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110 ペクト老師

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1

「もう一度聞く。お前達は誰だ‼ 」


「こ……小屋が喋った?! 」


「何を驚いているの? あのベリア様の事です。こんな事で驚くなんて……」


 クリスティーヌは素っ頓狂な声を上げ、驚いているエスイアを小馬鹿にし笑ったのだ。


「何故かクリスティーヌに言われると腹が立つのは気のせいか……? 」


 ジュイナが、まぁまぁ。落ち着いて、とエスイアを宥め小屋の方へ向き直る。


「申し訳ございません。私達は、ベリア様の命により、こちらにお住まいのペクト様にお会いしにまいりました」


「ん……ベリア? あの性悪ババアか‼ 」


「ば……ババア……って……」


 クリスティーヌはベリア様に知れると、雷どころかここら一体丸焦げになってしまう、と肩を震わせる。


「尚の事、早く立ち去れ‼ 」


 小屋は怒鳴り、クリスティーヌ達に向かい、矢を放ってきたのだ。


「あっぶね。短気な小屋だな。……たっく、何なんだ?! 」


 エスイアは間一髪で避けた矢を地面から抜き取り、八つ当たりのようにその矢を近くにあった木に投げつけた。


「いっでっ」


 エスイアは驚き、目を見開いたのだ。


 そこには、自分と同じ位の背丈のドワーフがいたのだ。


「貴様……よく見破ったな」


「あ……いや……その……」


 しどろもどろするエスイアに、すかさずクリスティーヌは口を塞ぎ、念話を送る。



 "しっ‼ これはもしかしたら、力量を試す試験だったのかもしれないわ。エスイアが八つ当たりで投げた矢など、決して言っては駄目よ"


 "わたしもそう思います。エスイアは余計な事を言わない‼ "



 みるみるうちにエスイアの顔が青褪めてくる。



 "くっ……苦しい……"


 "クリスさん‼ 息! エスイアの息‼ "



 慌てたジュイナは、クリスティーヌに手を話すように促す。


 クリスティーヌは口を塞いでた手を離し、ごめんなさい、と謝る。


「お前達、何やら慌ただしいな。仕方ない。ワシを見つけられたんじゃ、受けるしかないな」


 小屋へと促された三人は中へ入ると驚いた。


 中はとても広く、外観の古びた小屋からは想像も出来ない程、木の暖かみのある内装をしていたのだ。


「これは一体……」


 ペクトは意地悪な笑みを浮かべながらエスイアに言う。


「小僧、外がボロっちいからといって中もボロっちいとは限らんだろ? 真実は見た目とは違うんだ」


 まぁ座れ、と促されふかふかの毛皮の絨毯の上へと座ろうとすると足元が凹み椅子の形となりテーブルも現れたのだった。


 床の上に座ったと思った三人は、またもや騙されたのだ。



 "何なの? この部屋"


 "もう私達が知っている常識は通じないって事かしら? "


 "あっているようで違うんじゃないか? "



「おっと、ここでの念話は丸聞こえだぞ? 」


 お茶を出しながら、ペクトはしれっと言ったのだ。


「なっ‼ 」


「で? なんだ? お前達は何をしに来たんだ? 」


 クリスティーヌはペクトの質問にベリアからペクトの元へと修行するように言われた経緯を全て伝える。



「あの性悪ばばぁめ……。仕方ないの。ほれ、お前達の名前はなんだ? 」


 三人は、それぞれ自己紹介をし、ペクトはこれから自分の事はペクト老師と呼ぶように言ったのだ。


 ペクト老師とベリアは、昔一緒に戦った仲間だったと言う。

 元々ドワーフは長生きするものだが、ペクトはベリアと過ごす時間が長かったせいか、時間軸が通常の十分の一の速さになってしまったのだ。


 とすると、一つの疑問がでてくる。

 ベリアは一体何歳なのだろうか。


 その理由はわからないが、もしかしたら、ベリアの薬などに秘密があるのかもしれない。


「なら、早速修行するか? 外にある畑に行って野菜を収穫して来い」


 小屋から外に出て、小さな畑に足を踏み入れる。


 一瞬にして広大な畑が目の前に現れた。


「ペクト老師、これは錯覚魔法なのですか? 」


「まぁ似たようなものだな。それと空間魔法を合わせたものだ。人は目に入る情報で勝手にそうだと思い込む。それを逆手に取っただけだ」


「これは、絶対何かありますね」


 ジュイナが呟くと他の二人は頷いた。

 ペクト老師から手袋と麻の紐で作られた籠を持ち、準備する。


 そして、三人は先ず、人参の畑に行き人参を抜くのだ。


「うゎ! これ、金と銀人参じゃねーーか‼ 」


「え?! もしかしてここにある物全て魔草野菜?! 」


 金と銀人参はその名の通り、抜くと金と銀の人参である。金と銀は皮の部分だけであり、中身は至って普通の人参である。


「ねぇ……あそこにあるのは、まさか……」


「マンドレイクの実だわ」


「この実は別格に美味しいのよね。まぁ、食べると赤く滴る血みたいになっちゃうのが傷だけど……」


 クリスティーヌが嬉しそうに言うと、ペクトが怒鳴る。


「お前達‼ 遊んどらんどさっさと回収せんか‼ 」


「はい‼ 」


 三人は背筋を伸ばし、息のあった返事をするとそれぞれ準備な動きく。

 手分けして魔草野菜を次から次へと収穫していくのである。

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