119 新たな仕事
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「先ずは、数年前のモルテリリー事件ね」
「黒い魔石、マッセラ教会の事件もだな」
「キメラに、トワライ王国の戦争、地下通路……」
エスイアとジュイナも知る限りの事件を上げていく。
小さいものなら、幸せの魔石、アレクシス暗殺未遂等あげられた。
関わりある自分物も挙げられていく。
「ねぇ。疑問なのだけれど……」
「ん? ジュイナ、何か気になる事あるの? 」
「時の魔女は何故、全ての事件が起こる事を知っているのかしら? 」
「それもそうだ。何故、時の魔女は全て先読みが出来るんだ? もしかして、時の魔女がハミ……ぶへっ‼ 」
エスイアが最後まで話す前に、クリスティーヌの伸びる扇が後頭部に直撃する。
「気持ち悪い事を言わないで頂戴‼ それに何てこと言うのよ。あの方は地獄耳なのよ。聞かれてたらどうするの?! どうなっても知らないわよ‼ 」
エスイアは後頭部を擦りながら、クリスティーヌの殺人扇を恨めしそうに見たのである。
「けれど気になるわ。時の魔女の事は、何か古代魔法かで先が見える……とか? 」
「そうね。きっと時の魔女って言われる位だから魔術とかで未来が見えるのかもしれないわ」
「まぁ……、それが妥当だろうな。さて、本題に戻すと、何か俺達が見落としている事はないか? 」
エスイアの言葉に、クリスティーヌとジュイナは見落としがないかを考える。
「異空間の祭壇、メンドラ国の古代魔法陣……マーガレット……」
「ん〜……ますますわからないわ」
ジュイナが頭を抱え込む。
三人は夜遅くまで、あーだこーだと考えたが何も新たな発見はなかったのだ。
次の日から授業に戻る事となったクリスティーヌ達は、今まで溜まっていた山のように積まれている課題などを必死に消化していたのだ。
課題消化の合間を縫い、クリスティーヌは黒い本を諦めずに探して居たのである。
瓦礫撤去時には見つからなかったが、もしかするとニズカザン帝国に持ち込まれているかもしれないと思ったのだ。
学園が休みの日は、近くの森や教会等に行き、手当たり次第黒い本について調べたのだった。
少しわかった事がある。
黒い本は持つ人の魔力によって、中身が変化するらしいのだ。
♢♢♢♢♢
メンドラ国の事件から早半年過ぎ、クリスティーヌ達はまた進級する。
時の魔女との約束の二年が経とうとしていた。
黒いフードの噂は消える事はなかったが、以前より聞く事が少なくなっていた。
「なぁ、知ってるか?隣国のネモレ王国の話」
「ああ、あれでしょ。虫が大量に発生して国に大打撃ってやつ」
「と、いう事は……私達に……」
「おー、お前たちちょっと話を聞けー」
クリスティーヌの言葉を遮るように、コダックが教室に入ってきた。
「えーなに? 」
「コダックせんせーまた授業が無くなるのー? 」
「あれだろー」
「なにー? 」
生徒達は一斉に騒ぎ出す。
「静かにしろー。まぁ一部の噂が立っているが、隣国ネモレ王国で蟲が大量に発生している。その駆除の為にニズカザン帝国に応援要請がかかった」
コダックは話を続ける。
ネモレ王国では虫が大量に発生し、作物を食い付くし駆除が追いつかない状態なのだ。
森林や草原までも食い付くす勢いでネモレ王国全土に広がっているという。
同盟国であるニズカザン帝国に虫駆除の依頼が来たのだ。
王立学園からクリスティーヌとエスイア、ジュイナ、そしてC組一の虫に詳しいファタールの四人が行く事になったのだ。
クリスティーヌ達は毎回同じメンバーなので、コダックに聞くと、アレクシス王子からの指名だそうだ。
そして、クリスティーヌ達三人は実戦経験も豊富だというのでコダックからも押されたのである。
王立研究所では、害虫駆除用の殺虫剤や除虫剤を急いで大量に生産途中なのである。
勿論、学園から数名駆り出されているのだ。
「ねぇ。アレク指名って事は、何かあるって思ってた方が良いのかしら? 」
「んー……どうだろ? 王子の考える事はわからないけど、準備はしてた方が良いかもしれないわね」
「ノワズ式魔力増強剤はやめとこうぜ……」
三人は力強く頷き、代わりにメリッサ特性回復薬を数種類持って行く事にしたのだ。
メリッサ曰く、まだ試作品なので副作用がどう起こるか分からない、と言うのだが、ノワズ式よりメリッサ特性の方が安心だと思ったのだ。
一番良いのは、クリスティーヌの兄スペンサーの作る薬が良いのだが、新たな魔草を手に入れ研究に没頭しているらしく、頼めなかったのである。
クリスティーヌ達は魔導具や回復薬を用意し、虫の知識が豊富なファタールと共に、ネモレ王国へと向かうのであった。