大丈夫だ」


 ペクト老師に説得され、マリエルもクリスティーヌの側で休む事にしたのだった。


 クリスティーヌはそれから3日もの間、眠り続け、串肉食べたい、と眠りから冷めたのである。


 この白い空間は、異空間の1つらしく、ペクト老師の元で精神を鍛えた部屋と同じようだった。


「本当に真っ白ね。あの時と同じ様な感覚だわ……」


 クリスティーヌがポツリと呟いたのだ。


「痛みは和らぎましたか? 」


 白い仮面の者がクリスティーヌに声をかけながら、ハーブティーを差し出す。


 ハーブの柔らかな香りが鼻をくすぐる。


「ええ。助けて頂きありがとうございました」


 クリスティーヌは白い仮面の者に向かい、深く頭を下げると、マリエルもクリスティーヌの後ろから頭を深く下げる。


「いいえ。ペクト老師とは古い付き合いですから」


 白い仮面のせいで表情が全くわからないが、声の質でこちらの事は歓迎はしてくれているみたいだ。


「何故、私は狙われたのです? 」


「そうね……見ていただいた方がわかりやすいわね」


 白い仮面の者は、おもむろに仮面を外し、クリスティーヌ達を驚かせたのだ。


「べ……ベリア様?! 」


「まぁ、そう言うでしょうね」


 くすっと笑う姿は、艶のある長い黒髪の女性、時の魔女(ベリア)とそっくりの女性だった。

 よく見れば瞳の色が違い、雰囲気も違う。


「どういう事でしょうか? 」


「私の名はビアンカ。ベリアは私の双子の姉よ。いつの間にか時の魔女と言われるようになったけれど、元はちゃんとした人間だったの」


 クリスティーヌとマリエルは、驚きながらも


 ビアンカの話を静かに聞く。

 ペクト老師は知っていたのだろうか、何も言葉を発しないのである。


「時の魔女と呼ばれるようになったのは知っている? 」


「はい。昔、国で邪気が蔓延し、邪気を取り除く為に信者から選ばれた者が浄化魔法を駆使し、国を救ったと。国を救った事により、精霊達から加護を得て、何年も歳を取らずに生きている……と。古い文献で読みました。時の魔女のベリアと言う名前も噂と文献で読んで知っていただけで……まさか……」


 クリスティーヌは以前、額の傷の事件を調べる為に色々な報告書や文献など片っ端から漁りっていたのだ。


「そう。そのまさか。文献は綺麗事のように書かれているけど、実際は教会から誰も邪気を祓おうとする者は居なかったわ。国中は邪気で溢れ、人々は殺し合い、地獄のようだった。人より魔力が強い、私達姉妹が選ばれて浄化魔法をかけて消滅させたの。始めのうちは、皆私達を国を救った英雄だと褒め称えた。けれど、何年も月日が経つうちに、私達の事を化け物だと言う者も出てきたわ」


 ビアンカはハーブティーを口にし、静かにティーカップをテーブルに置く。


 静まり返った部屋に、茶器の重なる音が響く。


「精霊達の加護を受けた私達は老いる事なく、当時の姿のままでいられる。何年も生きてる分、魔法もよく知っているし、魔力も強い。いつの間にか時の魔女と呼ばれるようになった。でもね、この世は邪気で溢れる。その度に私達はその始末をさせられる。次第にベリアは人々に憎しみを持つようになり、邪気にのまれて悪へ落ちていったわ……」


「私とは、どういう関係があるのですか? 」


 ビアンカはペクト老師に視線を移し、目で合図をし、お互いが頷いた……



 ◇◇◇◇◇◇


 ………………。


 ……………………。


「クリスお嬢様……クリスお嬢様……? 皆様がお待ちです」


 白い仮面を被ったマリエルが、そっとクリスティーヌの側へ現れ、クリスティーヌは過去の出来事から現実へと戻される。


「ごめんなさい。この焼け跡を見て、少し思い出していたの」


「そうですか……。ビアンカ様のお話は私達には想定外でした。お嬢様、皆様がお待ちになっています。さぁ、行きましょう」


 マリエルの言葉にクリスティーヌは頷き、魔法陣を発動させ、二人は目的の場所、森の麓へと向かったのであった。

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