120 ネモレ王国
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ネモレ王国についたクリスティーヌ達は、ネモレ城に通された。
いつも通り、派遣されたのはデニス班である。
デニスとルギ、そしてクリスティーヌ達だ。
ネモレ王国は古代樹や古代草が数多く残る緑豊かな国であり、他国では自生していない貴重な草木ばかりあるのだ。
別名【時の国】とも言われ、ニズカザン帝国に居る、時の魔女の出身国だとも言われているとかないとか。
その貴重な古代樹や古代草ばかりが、虫によって食い尽くされ、多大なる被害を受けているのだ。
「よくぞはるばる我が国へと来られました」
ネモレ王国の女王、ピアーナが声をかける。
ネモレ王国ピアーナ女王は、軽くウエーブのかかった緑の髪を一纏めにしており、茶色の瞳は女王の威厳を保ち、青白い肌をしていた。切れ長の目からは、一見冷たさを感じる。
「早速だが、任務に取りかかってもらいたい」
ピアーナ女王は、要件を話すとネモレ王国の親衛隊長の一人リックを呼び、案内と駆除の説明と場所の説明を行うように命じたのだ。
"なぁ、ネモレ王国の人間は笑わないのか? "
"そんな事ないだろ"
"今は事態が深刻だからじゃない? "
"ピアーナ女王は若い時に即位されたからじゃないかしら? "
"なる程な。ファタールはこの国の事は知ってるのか? "
"知ってるって程まではいかないかな。虫の生態を知る為に知ってる程度だな"
"でた。虫馬鹿……"
"言うけど、ジュイナだって蜘蛛を使役してるじゃないか"
ファタールは笑いながら、ジュイナに突っ込んだ。
ファタールは虫関係では右に出る者は居ないと言われているセクト家の子息だ。
セクト家は代々、昆虫生態に詳しくその土地の形態や気温まで調査し現状を瞬時に判断する能力に長けているのだ。
ニズカザン帝国では主に土地開発や作物、森林保護などを行っている。
毒を持つ虫にも詳しい為に他の研究所とも連携を取りニズカザンの発展に貢献しているのである。
そして、クリスティーヌは虫が苦手なので、授業中何度もファタールに助けて貰っていたのだ。
「早速ですが、虫被害の出ている地域へ向かいます。道中で現状をお話ししますね」
柔らかく微笑んたリックはやはり、目が笑っていなかったのだった。
クリスティーヌ達はリックと共にネモレ王国の南部にある街へとむかったのだ。
ネモレ王国では数カ月前から虫被害により作物が深刻な状況なのだ。
始めは畑に数匹出現し、数日で一気に大量に増え畑一面土しか残らない状態になったという。
殺虫剤等、取れる対策は全て行ったが全く効果がないのだ。
この様な事は建国以来初めてなのであり、調査を進めるが原因が分からずお手上げなのでる。
「リックさん、その虫を見せて頂けますか? 」
ファタールはリックに言うと手袋をつけ始めた。
ファタールのつけた手袋は魔力が込められており、通常の手袋とは違うのだ。
リックから被害をもたらす虫を受け取り、驚いてしまった。
「コルドだ……」
「え? これ飛蝗よね? 」
「うん。飛蝗は普通の虫だけど、これは違う。全体に黒っぽいし、普通の飛蝗より一回り大きいだろ? 」
ジュイナの質問にファタールは丁寧に答えていく。
作物被害には大体、飛蝗が絡んでいるが、今回はまた別なのだ。いや、飛蝗は飛蝗なのだが一番タチが悪い飛蝗なのだ。
「ファタール。これ、魔蟲よね」
「クリスちゃん、よくわかるね」
「昔、お兄様から聞いた事があるわ」
「そう、これは飛蝗が突然変異して魔蟲コルドになったんだ」
ファタールは続けて話をした。
魔蟲コラドは飛蝗が何かの原因により、突然変異し通常飛蝗から魔蟲へと変わったのだ。
魔蟲となると通常の殺虫剤は効かない。繁殖も通常の五倍も早いので、最初のうちに気付き食い止めないと大変なことになるのだ。
ジュイナの使役する蜘蛛も魔蟲であり、通常の蜘蛛と違うのだ。
魔蟲になる条件は色々とあるそうだが、未だ全容は解明出来ていない。
ただ確実に言えるのは、何処かで魔力を浴び魔蟲になったと言う点だ。
「これは厄介だぞ」
「魔蟲とわかったら、魔力で殲滅すれば良いんじゃない? 」
「通常ならそれで殲滅できるが、今回の件はきっと何処かに魔力を手に入れた最初の魔蟲コルドがいるって事だ。手にあるコルドは言わば複写だ。最初の一匹目を倒さなければ意味がない」
ファタールの言葉に、クリスティーヌ達は息を飲んだのだ。
数千……いや数万の中からたった一匹のコルドを見つけ、倒さなければ被害を食い止める事はできない。
魔蟲は作物を全て食い尽くすと、人間を襲い人間を食するようになるのだ。
このままでいけば、数日で人間を襲うようになるだろう。
「どうすれば良いの?」
「コルドの巣を探す」
「巣?! 」
魔蟲は必ず何処かに巣を作る。
それを見つけ出し、殲滅するのだ。
「それなら、クリスさんは早く見けれそうね」
ジュイナが悪戯っ子のようにウインクし、エスイアは、なる程な、と呟き、頷いたのだった。
デニス達はただただ話についていけずに、周りで傍観するだけであったのだ。