124 vs蜘蛛(スピア)
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「あのスピアは何かを守っているという事?! 」
「そうだろ? 排除する、って言ってたし」
ジュイナとファタールは何やら言っているが、デニスはこれからどうすべきかを考えた。
アレクシスからの指令は達成されている。
だが、魔石を埋められている蜘蛛に、石に閉じ込められている魔獣や人達。そして、蜘蛛の【番人、排除】という言葉が気になるのだ。
石の中の人々は、既に息絶えているだろう。
最近閉じ込められた訳ではなさそうだった。何故、閉じ込められていたのか、だ。
それに、クリスティーヌも奥から魔力が感じられると話していた。
奥には守る程の何かがあるに違いない。
「で? デニス団長。どうする? 」
「うむ。考えたのだが、あの蜘蛛は術印がある。どのみち、使役している者を探すように命令が下だされるだろう」
「と、言う事は……」
「そうだ。蜘蛛の殲滅をする」
エスイアとデニスの会話に、他の者達は異論を出すことなく頷いたのだ。
「ただ、一筋縄ではいかんだろうから……」
デニスは先程のクリスティーヌの魔法が効かないと言う事を踏まえての作戦を練り始める。
クリスティーヌの為にも言っておくが、決して魔法が効いていない訳ではないのだ。相手の蜘蛛が術印によって守られているだけなのである。
「デニス団長も念話できたら良いのに……」
「ですわね……」
「念話?? 一体何の話だ? ん……お前達、出来るのか?! 」
「ええ。ルギさんも出来ますよ? 」
「俺だけなのか……」
デニスはクリスティーヌの言葉に項垂れ、仲間外れにするなよ、俺にも言ってくれよ、等子供のような言葉をブツブツと唱えている。
「まぁ、不便ですが先にスピアを何とか致しましょう」
クリスティーヌはそう言いながら、デニスを放置し、再び洞穴へと入っていったのだ。
"蜘蛛が居ない……? "
先程までいた蜘蛛の姿はなく、蜘蛛の魔力を辿りながらクリスティーヌ達は、更に奥へと進む。
奥に進むにつれ、石に閉じ込められた魔獣や人が増えている。
石は普通の石と違うようで、透明では無いのに中が透けて見えるのだ。
"石……と思って居たら、これは蜘蛛の糸が風化したんじゃないか……"
"ファタール、どう言う事だ? "
エスイアの質問にファタールは説明をする。
一見石のように見える物は、蜘蛛の糸と蜘蛛の粘液で作られております、月日により、石と同化した物になった物なのだ。
精密な調査をしなければ詳細はわからないが、ほぼそう見て間違いないと言う。
「これは一体何に使われているんだ? 」
「蜘蛛の習性からして、食料? あ……もしかして魔力の捕獲とか……? 」
「ちょっと待って。壁に何か描いているぞ」
「エスイア‼ 触ってはだめよ‼ 」
クリスティーヌはエスイアを静止し、続けて話を続けた。
壁にある模様は何かの呪詛の魔法紋様であり、強力な魔法がかけられているという。
ここまで魔力が強く感じるのなら、何かの魔獣が居るかもしれないのだ。
クリスティーヌは、ルースと呟き、光を奥まで飛ばす。
すると、奥に魔法陣の紋様と石に閉じ込められている人がいたのだった。
「あの姿……何処かで……」
クリスティーヌは考えるが思い出せないまま、魔力を込める。
「おい。何がなんだかわからんが、これは解かない方が良い気がするぞ」
デニスは慌てて止めるが、時既に遅し。
クリスティーヌは呪詛の魔法紋様に手を当て、呪詛の解魔法を始めたのだ。
呪詛の魔法陣に少しづつ、魔力が行きわたっているのか、クリスティーヌ側の紋様から白く光りだす。
全てに魔力が行き渡ると赤色に発光し、呪詛の魔法陣の紋様が消えたのだ。
奥の石に閉じ込められている人物はピクリとも動かない。
もはや、死んでいるのだろうと思い、クリスティーヌは踵を返し元来た道を歩こうとした。
すると、天井から赤い目が9つの蜘蛛が目の前に飛び降りてきたのだ。
【排除する】
「先程は甘く見ていましたが、手加減は致しません」
クリスティーヌは瞬時に四方に魔法陣を展開させ、蜘蛛にむけて光の槍を放つ。
幾つもの光の槍が蜘蛛の胴体に刺さり、刺さった場所から煙をあげながら赤く燃えていく。
「き……きいているのか? 」
クリスティーヌはエスイアの言葉に頷く。
「浄化魔法と組み合わせれば効くみたいね」
「さらっと言うが、魔力を膨大に使うじゃねーーか‼ 」
「私には無理だわ……」
「まて、ルギの魔法剣にジュイナ嬢が浄化魔法を組み合わせたら良いじゃないか? 」
「デニス団長‼ 冴えてる‼ 」
ジュイナとエスイアは、それならエスイアが剣に攻撃魔法をかける、と言い三人一組の攻撃を開始したのだ。
その間、ファタールとデニスは四人のサポートに徹する。
魔導具と共に回復薬や解毒の準備もしておくのだ。
クリスティーヌが蜘蛛へと容赦なく攻撃を開始する。
ルギはエスイアとジュイナの魔法により、浄化と炎を纏った剣を振りかざし、蜘蛛の目や足を攻撃し、破壊していく。