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13 領民のお手伝いですよ

読んで頂きありがとうございます。

ブックマーク励みになっています。


 デジュの樹に青々と葉がつき、太陽の日が眩しく汗ばむ季節になってきた。


 マリエルがホクホクと白い箱をクリスティーヌに差し出す。


「これは、何かしら?」


 白い箱を受け取りそっと中身を見る。クリスティーヌはぱぁぁっと顔を綻ばせ、嬉しさの余りにその場でぴょんぴょんと飛び跳ねる。


「マリエル!これ!これ!出来たのね!すっごく、すごぉぉぉく楽しみにしていたの!」


「少し加工に時間がかかりましたが、お嬢様の満足いくものに仕上がっていると思います」


 クリスティーヌは箱から出した白と淡いピンクの可愛らしいブレスレットを左手首につけてもらった。シャララン……っと音が心地良い。


 以前、父ガウスからプレゼントでもらったシェルの木が実を結んだのだ。すぐに回収し、加工してもらうように手配したのだ。中々の良質だったらしい。


「さて。お嬢様。準備ができましたよ」


 今日は父ガウスと兄スペンサーと一緒にエルノーワ領の街へとお手伝いへ行くのだ。


 エルノーワ領は魔獣の住む森が比較的近い為、有事の際に領民に協力をしてもらうのが常なのである。だから、こうして公爵家も領民が困ったりするとすぐに手伝いに行くのだ。


 街はエルノーワ家から馬車で30分程の場所にある。豪奢な馬車ではなく年季の入った馬車に乗り込む。"常々私達は領民のお陰で食べれてるんだ"という事を念頭にしている為、王都等の行事以外は基本慎ましやかな生活が良いのだ。

 父ガウスに本日のお手伝い内容を聞いた。


「スペンサーは、街の防御結界の綻び修復だ。クリスティーヌは、魔草回収し何時も通りターナさんに渡してくれ。どの魔草かは、直接ターナさんに聞いてくれ。私はいつも通りラネックと街を視察し、少し気になる事を調べている。何かあったら…探してくれ。ハハハ」


 豪快に笑うガウスを尻目に、兄スペンサーは静かに話す。


「わかったよ。僕は全体の結界修復が終われば、いつものように調合の店に篭もるよ。新しい調合を試したいんだ。もう少ししたら、学園の発表会だし早めに準備しておかないとね」


「えー。お兄様ズルーい!私も一緒に調合の店に行きたいですわ!せっかくお兄様と一緒にお出かけできたのに!」


 ぷぅと口を膨らませぷりぷりと怒ったクリスティーヌに、スペンサーは優しく頭に手を起き優しく宥める。


 プンスカとクリスティーヌがしている間に街についた。馬車からゆっくりと降りる。


「では、夕方にラネックの店に集合だ。気をつけるんだぞ」


 ガウスはスペンサーとクリスティーヌに告げ、待っていたラネックさんと街の視察に出かけた。


「じゃあ、クリスティーヌ。僕はココから周るからね。気をつけるんだよ」


 スペンサーは従僕と一緒に歩きだした。


「さて、お嬢様。ターナさんの所に向かいましょう!」


「そうね!今日はどんな魔草を言われるのかしら?ワクワクするわ」


 クリスティーヌとマリエルは街中を歩き、ターナさんの家に向う。


「あー。いい匂いがするぅぅ。焦げたお肉と甘辛いタレの匂いがするぅぅ。串肉食べたいー。食べたーいー」


「お嬢様。先にターナさんの元に行かないとダメですよ。お手伝いが終われば食べれるんですから。少しの間の辛抱ですよ」


「ちぇー。あそこにあるスイーツもよ?約束ね!マリエル!」


 クリスティーヌはニッコリと笑い、ターナさんの家の玄関をノックする。


「ターナさぁん。クリスですー」


「はーい!ちょっと待ってておくれー!」


 中から元気で明るい声が聞こえてきた。

 暫くすると、横の庭先から赤茶色の髪に少しふくよかな女性がやってきたのだ。


「お待たせしましたよ。クリスティーヌお嬢様!」


「こんにちは。ターナさん。いつも通り、お嬢でもクリス嬢でお願い。なんだかこそばくなっちゃう」


 ウフフフ、と笑いクリスティーヌはそう言った。


 今のクリスティーヌは街によく来る為、領民と仲良しなのだ。初めこそはクリスティーヌ様やクリスティーヌお嬢様と言われていたが、クリスティーヌ自身が嫌がり"せめてクリス嬢にしてちょうだい"とお願いしたのだ。


「そうかい?じゃーいつも通りにするよ。あ、そうだ。いやさ、お前さん最近分厚いメガネかけて何か仮装してるんだって?」


「え???」


 クリスティーヌは少し考え、何か思い出したように目を見開き口を開く。


「あ!そうなの!訳あって変装していたの!何でターナさんが知ってますの?」


「あー、どこの坊っちゃんだっけな……顔の周りがこう、なんて言うのかな……光ってそうな、自分の顔が大好きそうな細っこい弱そうな坊っちゃんがね、王都で面白おかしく言ってたらしいんだよ」


「あ……すっーーーーごくその方に心当たりありますわ」


 クリスティーヌは直ぐにその人物が誰であるか察知し、心で悪態をつくのだった。



 絶対殺る。

 ダニエル今からコロス。

 あいつ死刑。ケルベロスに食われてしまえばいい。ナシナシ沼に沈めるのもいい。

 さて。これから奴をどうしてくれようか。


 鬼の形相になりつつあるクリスティーヌの殺気を感知したマリエルは、すぐさまこっちに連れ戻すように慌てて話題をかえたのだ。


「タっ、ターナさん!!!!今日の依頼です!!依頼を教えてください!!」


「あー、そうだったね。今日は、ルース草を採ってきてくれないかい?」


「ルース草ですね!沢山あったほうがよろしいですか?他に必要な草もありますか?」


「そうだね!沢山あると良いね!あとはムスビツルだね。そろそろ無くなってきてから補充しなきゃいけないねぇ」


「わかりました!いつも通り袋はお借りしてもよろしいですか?」


「あぁ!ココにあるやつならどれでも持って行っておくれ。じゃあ、宜しく頼んだよ。」


 ターナは畑の作業に戻った。


 マリエルは未だに現実(こっち)に戻って来ないクリスティーヌの耳元で囁いた。


()()、いらないんですか?」


 瞬時に現実(こっち)に戻ってきたクリスティーヌを連れ、無事マヌマヌ森へ出発したのだった。

クリスティーヌの扱いが上手いマリエルです。


読み応えがどうかわからず、1500~にしてましたが短そうなので、2500〜3000程を目安に頑張ります。

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